巣立ちのとき
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翌日、ユカに紹介してもらった男性と夕食を共にした。
途中まで送っていくと言われたけれど、やんわりお断りをして1人帰路につく。
別れ際にもお礼を言ったけれど、再度お礼のメッセージでも送ろうかな。
“今日は素敵なお店に連れて行ってくださり、ありがとうございました。
機会がありましたら、またよろしくお願いします”
こんなものでいいかな。
送信っと。
典型的な脈なし定型文。
察しが悪い人ではないだろうから、これで分かるだろう。
もう会うことはない。
別に悪い人ではないし、ユカの言う通り顔はイケメンだった。
だけど私とは合わなかった。
ただそれだけのこと。
この歳になると選り好みはできないのは分かっているつもりだけれど、譲れない部分が増えていくのが困りもの。
やっぱり顔は気にしないから私と気の合う人がいいな。
例えば冗談を言い合えて、ときたま喧嘩はしてもちゃんと仲直りできる関係で、私に興味を持ってくれる人……飛雄とか?
なんてね。
長く一緒にいるからお互いのことを知り尽くしていて、必然と気も合う間柄だけれど、そもそも飛雄はまだ高校生だし、結婚を考えたお付き合いなんて考えない年頃だもんね。
そんなことを考えていると、もうすぐで家に着くところまで来ていた。
そんなとき、久しぶりに見かけた後ろ姿が私の前を歩いていた。
黒色のジャージ、背面に烏野高校排球部と書かれた文字。
「飛雄」
私の呼びかけに、飛雄は足を止めて振り向いた。
「●●か」
朝全く会わなくなったのに、いつもとなんら変わりない様子。
ちょっとだけムカつく。
「こんな時間まで部活?大変だね」
「●●はどこか出かけていたのか」
驚いた。飛雄が話題を振ってくれるなんて。
「ちょっとご飯行っていたの」
「男か?」
「まーね」
「彼氏か?」
なんでそんなこと聞くの?
飛雄が私の恋愛に興味があるとは思えなかった。
「ううん。そうなる相手を探してはいるけどね」
「焦って探さなくてもいいだろ」
「高校生の飛雄には分からないだろうけど、私ってもう結婚適齢期なのよ」
やっぱり飛雄に結婚の話は早すぎたか。
私の焦りなんて微塵も分からないだろう。
そう思っていたら、まさかのアドバイスが飛んできた。
「もっと色んな所に目を向けたらどうだ」
口で言うのは簡単だよ。
やっぱり分かっていない。
「向けてるから今日ご飯行ったんだけど?」
「じゃなくて、もっと近くに目を向けろって言ってんだよ」
「え?近く?職場ってこと?」
職場の人の顔を思い浮かべたけれど、恋愛対象として見たことがなかったから、彼女の有無どころか結婚しているのかすら知らない。
ユカなら知っていそうだから、また聞いてみるか。
ふと飛雄を見ると苦虫を噛み潰したような表情をしていた。
「言いたいことがあるならはっきり言ってよ」
「~~っ……つまり……俺がいるだろって言ってんだろ!」
突然の告白。
「え、そんな急に言われても……」
いや、気付かないふりをしていたけれど、その兆候は確かにあった。
だけど、
「飛雄は弟みたいなものだし…」
男性として意識できない。
それなのに、
「俺は姉だなんて思ったことない……」
「飛雄……」
「意識させてやるから、覚悟しておけよ」
そう言って笑う飛雄は切れ長の目を更に細めにさせた。
試合のときもそうだし、今だって……。
飛雄はときたま私の知らない表情をする。
ーーFinーー
途中まで送っていくと言われたけれど、やんわりお断りをして1人帰路につく。
別れ際にもお礼を言ったけれど、再度お礼のメッセージでも送ろうかな。
“今日は素敵なお店に連れて行ってくださり、ありがとうございました。
機会がありましたら、またよろしくお願いします”
こんなものでいいかな。
送信っと。
典型的な脈なし定型文。
察しが悪い人ではないだろうから、これで分かるだろう。
もう会うことはない。
別に悪い人ではないし、ユカの言う通り顔はイケメンだった。
だけど私とは合わなかった。
ただそれだけのこと。
この歳になると選り好みはできないのは分かっているつもりだけれど、譲れない部分が増えていくのが困りもの。
やっぱり顔は気にしないから私と気の合う人がいいな。
例えば冗談を言い合えて、ときたま喧嘩はしてもちゃんと仲直りできる関係で、私に興味を持ってくれる人……飛雄とか?
なんてね。
長く一緒にいるからお互いのことを知り尽くしていて、必然と気も合う間柄だけれど、そもそも飛雄はまだ高校生だし、結婚を考えたお付き合いなんて考えない年頃だもんね。
そんなことを考えていると、もうすぐで家に着くところまで来ていた。
そんなとき、久しぶりに見かけた後ろ姿が私の前を歩いていた。
黒色のジャージ、背面に烏野高校排球部と書かれた文字。
「飛雄」
私の呼びかけに、飛雄は足を止めて振り向いた。
「●●か」
朝全く会わなくなったのに、いつもとなんら変わりない様子。
ちょっとだけムカつく。
「こんな時間まで部活?大変だね」
「●●はどこか出かけていたのか」
驚いた。飛雄が話題を振ってくれるなんて。
「ちょっとご飯行っていたの」
「男か?」
「まーね」
「彼氏か?」
なんでそんなこと聞くの?
飛雄が私の恋愛に興味があるとは思えなかった。
「ううん。そうなる相手を探してはいるけどね」
「焦って探さなくてもいいだろ」
「高校生の飛雄には分からないだろうけど、私ってもう結婚適齢期なのよ」
やっぱり飛雄に結婚の話は早すぎたか。
私の焦りなんて微塵も分からないだろう。
そう思っていたら、まさかのアドバイスが飛んできた。
「もっと色んな所に目を向けたらどうだ」
口で言うのは簡単だよ。
やっぱり分かっていない。
「向けてるから今日ご飯行ったんだけど?」
「じゃなくて、もっと近くに目を向けろって言ってんだよ」
「え?近く?職場ってこと?」
職場の人の顔を思い浮かべたけれど、恋愛対象として見たことがなかったから、彼女の有無どころか結婚しているのかすら知らない。
ユカなら知っていそうだから、また聞いてみるか。
ふと飛雄を見ると苦虫を噛み潰したような表情をしていた。
「言いたいことがあるならはっきり言ってよ」
「~~っ……つまり……俺がいるだろって言ってんだろ!」
突然の告白。
「え、そんな急に言われても……」
いや、気付かないふりをしていたけれど、その兆候は確かにあった。
だけど、
「飛雄は弟みたいなものだし…」
男性として意識できない。
それなのに、
「俺は姉だなんて思ったことない……」
「飛雄……」
「意識させてやるから、覚悟しておけよ」
そう言って笑う飛雄は切れ長の目を更に細めにさせた。
試合のときもそうだし、今だって……。
飛雄はときたま私の知らない表情をする。
ーーFinーー
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