天童君は私にだけ冷たい
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夢を見た。
小学6年生のときに男子生徒によって掃除用具入れに閉じ込められた夢を。
用具入れの中は暗くて狭くて臭くて……。
「開けてよー!出してよー!」
どんなに扉を叩いても、泣き叫んでも扉は開かない。
叫びすぎて喉が切れても、必死に助けを求めた。
だけど、私の声は誰にも届かなかった。
そもそもなんで私は閉じ込められたの?
ぽわぽわと浮かび上がる一人の男の子。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
無意識に謝っていた。
そんな映像がやたら鮮明に映し出される。
これは本当に夢?
……いや、夢なんかじゃない。
これは私の記憶だ。
忘れていた記憶。
ーーーー
次に目が覚めたときには、私は保健室のベッドで寝かされていた。
胸糞悪い夢を見た。
いや、正確には現実にあったことだけど。
「あら、起きた?」
「先生……」
部屋には私と保健室の先生のみ。
天童君がいなくて安心した。
それなのに、
「同じクラスの天童君があなたをここまで連れてきてくれたのよ?彼、良い子よね。後でお礼を言いなさいね」
先生の言葉に耳を疑った。
お礼?私がこうなったのは彼が原因なのに。冗談じゃない。
怒りがフツフツと湧き上がる。
そんなとき、保健室の扉が開いた。
「失礼しま〜す」
カーテンで仕切られていたため姿は見えないけれど、声で分かる。
今一番会いたくない人物、天童君だ。
「あら、天童君。◯◯さん、ちょうど目が覚めたところよ」
「そうですか〜、良かったです」
猫を被った様な声。
そんな声も出せるんだね。笑いそうになる。
「あ、これ彼女の荷物を持ってきました」
「あら、ありがとう。だけど、先生これから会議があるから、少しだけ◯◯さんに付き添ってくれないかしら」
え、待って。どういうこと?
「もちろんですヨ」
「ありがとう。お願いね」
先生、行かないで!私を天童君と2人きりにしないで!
だけど、そんな思いは虚しく散り、程なくして先生は保健室から出ていった。
「さて、と」
シャーっと開けられたカーテン。
そこには怒った表情の天童君がいた。
「気絶なんかするなヨ。お陰で俺が運ぶハメになったじゃないの」
「…………」
元はといえば……。
だけど、今は歯向かう元気がなかった。
そのせいか、天童君はそれ以上何も言わないどころか、私の頭をポンポンと撫でた。
叩くようでも、掴むようでもなく、本当に優しく。
意味が分からなかった。
私は思わず顔を上げた。
そこには最初に見た怒った顔ではなく、何故か苦しそうな顔をした天童君がいた。
「何に謝った」
「?」
私が謝る?誰に何を?
「ここへ運ぶ間、ずっと謝っていた」
気絶していたんだから覚えがあるはずがない。
だけど、強いて言うなればあの胸糞悪い夢が関係していると思った。
「私、小学6年生のときに虐められていたクラスメイトを助けようとして……」
なんでこんなことを天童君なんかに話し始めたんだろう。
そう思いながらも言葉が止まらなかった。
「先生に言いつけに行ったら逆に虐めっ子に捕まって……掃除道具入れに閉じ込められたことがあるの」
「…………」
「だから、多分そのことが関係あるのかな」
「なんで言わなかった」
なんでって……。
言ったら閉じ込めなかったって?
「だって、さっき思い出したから。私その時期の記憶だけなくて……」
「ふーん、そっか」
天童君はそれだけ言うと私の荷物を置いて保健室から出ていった。
それにしても、私が助けたかったあのクラスメイトの男の子は誰だったんだろう。
おかっぱで目が大きくて……。
ダメだ。これ以上は思い出せない。
無理は良くない。
少しだけでも思い出せた自分を褒めてあげたい。
小学6年生のときに男子生徒によって掃除用具入れに閉じ込められた夢を。
用具入れの中は暗くて狭くて臭くて……。
「開けてよー!出してよー!」
どんなに扉を叩いても、泣き叫んでも扉は開かない。
叫びすぎて喉が切れても、必死に助けを求めた。
だけど、私の声は誰にも届かなかった。
そもそもなんで私は閉じ込められたの?
ぽわぽわと浮かび上がる一人の男の子。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
無意識に謝っていた。
そんな映像がやたら鮮明に映し出される。
これは本当に夢?
……いや、夢なんかじゃない。
これは私の記憶だ。
忘れていた記憶。
ーーーー
次に目が覚めたときには、私は保健室のベッドで寝かされていた。
胸糞悪い夢を見た。
いや、正確には現実にあったことだけど。
「あら、起きた?」
「先生……」
部屋には私と保健室の先生のみ。
天童君がいなくて安心した。
それなのに、
「同じクラスの天童君があなたをここまで連れてきてくれたのよ?彼、良い子よね。後でお礼を言いなさいね」
先生の言葉に耳を疑った。
お礼?私がこうなったのは彼が原因なのに。冗談じゃない。
怒りがフツフツと湧き上がる。
そんなとき、保健室の扉が開いた。
「失礼しま〜す」
カーテンで仕切られていたため姿は見えないけれど、声で分かる。
今一番会いたくない人物、天童君だ。
「あら、天童君。◯◯さん、ちょうど目が覚めたところよ」
「そうですか〜、良かったです」
猫を被った様な声。
そんな声も出せるんだね。笑いそうになる。
「あ、これ彼女の荷物を持ってきました」
「あら、ありがとう。だけど、先生これから会議があるから、少しだけ◯◯さんに付き添ってくれないかしら」
え、待って。どういうこと?
「もちろんですヨ」
「ありがとう。お願いね」
先生、行かないで!私を天童君と2人きりにしないで!
だけど、そんな思いは虚しく散り、程なくして先生は保健室から出ていった。
「さて、と」
シャーっと開けられたカーテン。
そこには怒った表情の天童君がいた。
「気絶なんかするなヨ。お陰で俺が運ぶハメになったじゃないの」
「…………」
元はといえば……。
だけど、今は歯向かう元気がなかった。
そのせいか、天童君はそれ以上何も言わないどころか、私の頭をポンポンと撫でた。
叩くようでも、掴むようでもなく、本当に優しく。
意味が分からなかった。
私は思わず顔を上げた。
そこには最初に見た怒った顔ではなく、何故か苦しそうな顔をした天童君がいた。
「何に謝った」
「?」
私が謝る?誰に何を?
「ここへ運ぶ間、ずっと謝っていた」
気絶していたんだから覚えがあるはずがない。
だけど、強いて言うなればあの胸糞悪い夢が関係していると思った。
「私、小学6年生のときに虐められていたクラスメイトを助けようとして……」
なんでこんなことを天童君なんかに話し始めたんだろう。
そう思いながらも言葉が止まらなかった。
「先生に言いつけに行ったら逆に虐めっ子に捕まって……掃除道具入れに閉じ込められたことがあるの」
「…………」
「だから、多分そのことが関係あるのかな」
「なんで言わなかった」
なんでって……。
言ったら閉じ込めなかったって?
「だって、さっき思い出したから。私その時期の記憶だけなくて……」
「ふーん、そっか」
天童君はそれだけ言うと私の荷物を置いて保健室から出ていった。
それにしても、私が助けたかったあのクラスメイトの男の子は誰だったんだろう。
おかっぱで目が大きくて……。
ダメだ。これ以上は思い出せない。
無理は良くない。
少しだけでも思い出せた自分を褒めてあげたい。