バカはバカなりに
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ーー影山sideーー
「影山、お前今日トス低いぞ!不調ですか〜 」
「うるせえ日向、ボケェッ!」
いつものように怒鳴り返したものの、自分でも集中できていない自覚はあった。
頭の片隅に、●●の冷めた視線と、あの言葉が離れない。
“月の裏側は見えません”
結局、部活が終わっても答えは出なかった。
こうなったら誰かに聞いた方が早い。
誰がいいか……。
山口の隣にはニヤニヤとこちらを窺う月島がいるし、アイツには聞かれたくない。
日向は論外だし、田中さんや西谷さんも同様。
気付けば、部室には俺と菅原さんの2人きりになっていた。
ここしかない。
俺は意を決して、着替えの手を止めた。
「菅原さん、ちょっと聞きたいことがあるんすけど」
「どうした影山?」
菅原さんはバッグを肩にかけ、不思議そうにこちらを振り返った。
「あの、月が綺麗ですねってどういう意味ですか?」
「あー懐かしいな。夏目漱石でしょ。日本人ならアイラブユーを月が綺麗ですねって訳せよってやつね。今授業でやってるのか?」
菅原さんは懐かしむように目を細めて笑った。
「俺、寝てたんで分かりません。クラスのやつらが好きな人に言うって騒いでいて、俺も……」
「俺らもやった、やった。で、影山は返事もらったのか?」
「月の裏側は見えませんって言われました」
「うわぁ、また文学的な返事きたな……」
菅原さんは唸るように腕を組み、天井を仰いだ。
菅原さんが悩むような問いに、俺なんかが答えを出せるはずがなかった。
数分の沈黙の後、菅原さんは少し申し訳なさそうな顔で口を開いた。
「多分だけど、影山の本心が見えないってことじゃないかな?要はごめんなさいってことだ」
「……」
「あくまで俺の憶測だけどな。あまり落ち込むなよ」
ポンッと俺の肩を叩いた菅原さんは、部室から出ていった。
静まり返った室内で、俺は立ち尽くしていた。
自覚はなかったが、どうやら俺は●●に告白をして、振られたらしい。
ただ、菅原さん曰く●●は俺の本心が分からないと言うが、それは俺も同じだ。
中学の時、俺はアイツに本当の気持ちを伝えたつもりだった。
なのに、アイツは返事もくれずに逃げ出した。
それどころか、あの日を境に俺を苗字で呼ぶようになった。
俺の何が、あいつをそんなに怒らせたのか。
俺の何が、あいつを遠ざけてしまったのか。
「……クソっ、意味わかんねェ……」
誰もいない部室で、俺は力任せに髪を掻き回した。
「影山、お前今日トス低いぞ!不調ですか〜 」
「うるせえ日向、ボケェッ!」
いつものように怒鳴り返したものの、自分でも集中できていない自覚はあった。
頭の片隅に、●●の冷めた視線と、あの言葉が離れない。
“月の裏側は見えません”
結局、部活が終わっても答えは出なかった。
こうなったら誰かに聞いた方が早い。
誰がいいか……。
山口の隣にはニヤニヤとこちらを窺う月島がいるし、アイツには聞かれたくない。
日向は論外だし、田中さんや西谷さんも同様。
気付けば、部室には俺と菅原さんの2人きりになっていた。
ここしかない。
俺は意を決して、着替えの手を止めた。
「菅原さん、ちょっと聞きたいことがあるんすけど」
「どうした影山?」
菅原さんはバッグを肩にかけ、不思議そうにこちらを振り返った。
「あの、月が綺麗ですねってどういう意味ですか?」
「あー懐かしいな。夏目漱石でしょ。日本人ならアイラブユーを月が綺麗ですねって訳せよってやつね。今授業でやってるのか?」
菅原さんは懐かしむように目を細めて笑った。
「俺、寝てたんで分かりません。クラスのやつらが好きな人に言うって騒いでいて、俺も……」
「俺らもやった、やった。で、影山は返事もらったのか?」
「月の裏側は見えませんって言われました」
「うわぁ、また文学的な返事きたな……」
菅原さんは唸るように腕を組み、天井を仰いだ。
菅原さんが悩むような問いに、俺なんかが答えを出せるはずがなかった。
数分の沈黙の後、菅原さんは少し申し訳なさそうな顔で口を開いた。
「多分だけど、影山の本心が見えないってことじゃないかな?要はごめんなさいってことだ」
「……」
「あくまで俺の憶測だけどな。あまり落ち込むなよ」
ポンッと俺の肩を叩いた菅原さんは、部室から出ていった。
静まり返った室内で、俺は立ち尽くしていた。
自覚はなかったが、どうやら俺は●●に告白をして、振られたらしい。
ただ、菅原さん曰く●●は俺の本心が分からないと言うが、それは俺も同じだ。
中学の時、俺はアイツに本当の気持ちを伝えたつもりだった。
なのに、アイツは返事もくれずに逃げ出した。
それどころか、あの日を境に俺を苗字で呼ぶようになった。
俺の何が、あいつをそんなに怒らせたのか。
俺の何が、あいつを遠ざけてしまったのか。
「……クソっ、意味わかんねェ……」
誰もいない部室で、俺は力任せに髪を掻き回した。
