堕ちた強豪、飛べない白鳥
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五色君が私のことを認識してくれたあの日から、何かが変わった。
それまでは、ただの流れ作業だったトレーの受け渡し。
彼は無表情で受け取り、返しに来ていた。
それが、私に気が付くと、彼はぱちりと大きな瞳を合わせ、
「ありがとうございます!」
「ごちそうさまでした!」
と、はっきりとした声で挨拶をしてくれるようになったのだ。
その真面目でひたむきな眼差しが嬉しくて、ある日、私はあからさまな贔屓をしてみた。
彼がいつもの日替わり定食を受け取ろうとカウンターに立った時、私はメインの皿の隣に、小皿をそっと置いた。
その小皿には、用務員さんからお裾分けでもらった、一口サイズの秋の柿が二切れ。
「はい、これサービス。さっき用務員さんから貰ったんだけど、よかったら食べて」
五色君は目を丸くして、その小さな柿を見た。
「え、あ、ありがとうございます!」
戸惑いながらも、そのサプライズに頬が緩んでいるのを見て、私の胸にも温かいものが広がった。
ーーーー
また別の日。
五色君とチームメイトとの会話の中で、彼がポロッと溢したカレイの煮付けが好きだという言葉を、私は聞き逃さなかった。
すぐに日替わりメニューの案にそれを組み込んだ。
そして、そのメニューの当日。
彼は目を輝かせながら私に報告してくれた。
「俺、カレイの煮付け、好きなんですよ!すっごく嬉しいです!」
嬉々として、目をキラキラと輝かせた無邪気な笑顔。
知ってるよ。
だって、キミのために作ったんだから。
内心、そう言いたくなったけれど、そんなことをできるはずもなく、私はぐっと言葉を飲み込み、平静を装った。
「そう、よかった。たくさん食べてね!」
本当に一言二言。
親しく話すことはない。
カウンター越しに交わす、ほんの短いやり取りだ。
それでも、私は彼が食堂に来てくれる時が、ひそかに日々の楽しみになっていた。
だけど、それは今からちょうど一年半ほど前までの話。
それまでは、ただの流れ作業だったトレーの受け渡し。
彼は無表情で受け取り、返しに来ていた。
それが、私に気が付くと、彼はぱちりと大きな瞳を合わせ、
「ありがとうございます!」
「ごちそうさまでした!」
と、はっきりとした声で挨拶をしてくれるようになったのだ。
その真面目でひたむきな眼差しが嬉しくて、ある日、私はあからさまな贔屓をしてみた。
彼がいつもの日替わり定食を受け取ろうとカウンターに立った時、私はメインの皿の隣に、小皿をそっと置いた。
その小皿には、用務員さんからお裾分けでもらった、一口サイズの秋の柿が二切れ。
「はい、これサービス。さっき用務員さんから貰ったんだけど、よかったら食べて」
五色君は目を丸くして、その小さな柿を見た。
「え、あ、ありがとうございます!」
戸惑いながらも、そのサプライズに頬が緩んでいるのを見て、私の胸にも温かいものが広がった。
ーーーー
また別の日。
五色君とチームメイトとの会話の中で、彼がポロッと溢したカレイの煮付けが好きだという言葉を、私は聞き逃さなかった。
すぐに日替わりメニューの案にそれを組み込んだ。
そして、そのメニューの当日。
彼は目を輝かせながら私に報告してくれた。
「俺、カレイの煮付け、好きなんですよ!すっごく嬉しいです!」
嬉々として、目をキラキラと輝かせた無邪気な笑顔。
知ってるよ。
だって、キミのために作ったんだから。
内心、そう言いたくなったけれど、そんなことをできるはずもなく、私はぐっと言葉を飲み込み、平静を装った。
「そう、よかった。たくさん食べてね!」
本当に一言二言。
親しく話すことはない。
カウンター越しに交わす、ほんの短いやり取りだ。
それでも、私は彼が食堂に来てくれる時が、ひそかに日々の楽しみになっていた。
だけど、それは今からちょうど一年半ほど前までの話。
