〜第二章〜 ただの変わり者好きな女の子
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去年の春。
高校を入学して直ぐの頃、仲良くなったナナコと映画を観に行く約束をした。
それなのに待ち合わせの5分前にトダキャンの連絡。
どうやら電車に乗って向かっている途中で財布を落としたことに気付き、駅員さんに問い合わせたところ反対路線の遠い駅で見つかったらしい。
そのため取りに行くのに時間がかかるからキャンセルしたい、と。
それなら仕方がない。
ただ一緒に観る予定の映画チケットは既に購入してあったため、キャンセルするのはもったいない。
一人で観るか。
私はナナコに一人で観る旨を伝えて映画館へ向かうことにした。
スマホから視線を戻すと、
「ねぇ、お姉さん」
「はい?」
知らない人に声をかけられた。
「ずっと一人でいるよね?もしかしてドタキャンされた?よかったら俺と遊ぼうよ」
いわゆるナンパってやつ?
あからさまにチャラそうな風貌の男性。
迷惑だけどドタキャンされたのは図星だったため、なんてかわせばいいのか言葉が思い付かなかった。
「えっと……」
「いいから、行こうぜ」
「やめっ」
ナンパ男に手を捕まれた。
思ったより力が強くて振り払えない。
だ、誰か助けて。
そんなとき、
「おい、邪魔だ」
ドスの聞いた声が飛んできた。
声が聞こえてきた方を見ると、手に食べかけのハミチキを持った、金髪坊主を刈り上げ黒の2本線を入れた男の人がいた。
あれ、髪色こそ変わっているが、私は彼を知っている。
中学が同じだった京谷賢太郎。
私と知って声をかけてくれたのかは分からないけど、助けてくれたのかな。
「な、なんだよ、お前」
中学の同級生とは言えあまり喋ったことがない京谷君。
昔を知っているからその容姿になんとも思わないが、初めて会う人にとってはやはり怖い見た目だと感じるようで、すっかり怖じ気づいた様子のナンパ男。
「何って喧嘩売ってんだ、買えよ」
助けてくれるのはありがたいけど、喧嘩はダメだよ!
しかし、ナンパ男は負けるビジョンが見えたのか、
「はぁ?誰が買うかよ。良く見たらその女大したことないし。せいぜい仲良くやんな」
逃げセリフを吐いて去っていった。
大したことないって……散々な言われよう。
でも、感傷に浸る前にお礼は言わないと。
「ありがとう。京谷君」
「あ゛ぁ?」
「!?」
あれ、やっぱり私のこと覚えていなかったのか。
それならそれで、見ず知らずの人を助けた精神に尊敬。
「こんなところで何やってんだよ、◯◯」
覚えてるんじゃん。
「友達と映画観る約束してたんだけど、来られなくなっちゃったみたいでね」
「ふーん」
「あ、京谷君時間ある?よかったら一緒に映画どう?お礼も兼ねて」
「……」
「もちろん、興味あればだけど」
「………く」
「ん?」
「行く」
「そ、そうか!よし行こう」
誘っておいてなんだけど、まさか来るとは。
でも、映画のチケットが無駄にならずに済んでよかった。
高校を入学して直ぐの頃、仲良くなったナナコと映画を観に行く約束をした。
それなのに待ち合わせの5分前にトダキャンの連絡。
どうやら電車に乗って向かっている途中で財布を落としたことに気付き、駅員さんに問い合わせたところ反対路線の遠い駅で見つかったらしい。
そのため取りに行くのに時間がかかるからキャンセルしたい、と。
それなら仕方がない。
ただ一緒に観る予定の映画チケットは既に購入してあったため、キャンセルするのはもったいない。
一人で観るか。
私はナナコに一人で観る旨を伝えて映画館へ向かうことにした。
スマホから視線を戻すと、
「ねぇ、お姉さん」
「はい?」
知らない人に声をかけられた。
「ずっと一人でいるよね?もしかしてドタキャンされた?よかったら俺と遊ぼうよ」
いわゆるナンパってやつ?
あからさまにチャラそうな風貌の男性。
迷惑だけどドタキャンされたのは図星だったため、なんてかわせばいいのか言葉が思い付かなかった。
「えっと……」
「いいから、行こうぜ」
「やめっ」
ナンパ男に手を捕まれた。
思ったより力が強くて振り払えない。
だ、誰か助けて。
そんなとき、
「おい、邪魔だ」
ドスの聞いた声が飛んできた。
声が聞こえてきた方を見ると、手に食べかけのハミチキを持った、金髪坊主を刈り上げ黒の2本線を入れた男の人がいた。
あれ、髪色こそ変わっているが、私は彼を知っている。
中学が同じだった京谷賢太郎。
私と知って声をかけてくれたのかは分からないけど、助けてくれたのかな。
「な、なんだよ、お前」
中学の同級生とは言えあまり喋ったことがない京谷君。
昔を知っているからその容姿になんとも思わないが、初めて会う人にとってはやはり怖い見た目だと感じるようで、すっかり怖じ気づいた様子のナンパ男。
「何って喧嘩売ってんだ、買えよ」
助けてくれるのはありがたいけど、喧嘩はダメだよ!
しかし、ナンパ男は負けるビジョンが見えたのか、
「はぁ?誰が買うかよ。良く見たらその女大したことないし。せいぜい仲良くやんな」
逃げセリフを吐いて去っていった。
大したことないって……散々な言われよう。
でも、感傷に浸る前にお礼は言わないと。
「ありがとう。京谷君」
「あ゛ぁ?」
「!?」
あれ、やっぱり私のこと覚えていなかったのか。
それならそれで、見ず知らずの人を助けた精神に尊敬。
「こんなところで何やってんだよ、◯◯」
覚えてるんじゃん。
「友達と映画観る約束してたんだけど、来られなくなっちゃったみたいでね」
「ふーん」
「あ、京谷君時間ある?よかったら一緒に映画どう?お礼も兼ねて」
「……」
「もちろん、興味あればだけど」
「………く」
「ん?」
「行く」
「そ、そうか!よし行こう」
誘っておいてなんだけど、まさか来るとは。
でも、映画のチケットが無駄にならずに済んでよかった。