夢が叶うまで
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“◯◯さん、無能だからクビね。働いた分の給料は出すから、都合がいい日に取りに来て”
夏休み中にかかってきた1本の電話。
相手はバイト先のオーナー。
あっけなくクビを宣告された。
バイトって不祥事を起こした訳でも、サボった訳でもないのにクビになるものなのか。
後日、言われたとおり給料を取りにバイト先へ行った。
置きっぱなしにしてあった作業靴を回収しようと控え室に行くと、私が使っていたロッカーは既に違う人の名前が書いてあった。
ああ、私より優秀な人を採用したのね。
「短い間でしたがお世話になりました」
オーナーと他の社員さん。その日のシフトに入っていたバイトさんに挨拶をした。
あの人が新しく入った人かな?
バリバリ仕事をこなしそうな雰囲気の人。
なんて惨めなんだ。
社員登用があるって言うから応募したのに、面接を受ける前にバイトをクビになった。
もうパティシエを諦めて事務職でも目指そうかな。
だって無能なんだから。
パティシエにすらなれないまま、私の心は折れた。
ーーーー
翌日、覚君から学校で自主練習をしようと誘われたけど、あまり乗りになれなかった。
取りあえず実習室には来たが、特に何かやるわけでもなく、覚君がチョコのテンパリングをしている様をじっと見ていた。
「●●ちゃんはやらないの?」
「クビになった」
「へ?」
「バイトクビになった。私、無能なんだって。覚君と違って才能ないみたい」
覚君の質問に明後日の解答をした私。
覚君は最初こそ驚いていたが、直ぐに私の言葉を理解してくれた。
「そんなこと言うお店、こっちから願い下げだヨ。逆に辞めれてよかったじゃん」
「うん、だから私事務職探すことにした」
幸い、製菓専攻の学校でも一般教養の勉強はあるし、秘書検定などのビジネス系検定の資格が取れる講義もある。
「それでいいの?」
「え?」
何でも応援してくれる覚君なら私がパティシエではなく事務職の道へ進むことを受け入れてくれると思っていた。
「事務職は仮に10年後でもできそうだけど、パティシエは今やめたら戻れないヨ」
確かに、いい歳になったとき経験無しでパティシエの道に入ろうと思うのは相当の決心がいる。
「でも、だって無能だって…使えないって言われたから……」
自分が思っている以上にオーナーから言われた無能と言う言葉が私を縛り付けている。
「●●ちゃんは何のためにこの学校に入ったの?遊ぶため?友達を作るため?違うでしょ、パティシエになるためでしょ」
「私だってパティシエになりたい。綺麗なケーキを作って、いろんな人に食べてもらって、美味しかったよって言ってもらいたいよ!」
「叶えようよ」
「できるかな?」
「俺が●●ちゃんを雇うよ」
え……雇うって……どういうこと?
「今はまだ無理でも、俺は必ず自分のお店を持つ。そしたら●●ちゃん働いてヨ」
涙がこぼれ落ちた。
私はまだパティシエになる夢を諦めなくていいんだ。
ーーFinーー
夏休み中にかかってきた1本の電話。
相手はバイト先のオーナー。
あっけなくクビを宣告された。
バイトって不祥事を起こした訳でも、サボった訳でもないのにクビになるものなのか。
後日、言われたとおり給料を取りにバイト先へ行った。
置きっぱなしにしてあった作業靴を回収しようと控え室に行くと、私が使っていたロッカーは既に違う人の名前が書いてあった。
ああ、私より優秀な人を採用したのね。
「短い間でしたがお世話になりました」
オーナーと他の社員さん。その日のシフトに入っていたバイトさんに挨拶をした。
あの人が新しく入った人かな?
バリバリ仕事をこなしそうな雰囲気の人。
なんて惨めなんだ。
社員登用があるって言うから応募したのに、面接を受ける前にバイトをクビになった。
もうパティシエを諦めて事務職でも目指そうかな。
だって無能なんだから。
パティシエにすらなれないまま、私の心は折れた。
ーーーー
翌日、覚君から学校で自主練習をしようと誘われたけど、あまり乗りになれなかった。
取りあえず実習室には来たが、特に何かやるわけでもなく、覚君がチョコのテンパリングをしている様をじっと見ていた。
「●●ちゃんはやらないの?」
「クビになった」
「へ?」
「バイトクビになった。私、無能なんだって。覚君と違って才能ないみたい」
覚君の質問に明後日の解答をした私。
覚君は最初こそ驚いていたが、直ぐに私の言葉を理解してくれた。
「そんなこと言うお店、こっちから願い下げだヨ。逆に辞めれてよかったじゃん」
「うん、だから私事務職探すことにした」
幸い、製菓専攻の学校でも一般教養の勉強はあるし、秘書検定などのビジネス系検定の資格が取れる講義もある。
「それでいいの?」
「え?」
何でも応援してくれる覚君なら私がパティシエではなく事務職の道へ進むことを受け入れてくれると思っていた。
「事務職は仮に10年後でもできそうだけど、パティシエは今やめたら戻れないヨ」
確かに、いい歳になったとき経験無しでパティシエの道に入ろうと思うのは相当の決心がいる。
「でも、だって無能だって…使えないって言われたから……」
自分が思っている以上にオーナーから言われた無能と言う言葉が私を縛り付けている。
「●●ちゃんは何のためにこの学校に入ったの?遊ぶため?友達を作るため?違うでしょ、パティシエになるためでしょ」
「私だってパティシエになりたい。綺麗なケーキを作って、いろんな人に食べてもらって、美味しかったよって言ってもらいたいよ!」
「叶えようよ」
「できるかな?」
「俺が●●ちゃんを雇うよ」
え……雇うって……どういうこと?
「今はまだ無理でも、俺は必ず自分のお店を持つ。そしたら●●ちゃん働いてヨ」
涙がこぼれ落ちた。
私はまだパティシエになる夢を諦めなくていいんだ。
ーーFinーー