負けは格好悪いですか
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勉強会、当日。
「おはよう、牛島君。早いね、待たせちゃったかな」
待ち合わせの図書館の前で声をかけると、牛島君は背筋をピンとした姿勢で立っていた。
制服姿しか見たことのなかった彼の私服は、これから勉強をするというより、運動でもするかのような格好だ。
「問題ない。待ち合わせ時間ちょうどだ」
彼はいつも通り、淡々とそう答える。
「ひょっとして走ってきた?」
「ああ。日課のロードワークを兼ねている」
これから頭が疲れることをするというのに、その前に体を疲れさせるなんて。
さすがとしか言いようがない。
感心しながら、私たちは図書館の中へと入った。
館内は紙の匂いと、ページをめくる音が満ちている。
会話ができるラウンジの席を確保し、私たちは向き合って座った。
今日の目的は、休み明けに提出しなければならない大量の課題を片付けることだ。
牛島君は本を読むのかと思いきや、彼も課題を取り出す。
ペンを走らせる牛島君の手元に、ふと視線を向けた。
彼の流れるようにスラスラと迷いなくペンを動かす姿から、頭が良いことがうかがえる。
「……」
「どうした。分からないところがあったのか」
じっと見つめていたことに気付かれ、慌てて視線を逸らした。
「あ、いや……」
見惚れてたなんて素直に言えるわけがない。
「左利き!牛島君って左利きなんだなーと思って」
誤魔化すために咄嗟にそんな嘘を吐いた。
「ファミレス……いや、なんでもない」
「?」
何を言いかけたんだろう?
ファミレス?
……ああ、そういえば、先日一緒にご飯を食べたときも、彼が左手でスプーンを持っていた。
そんな簡単なことすら覚えていなかった自分に、少し落ち込んだ。
……。
…………。
牛島君の教え方は驚くほど的確で、分かりやすかった。
今まで1人で悩んでいた問題も、彼が噛み砕いて説明してくれると、不思議なくらい頭に入ってくる。
彼のおかげで、課題は驚くほどスムーズに進んでいく。
「そろそろ休憩するか」
「そうだね!牛島君のおかげで捗ったよ。お礼に何か飲み物奢るよ」
お礼がしたい一心でそう提案すると、彼は少し困ったように口を開く。
「お礼のお礼は貰えない」
「あ、そうか」
そうだった。
冤罪を晴らしてくれたお礼に、私が勉強を教えてもらっているんだった。
「◯◯は面白いな」
いつも険しい顔をしている彼が、ふっと笑った。
その表情は、先ほどまでの真剣な顔とは違い、少しだけ柔らかい。
不意打ちの笑顔に、心臓が跳ねた。
ドキッとしてしまい、慌てて話題を変える。
「再来週の土曜日って空いてる?大会があるんだけど、興味があれば見に来ない?あ、もちろん私じゃなくて自分の学校の応援優先でいいから」
「……その日は夕方からなら空いている」
「ちょうど決勝戦やっている辺りかな。絶対に勝ち残るから」
そう強く言うと、彼は迷いなく頷いた。
「分かった、見に行こう」
彼が見に来てくれるなら、絶対に格好良いところを見せたい。
そのためにも、今は目の前の課題を片付けよう。
「おはよう、牛島君。早いね、待たせちゃったかな」
待ち合わせの図書館の前で声をかけると、牛島君は背筋をピンとした姿勢で立っていた。
制服姿しか見たことのなかった彼の私服は、これから勉強をするというより、運動でもするかのような格好だ。
「問題ない。待ち合わせ時間ちょうどだ」
彼はいつも通り、淡々とそう答える。
「ひょっとして走ってきた?」
「ああ。日課のロードワークを兼ねている」
これから頭が疲れることをするというのに、その前に体を疲れさせるなんて。
さすがとしか言いようがない。
感心しながら、私たちは図書館の中へと入った。
館内は紙の匂いと、ページをめくる音が満ちている。
会話ができるラウンジの席を確保し、私たちは向き合って座った。
今日の目的は、休み明けに提出しなければならない大量の課題を片付けることだ。
牛島君は本を読むのかと思いきや、彼も課題を取り出す。
ペンを走らせる牛島君の手元に、ふと視線を向けた。
彼の流れるようにスラスラと迷いなくペンを動かす姿から、頭が良いことがうかがえる。
「……」
「どうした。分からないところがあったのか」
じっと見つめていたことに気付かれ、慌てて視線を逸らした。
「あ、いや……」
見惚れてたなんて素直に言えるわけがない。
「左利き!牛島君って左利きなんだなーと思って」
誤魔化すために咄嗟にそんな嘘を吐いた。
「ファミレス……いや、なんでもない」
「?」
何を言いかけたんだろう?
ファミレス?
……ああ、そういえば、先日一緒にご飯を食べたときも、彼が左手でスプーンを持っていた。
そんな簡単なことすら覚えていなかった自分に、少し落ち込んだ。
……。
…………。
牛島君の教え方は驚くほど的確で、分かりやすかった。
今まで1人で悩んでいた問題も、彼が噛み砕いて説明してくれると、不思議なくらい頭に入ってくる。
彼のおかげで、課題は驚くほどスムーズに進んでいく。
「そろそろ休憩するか」
「そうだね!牛島君のおかげで捗ったよ。お礼に何か飲み物奢るよ」
お礼がしたい一心でそう提案すると、彼は少し困ったように口を開く。
「お礼のお礼は貰えない」
「あ、そうか」
そうだった。
冤罪を晴らしてくれたお礼に、私が勉強を教えてもらっているんだった。
「◯◯は面白いな」
いつも険しい顔をしている彼が、ふっと笑った。
その表情は、先ほどまでの真剣な顔とは違い、少しだけ柔らかい。
不意打ちの笑顔に、心臓が跳ねた。
ドキッとしてしまい、慌てて話題を変える。
「再来週の土曜日って空いてる?大会があるんだけど、興味があれば見に来ない?あ、もちろん私じゃなくて自分の学校の応援優先でいいから」
「……その日は夕方からなら空いている」
「ちょうど決勝戦やっている辺りかな。絶対に勝ち残るから」
そう強く言うと、彼は迷いなく頷いた。
「分かった、見に行こう」
彼が見に来てくれるなら、絶対に格好良いところを見せたい。
そのためにも、今は目の前の課題を片付けよう。
