飛雄に変なことを言われて早数日。

毎朝顔を合わせていたのに、わざと時間をズラしているのか、飛雄とは会わなくなった。

次の大会に向けて朝練が早くなったに違いない。
そう自分に言い聞かせる日々。
別に寂しいとか思ってないし。

だけど、沈んだ気持ちを誤魔化しきれていないのか、同僚のユカから心配されてしまった。


「●●、最近元気なくない？」

「そうかな？」


お互いパソコンからは目をそらさず、指は資料を打ち込んでいる。


「そんな●●に足りないのは恋だよ」

「恋、ねぇ〜。あながち間違いじゃないかも」


結婚適齢期なのに恋人すらいないから、そろそろ将来を見据えた相手を探さないといけないかもしれない。


「誰かいないかな」

「それなら男友達紹介するから会ってみてよ！ちょうど彼からも相談受けたところだから！顔は保証する！」


軽く口走ったことなのに、ユカは私の返事を聞く前にアポを取り始めた。


「明日でいいよね？休みだし」

「急だね」

「善は急げだよ！●●の気が変わらないうちに」


確かに一里ある。
特に予定もないし、


「そうだね、お願いしようかな」

「おっけー！詳しいことはまた連絡するね」


私より張り切っているユカは、すっかりパソコンから目を離し私用のスマホに釘付け。

別にいいけどね。

デートかー、久しぶりだな。
服、何を着ていこう。
その前に、今目の前にある仕事の山を片付けないと。

私は背筋を伸ばしてから仕事に取り組んだ。