天童君は私にだけ冷たい
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ーーおまけーー
真実を知ってからの天童君の変わりようは、尋常ではなかった。
体育の授業が終わった後の、いつもの用具片付け。
「●●ちゃん、それ重たいでしょ。俺が全部運ぶから、そこで休んでてヨ」
「えっ、大丈夫だよ。軽いし……」
「ダメダメ!か弱い女の子にそんな重労働させられないってば!」
かつて私に数多の支柱を押し付け、嘲笑っていた男の子はどこへ行ったのだろう。
数学のグループワークでも、その徹底ぶりは凄まじかった。
「●●ちゃんはどう思う?俺は●●ちゃんの意見なら、なんでも正しいと思うけどネ!」
「えっと、私は──が──だから、────した方がいいかなって……どうかな?」
「うんうん、いいネ!さすが●●ちゃん、天才だヨ!」
あまりのベタ甘な態度に、同じ班のクラスメイトたちは引きつった笑いを浮かべ、そっと目を逸らす。
和解できたのは嬉しい。
名前で呼んでほしいと言ったのも私だ。
だけど、ここまで極端に姫扱いされるとは夢にも思わなかった。
何より困るのが、周囲の視線だ。
廊下を歩けば「あの天童が、◯◯に弱みを握られて脅されているらしい」とか、「ついに下僕に成り下がった」とか、根も葉もない噂が囁かれている。
さすがに放っておけず、私は放課後、彼を人気のない渡り廊下へ呼び出した。
「ねえ、天童君。そんなに気を遣わなくても、普通に接してくれればいいよ?」
「え〜これが俺の普通なんだけどな〜。なんなら、もっと尽くしてもいいくらいだヨ?」
廊下の壁に背を預け、飄々とした口調で言う天童君。
全く自覚がないらしい。
「でも、周りになんて言われているか知ってる?◯◯の“下僕”とか“犬”だよ。嫌じゃないの?」
「うーん、俺たちが真実を分かっていればそれでいいかな〜」
彼は長い指先で自分の赤い髪を弄りながら、どこまでも呑気だ。
「それとも●●ちゃんは嫌なの?俺、優秀な下僕になれると思うんだけどな〜」
「そういうことじゃなくて、私は天童君と対等になりたいの!」
一歩詰め寄って訴えると、天童君はピタリと動きを止めた。
三白眼の瞳が大きく見開かれ、キラキラと眩い光を宿し始める。
「●●ちゃん……」
「分かってくれた?」
「そんなに俺のことが好きなんだね!」
「え、あ、……うん?」
友達として好き、そう付け加えたけれど、彼の耳には届いていなかった。
「俺たち両想いじゃん!じゃあ、明日からはもっと、も〜っと優しくしちゃうからネ!」
「ちょっと待って、そういう意味じゃ……っ!」
私の制止も虚しく、彼は満足げに鼻歌を歌いながら体育館へと走っていった。
翌日から、天童君の贔屓っぷりには拍車がかかった。
私は呆れつつも、その過剰すぎる優しさに、少しだけ口角が上がるのを止められなかった。
真実を知ってからの天童君の変わりようは、尋常ではなかった。
体育の授業が終わった後の、いつもの用具片付け。
「●●ちゃん、それ重たいでしょ。俺が全部運ぶから、そこで休んでてヨ」
「えっ、大丈夫だよ。軽いし……」
「ダメダメ!か弱い女の子にそんな重労働させられないってば!」
かつて私に数多の支柱を押し付け、嘲笑っていた男の子はどこへ行ったのだろう。
数学のグループワークでも、その徹底ぶりは凄まじかった。
「●●ちゃんはどう思う?俺は●●ちゃんの意見なら、なんでも正しいと思うけどネ!」
「えっと、私は──が──だから、────した方がいいかなって……どうかな?」
「うんうん、いいネ!さすが●●ちゃん、天才だヨ!」
あまりのベタ甘な態度に、同じ班のクラスメイトたちは引きつった笑いを浮かべ、そっと目を逸らす。
和解できたのは嬉しい。
名前で呼んでほしいと言ったのも私だ。
だけど、ここまで極端に姫扱いされるとは夢にも思わなかった。
何より困るのが、周囲の視線だ。
廊下を歩けば「あの天童が、◯◯に弱みを握られて脅されているらしい」とか、「ついに下僕に成り下がった」とか、根も葉もない噂が囁かれている。
さすがに放っておけず、私は放課後、彼を人気のない渡り廊下へ呼び出した。
「ねえ、天童君。そんなに気を遣わなくても、普通に接してくれればいいよ?」
「え〜これが俺の普通なんだけどな〜。なんなら、もっと尽くしてもいいくらいだヨ?」
廊下の壁に背を預け、飄々とした口調で言う天童君。
全く自覚がないらしい。
「でも、周りになんて言われているか知ってる?◯◯の“下僕”とか“犬”だよ。嫌じゃないの?」
「うーん、俺たちが真実を分かっていればそれでいいかな〜」
彼は長い指先で自分の赤い髪を弄りながら、どこまでも呑気だ。
「それとも●●ちゃんは嫌なの?俺、優秀な下僕になれると思うんだけどな〜」
「そういうことじゃなくて、私は天童君と対等になりたいの!」
一歩詰め寄って訴えると、天童君はピタリと動きを止めた。
三白眼の瞳が大きく見開かれ、キラキラと眩い光を宿し始める。
「●●ちゃん……」
「分かってくれた?」
「そんなに俺のことが好きなんだね!」
「え、あ、……うん?」
友達として好き、そう付け加えたけれど、彼の耳には届いていなかった。
「俺たち両想いじゃん!じゃあ、明日からはもっと、も〜っと優しくしちゃうからネ!」
「ちょっと待って、そういう意味じゃ……っ!」
私の制止も虚しく、彼は満足げに鼻歌を歌いながら体育館へと走っていった。
翌日から、天童君の贔屓っぷりには拍車がかかった。
私は呆れつつも、その過剰すぎる優しさに、少しだけ口角が上がるのを止められなかった。
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