隣にいるための理由
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私って本当にタイミングが悪い。
頑張りたいって思っていたのに。
手首が痛い。曲げられない。コップすら持てない。
朝起きたときから痛いとは思っていたけど、痛み止めを飲めば大丈夫、また仕事が終わったらインスリン注射を打ちに病院に行けばいい。
そう思っていたのに………。
ガシャンッ!!
製造場に響き渡るステンレスのボウルが床に落ちる音。
「っ!!…………すみません」
痛みで震える手首を堪えながら落としたボウルを拾い上げる。
「◯◯さん、車ですか?」
ボウルの取っ手に手を掛けたところで、オーナーに問いかけられた。
ここまでの出勤の手段のことだろう。
「いいえ、歩きです」
それを聞くとオーナーは天童さんの名前を呼んだ。
「天童、病院に連れていってやれ」
「はい」
「あのっ!痛み止めを飲めばっ!」
私はまだできることを必死に伝えたけど、説得力のない震える手首を見られ、
「いいから!」
と、睨み付けられてしまった。
「ほら◯◯さん、行くよ?」
結局天童さんの運転する車に乗せられて病院に連れていかれた。
「すみません………すみません………」
助手席に乗っている間、呪文のように呟くことしか出来ない私に、天童さんはずっと頭を撫でてくれた。
ーーーー
病院では通常2~6週間安静にすれば良くなったものを、相当無理をしたせいか最低でも2ヵ月は動かさないようにと言われた。
ここで更に無理をすれば指が全く動かなくなる、将来自分の子供も抱っこできなくなる、と。
テーピングでぐるぐる巻きにされた手首を押さえながら、行きと同様天童さんの運転する車に揺られて、職場へと戻る。
「天童さん………私、仕事辞めさせられるんですかね?」
「さぁ?それは俺が決めることじゃないからね」
分かっている。
天童さんにこんなことを言っても仕方ない。
「………っ…………っぅ……」
だけど涙が止まらない。
「今は二人しかいないんだし、思いっきり泣いてもいいよ。俺も余所見できないから、泣き顔見られなくて済むし」
「て、天童さん………」
「覚さんって呼んでよ。●●ちゃん」
ああ、どうしてこんなにも天童さんは優しいんだ。
職場に着くまでの間、私は涙が枯れるまで泣いた。
オーナーからは今日はひとまず帰って、明日改めて話をしよう、と退勤を余儀なくされた。
頑張りたいって思っていたのに。
手首が痛い。曲げられない。コップすら持てない。
朝起きたときから痛いとは思っていたけど、痛み止めを飲めば大丈夫、また仕事が終わったらインスリン注射を打ちに病院に行けばいい。
そう思っていたのに………。
ガシャンッ!!
製造場に響き渡るステンレスのボウルが床に落ちる音。
「っ!!…………すみません」
痛みで震える手首を堪えながら落としたボウルを拾い上げる。
「◯◯さん、車ですか?」
ボウルの取っ手に手を掛けたところで、オーナーに問いかけられた。
ここまでの出勤の手段のことだろう。
「いいえ、歩きです」
それを聞くとオーナーは天童さんの名前を呼んだ。
「天童、病院に連れていってやれ」
「はい」
「あのっ!痛み止めを飲めばっ!」
私はまだできることを必死に伝えたけど、説得力のない震える手首を見られ、
「いいから!」
と、睨み付けられてしまった。
「ほら◯◯さん、行くよ?」
結局天童さんの運転する車に乗せられて病院に連れていかれた。
「すみません………すみません………」
助手席に乗っている間、呪文のように呟くことしか出来ない私に、天童さんはずっと頭を撫でてくれた。
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病院では通常2~6週間安静にすれば良くなったものを、相当無理をしたせいか最低でも2ヵ月は動かさないようにと言われた。
ここで更に無理をすれば指が全く動かなくなる、将来自分の子供も抱っこできなくなる、と。
テーピングでぐるぐる巻きにされた手首を押さえながら、行きと同様天童さんの運転する車に揺られて、職場へと戻る。
「天童さん………私、仕事辞めさせられるんですかね?」
「さぁ?それは俺が決めることじゃないからね」
分かっている。
天童さんにこんなことを言っても仕方ない。
「………っ…………っぅ……」
だけど涙が止まらない。
「今は二人しかいないんだし、思いっきり泣いてもいいよ。俺も余所見できないから、泣き顔見られなくて済むし」
「て、天童さん………」
「覚さんって呼んでよ。●●ちゃん」
ああ、どうしてこんなにも天童さんは優しいんだ。
職場に着くまでの間、私は涙が枯れるまで泣いた。
オーナーからは今日はひとまず帰って、明日改めて話をしよう、と退勤を余儀なくされた。