バカはバカなりに
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今から2年前、中学2年生の初夏。
放課後の静まり返った昇降口で、私は自分のうっかりに呆れた。
「……あ、ノート忘れた」
靴を履き替えたばかりの足で、もう一度階段を駆け上がる。
面倒くさいけれど、今日の課題には欠かせない。
教室の扉に手をかけようとしたその時、中から聞き慣れた声と、数人の男子たちの騒がしい笑い声が漏れてきた。
幼馴染の飛雄と、その友人たち。
まだいたんだ……。
なんとなく気まずくて、扉を開けようとした手が止まる。
彼らが出ていくのを、影に身を潜めて待つことにした。
「飛雄テスト最下位ー!」
「うるせェ……」
テストの結果を揶揄されているのだろう。
相変わらず飛雄はバカなんだから……。
口元が少し緩む。
笑いを堪えていると、次に飛び込んできた言葉に、心臓が凍りついた。
「罰ゲーム、◯◯に告白しろよ」
「……分かった」
一瞬の沈黙の後、飛雄の短い返答が聞こえた。
え、罰ゲーム?私に告白?
飛雄も「分かった」って何?
頭を殴られたような衝撃だった。
悔しさと、言いようのない羞恥心が込み上げ、忘れ物なんてどうでもよくなった。
私は逃げるように学校を後にした。
ーーーー
翌日の放課後、嫌な予感は当たった。
早く帰ろうとする私を、クラスの男子たちがニヤニヤしながら出入り口を通せんぼする。
「こっから先は通しませーん」
「ふざけないで!」
苛立ちをぶつけても、彼らは面白がるばかり。
ようやく解放された時には、教室には私と飛雄の2人きりになっていた。
「●●、ちょっといいか」
飛雄が近付いてくる。
言われる内容は知っている。
あらかじめ答えも用意していた。
それなのに、目の前に立つ彼の顔があまりに真剣で、目が離せなくなってしまう。
「……何?」
「俺、お前のことが好きだ。だから付き合って欲しい」
真っ直ぐな言葉だった。
本当は、私だってずっと前から飛雄のことが好きだった。
もしこれが罰ゲームなんかじゃなくて、本当の言葉だったなら、どれほど幸せだっただろう。
冗談はやめてよ、と笑い飛ばすべきか。
罰ゲームだって知ってるよ、と冷たく突き放すべきか。
迷いで声が出ない私を、隠れて見ていた男子たちが痺れを切らしたように飛び出してきた。
「ざんねーん!告白は嘘でしたー!」
「本気にしちゃったかな?」
「ギャハハッ!」
汚い笑い方で嘲笑ってくる男子たち。
視界が急激に歪んでいく。
本気になんてしていないし……。
嘘だって知っていた……。
それなのに、胸の奥が引き裂かれるように痛い。
こんなやつらの前で、絶対に泣きたくない。
私は溢れそうな涙を必死に堪え、飛雄の顔を見ることなく、ただ無心で教室を飛び出した。
「おい、●●……!」
後ろから飛雄の声が聞こえた気がしたけれど、もう二度と聞きたくなかった。
この日を境に、私は“飛雄”から“影山”に呼び方を変えた。
放課後の静まり返った昇降口で、私は自分のうっかりに呆れた。
「……あ、ノート忘れた」
靴を履き替えたばかりの足で、もう一度階段を駆け上がる。
面倒くさいけれど、今日の課題には欠かせない。
教室の扉に手をかけようとしたその時、中から聞き慣れた声と、数人の男子たちの騒がしい笑い声が漏れてきた。
幼馴染の飛雄と、その友人たち。
まだいたんだ……。
なんとなく気まずくて、扉を開けようとした手が止まる。
彼らが出ていくのを、影に身を潜めて待つことにした。
「飛雄テスト最下位ー!」
「うるせェ……」
テストの結果を揶揄されているのだろう。
相変わらず飛雄はバカなんだから……。
口元が少し緩む。
笑いを堪えていると、次に飛び込んできた言葉に、心臓が凍りついた。
「罰ゲーム、◯◯に告白しろよ」
「……分かった」
一瞬の沈黙の後、飛雄の短い返答が聞こえた。
え、罰ゲーム?私に告白?
飛雄も「分かった」って何?
頭を殴られたような衝撃だった。
悔しさと、言いようのない羞恥心が込み上げ、忘れ物なんてどうでもよくなった。
私は逃げるように学校を後にした。
ーーーー
翌日の放課後、嫌な予感は当たった。
早く帰ろうとする私を、クラスの男子たちがニヤニヤしながら出入り口を通せんぼする。
「こっから先は通しませーん」
「ふざけないで!」
苛立ちをぶつけても、彼らは面白がるばかり。
ようやく解放された時には、教室には私と飛雄の2人きりになっていた。
「●●、ちょっといいか」
飛雄が近付いてくる。
言われる内容は知っている。
あらかじめ答えも用意していた。
それなのに、目の前に立つ彼の顔があまりに真剣で、目が離せなくなってしまう。
「……何?」
「俺、お前のことが好きだ。だから付き合って欲しい」
真っ直ぐな言葉だった。
本当は、私だってずっと前から飛雄のことが好きだった。
もしこれが罰ゲームなんかじゃなくて、本当の言葉だったなら、どれほど幸せだっただろう。
冗談はやめてよ、と笑い飛ばすべきか。
罰ゲームだって知ってるよ、と冷たく突き放すべきか。
迷いで声が出ない私を、隠れて見ていた男子たちが痺れを切らしたように飛び出してきた。
「ざんねーん!告白は嘘でしたー!」
「本気にしちゃったかな?」
「ギャハハッ!」
汚い笑い方で嘲笑ってくる男子たち。
視界が急激に歪んでいく。
本気になんてしていないし……。
嘘だって知っていた……。
それなのに、胸の奥が引き裂かれるように痛い。
こんなやつらの前で、絶対に泣きたくない。
私は溢れそうな涙を必死に堪え、飛雄の顔を見ることなく、ただ無心で教室を飛び出した。
「おい、●●……!」
後ろから飛雄の声が聞こえた気がしたけれど、もう二度と聞きたくなかった。
この日を境に、私は“飛雄”から“影山”に呼び方を変えた。
