堕ちた強豪、飛べない白鳥
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ある日のお昼休み。
五色君はチームメイトが食べ終わって席を立った後も、1人で定食と格闘していた。
箸はぴたりと止まり、その先の唐揚げにも、白いご飯の山にも触れようとしない。
体調でも優れないのだろうか、と心配になる。
「ふぅ……」
彼は小さなため息と共に箸を置き、そっとお腹を擦った。
そこへ、私は空いたテーブルを拭くついでに、彼に近付いた。
「五色君、今日の鶏の唐揚げ、口に合わなかった?」
「え?」
突然声をかけられた五色君は、お皿から顔を上げて目を丸くした。
話し掛けてから気が付いたけれど、無意識に彼の名前を呼んでいたらしい。
それなのに五色君はそこには触れず、少し気まずそうに俯きがちに答えた。
「……あ、いえ!そんなことないです!凄く美味しいです!ただ、ちょっと量が多くて……」
どうやら、味付けではなく、私が良かれと思って盛ってしまった山盛りのご飯が、彼と定食の格闘の原因だった。
私のささやかな応援が、彼にとって重荷になっていた事実が、申し訳なくて、居た堪れない気持ちになって胸を締め付ける。
「無理しないで、残してもいいからね」
罪悪感から絞り出したその言葉に、五色君は宣言するように顔を上げた。
「いえ、せっかく作ってくれたので、最後まで食べきります!」
その直後、大口を開けて唐揚げに齧り付いた。
正直に言えば、私が原因とはいえ、彼の食べ残しを見るのは、ご飯を扱う調理員としてやはり悲しい。
「盛りすぎてごめんなさい」と謝る代わりに「完食頑張って」と心の中で応援する、自分勝手な矛盾に苦笑を浮かべた。
そして宣言通り、唐揚げはもちろん、山盛りだったはずのご飯も、最後の一粒まで綺麗に平らげた。
空になった皿と椀を見つめ、達成感に満ちた顔で、静かに両手を合わせる。
「ごちそうさまでした!」
その清々しい挨拶が嬉しくて、私の口角は知らず知らずのうちに緩んでいた。
厨房にいる土屋さんに、また「口角が緩んでいる」と指摘されそうだけれど、そんなことはどうでもいい。
「お粗末様です」
心の中で、この子をもっと贔屓にしたい、とこっそり思った。
五色君はチームメイトが食べ終わって席を立った後も、1人で定食と格闘していた。
箸はぴたりと止まり、その先の唐揚げにも、白いご飯の山にも触れようとしない。
体調でも優れないのだろうか、と心配になる。
「ふぅ……」
彼は小さなため息と共に箸を置き、そっとお腹を擦った。
そこへ、私は空いたテーブルを拭くついでに、彼に近付いた。
「五色君、今日の鶏の唐揚げ、口に合わなかった?」
「え?」
突然声をかけられた五色君は、お皿から顔を上げて目を丸くした。
話し掛けてから気が付いたけれど、無意識に彼の名前を呼んでいたらしい。
それなのに五色君はそこには触れず、少し気まずそうに俯きがちに答えた。
「……あ、いえ!そんなことないです!凄く美味しいです!ただ、ちょっと量が多くて……」
どうやら、味付けではなく、私が良かれと思って盛ってしまった山盛りのご飯が、彼と定食の格闘の原因だった。
私のささやかな応援が、彼にとって重荷になっていた事実が、申し訳なくて、居た堪れない気持ちになって胸を締め付ける。
「無理しないで、残してもいいからね」
罪悪感から絞り出したその言葉に、五色君は宣言するように顔を上げた。
「いえ、せっかく作ってくれたので、最後まで食べきります!」
その直後、大口を開けて唐揚げに齧り付いた。
正直に言えば、私が原因とはいえ、彼の食べ残しを見るのは、ご飯を扱う調理員としてやはり悲しい。
「盛りすぎてごめんなさい」と謝る代わりに「完食頑張って」と心の中で応援する、自分勝手な矛盾に苦笑を浮かべた。
そして宣言通り、唐揚げはもちろん、山盛りだったはずのご飯も、最後の一粒まで綺麗に平らげた。
空になった皿と椀を見つめ、達成感に満ちた顔で、静かに両手を合わせる。
「ごちそうさまでした!」
その清々しい挨拶が嬉しくて、私の口角は知らず知らずのうちに緩んでいた。
厨房にいる土屋さんに、また「口角が緩んでいる」と指摘されそうだけれど、そんなことはどうでもいい。
「お粗末様です」
心の中で、この子をもっと贔屓にしたい、とこっそり思った。
