君に嫌われたい
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目の前の男に絶句していると、工の声が聞こえてきた。
「●●さーん!」
「つ、工ー!」
駆け寄った工は自身の後ろに私を隠すようにして男の前に立った。
工より一回りは歳が離れている男だが、彼より背の高い工の背中は頼もしく見えた。
「この人誰?」
「お兄さん……」
「え、●●さんのお兄さん!」
「違う」
「??」
中学生の頃の私に声をかけてきたお兄さん。
本名すら知らないのに、何が健全なお付き合いだ。
今思えばおかしな話だ。
「久しぶりに会ったのに、●●は冷たいなー」
当時の面影はあるが、あのとき感じた魅力や安心感はこの男から消えていた。
あるのはただの不快、恐怖。
工は状況が読めないなりに私を庇おうとしてくれている。
本当はこんなのに巻き込みたくなかった。
だけど助けて欲しかった。
「俺が●●にしたみたいに、そいつをたぶらかしているのか」
「違う……」
私は工をたぶらかしてなんかいない。
「あのとき逃げたことは怒っていないからさ、また俺たちと遊ぼうや。もう成人してるんだろ?」
「やめて……」
工の前でその話はしないで。
自分から工を遠ざけていたのに、今さら嫌われるのが怖くなった。
「ああ、まだ未成年か。今のうちにそいつを喰っちまう気か。お前は俺に似てきたな」
確かに初めて工に話しかけたとき、無意識にお兄さんが私に話しかけてきた言葉と同じ言葉を使っていた。
だけど、決して工をたぶらかそうだなんて下心はなかった。
「よく分からないど、アンタと●●さんは全然似てないですよ」
「生意気だな」
男は後ろポケットをゴソゴソすると、10cmほどの木製グリップを取り出した。
最初こそあれが何か分からなかった。
男がグリップ部分からナイフを出すまでは。
「折り畳みナイフ…」
「最近はキャンプ用品が充実していて便利な世の中になったよな!」
「危ない!」
男がナイフを向けて襲いかかってきた。
私は咄嗟に目を瞑ってしまった。
次に目を開いたときには全て終わっていた。
ナイフは弾き飛ばされていて、男は通行人に押さえ付けられていた。
工は…工は大丈夫なの?
「工、ケガは?」
「なんともないです」
「無茶しないでよね」
こんなことでケガをしてバレーができなくなるなんて許さない。
だって工はエースになる男だから。
「工、私の話を聞いてくれる?」
「●●さーん!」
「つ、工ー!」
駆け寄った工は自身の後ろに私を隠すようにして男の前に立った。
工より一回りは歳が離れている男だが、彼より背の高い工の背中は頼もしく見えた。
「この人誰?」
「お兄さん……」
「え、●●さんのお兄さん!」
「違う」
「??」
中学生の頃の私に声をかけてきたお兄さん。
本名すら知らないのに、何が健全なお付き合いだ。
今思えばおかしな話だ。
「久しぶりに会ったのに、●●は冷たいなー」
当時の面影はあるが、あのとき感じた魅力や安心感はこの男から消えていた。
あるのはただの不快、恐怖。
工は状況が読めないなりに私を庇おうとしてくれている。
本当はこんなのに巻き込みたくなかった。
だけど助けて欲しかった。
「俺が●●にしたみたいに、そいつをたぶらかしているのか」
「違う……」
私は工をたぶらかしてなんかいない。
「あのとき逃げたことは怒っていないからさ、また俺たちと遊ぼうや。もう成人してるんだろ?」
「やめて……」
工の前でその話はしないで。
自分から工を遠ざけていたのに、今さら嫌われるのが怖くなった。
「ああ、まだ未成年か。今のうちにそいつを喰っちまう気か。お前は俺に似てきたな」
確かに初めて工に話しかけたとき、無意識にお兄さんが私に話しかけてきた言葉と同じ言葉を使っていた。
だけど、決して工をたぶらかそうだなんて下心はなかった。
「よく分からないど、アンタと●●さんは全然似てないですよ」
「生意気だな」
男は後ろポケットをゴソゴソすると、10cmほどの木製グリップを取り出した。
最初こそあれが何か分からなかった。
男がグリップ部分からナイフを出すまでは。
「折り畳みナイフ…」
「最近はキャンプ用品が充実していて便利な世の中になったよな!」
「危ない!」
男がナイフを向けて襲いかかってきた。
私は咄嗟に目を瞑ってしまった。
次に目を開いたときには全て終わっていた。
ナイフは弾き飛ばされていて、男は通行人に押さえ付けられていた。
工は…工は大丈夫なの?
「工、ケガは?」
「なんともないです」
「無茶しないでよね」
こんなことでケガをしてバレーができなくなるなんて許さない。
だって工はエースになる男だから。
「工、私の話を聞いてくれる?」