ダサいふたり
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デートの前日。
今日は張り切ってデート用の服を買いに行く予定だ。
たくさん試着することを想定して、脱ぎ着しやすいような、適当なTシャツとデニムのパンツを着る。
なんて、本当はこれしか、ちゃんと外に出られる服が手持ちにないだけ。
準備もそこそこに、街へ繰り出した。
ーーーー
街へ出ると、休日のせいか人が多くて、余計に緊張してしまう。
手始めに1番入りやすそうな服屋さんに入る。
だけど中を見渡すと、どれもこれも自分が普段着ないような、可愛くて華やかな服がずらりと並んでいた。
キラキラして見えて、なんだか自分が場違いのような気さえもする。
巷ではこういうのが流行っているのか……。
何を選べばいいのか、全く分からない。
こういうときはマネキンが着ている服を一式買うのが正解かな?
そう思い、人目を気にしつつ値札を見ると、予算オーバーだった。
当たり前か、と少し苦笑いしてしまう。
仕方がないから、おとなしくセール品の中から見繕うことにした。
それでも、どれがいいのか分からなくて、服を手に取っては、鏡に当ててみる。
それを繰り返していると、店員さんが声をかけてきた。
「そちらの服、とってもお似合いですよ!よければ試着してみてください」
突然すぎて、目が泳ぐ。
「あ……はい……」
流されるまま、案内された試着室へ入った。
せっかくここまで来たんだから、着るだけ着てみるか……。
ズボンを脱ぎ、花柄のスカートをそっと足に通す。
そして、鏡に映った自分の全身をゆっくりと見つめた。
……似合わない。
店員さんは似合うって言ってくれたけれど、自分には可愛すぎる気がした。
念の為にくるりと鏡の前で一回転してみたけれど、どの角度から見てもしっくりこない。
……返そう。
元のデニムに履き替えようとした、そのとき。
「いかがですかー?」
外から店員さんの明るい声が聞こえてきた。
「あ、はい……。いいと思います」
ここは当たり障りのないことを言って、後でこっそり棚に返そう。
そう思っていたのに、カーテンがシャッと開けられた。
「本当にお似合いですね!そちらのスカート、お姉さんが着ているTシャツにも合っていると思いますよ!」
店員さんに褒めちぎられてしまい、返すに返せない雰囲気に。
「あ、じゃあ……この服ください……」
気が付けば、しどろもどろにそう答えていた。
「ありがとうございます!せっかくなので、そのまま着て帰られますか?」
「はい……お願いします」
なんだか、勢いで買ってしまった。
お店を出てからショーウィンドウに映った自分の姿をもう1度確認すると、意外と悪くない気がしてきた。
そう思っていたら、向かいから長谷君が数人の男友達を連れてこちらに歩いてきた。
胸がドキリと跳ねる。
まさか、こんな場所で会うなんて。
心の準備もないまま、私は立ち尽くしてしまう。
「●●ちゃんじゃん!奇遇だね、こんなところで会うなんて」
長谷君はいつものように爽やかに声をかけてくれる。
だけど、その後ろにいる友達たちが私をじろじろ見ているのが分かって、体が強ばる。
「うん、ちょっとお買い物に……」
声が小さく、いつもより頼りなく聞こえる。
視線を合わせるのも怖くて、俯きがちに答える。
けれど、長谷君は私の頭の先から爪先まで、じろりと値踏みするように見下ろした。
その冷たい目に、心臓がギュッと締めつけられる。
「ごめん、明日のデート、やっぱりなしにしてもらえないかな?用事ができちゃって」
突き放すような無機質な声。
一瞬、何を言っているのか理解できなかった。
引き止める間もなく、
「じゃ、そういうことだから」
そう言って、私のことなんて最初からいなかったかのように、長谷君は友達と肩を並べて、嘲るような小さな笑い声を漏らしながら歩き去っていった。
熱いものがぐっとこみ上げてくる。
頭がくらくらして、視界がぐにゃりと歪む。
頬に涙が零れそうなのを、なんとかこらえようと顔を伏せる。
私の服……やっぱりダメだったんだ。
長谷君は、私みたいなダサい子と一緒に歩くのが嫌だったんだ。
恥ずかしくて、悔しくて、消えてしまいたい気持ちでいっぱいになる。
「もう、最悪……」
ぽつりと漏れたその言葉は、街の賑やかな音にかき消された。
まだ1ヶ所しかお店を見ていなかったのに。
そもそもデートも断られた今、服を買う理由もなくなった。
泣き出しそうな顔を必死で隠しながら、私は人の流れを避けるようにして帰路についた。
今日は張り切ってデート用の服を買いに行く予定だ。
たくさん試着することを想定して、脱ぎ着しやすいような、適当なTシャツとデニムのパンツを着る。
なんて、本当はこれしか、ちゃんと外に出られる服が手持ちにないだけ。
準備もそこそこに、街へ繰り出した。
ーーーー
街へ出ると、休日のせいか人が多くて、余計に緊張してしまう。
手始めに1番入りやすそうな服屋さんに入る。
だけど中を見渡すと、どれもこれも自分が普段着ないような、可愛くて華やかな服がずらりと並んでいた。
キラキラして見えて、なんだか自分が場違いのような気さえもする。
巷ではこういうのが流行っているのか……。
何を選べばいいのか、全く分からない。
こういうときはマネキンが着ている服を一式買うのが正解かな?
そう思い、人目を気にしつつ値札を見ると、予算オーバーだった。
当たり前か、と少し苦笑いしてしまう。
仕方がないから、おとなしくセール品の中から見繕うことにした。
それでも、どれがいいのか分からなくて、服を手に取っては、鏡に当ててみる。
それを繰り返していると、店員さんが声をかけてきた。
「そちらの服、とってもお似合いですよ!よければ試着してみてください」
突然すぎて、目が泳ぐ。
「あ……はい……」
流されるまま、案内された試着室へ入った。
せっかくここまで来たんだから、着るだけ着てみるか……。
ズボンを脱ぎ、花柄のスカートをそっと足に通す。
そして、鏡に映った自分の全身をゆっくりと見つめた。
……似合わない。
店員さんは似合うって言ってくれたけれど、自分には可愛すぎる気がした。
念の為にくるりと鏡の前で一回転してみたけれど、どの角度から見てもしっくりこない。
……返そう。
元のデニムに履き替えようとした、そのとき。
「いかがですかー?」
外から店員さんの明るい声が聞こえてきた。
「あ、はい……。いいと思います」
ここは当たり障りのないことを言って、後でこっそり棚に返そう。
そう思っていたのに、カーテンがシャッと開けられた。
「本当にお似合いですね!そちらのスカート、お姉さんが着ているTシャツにも合っていると思いますよ!」
店員さんに褒めちぎられてしまい、返すに返せない雰囲気に。
「あ、じゃあ……この服ください……」
気が付けば、しどろもどろにそう答えていた。
「ありがとうございます!せっかくなので、そのまま着て帰られますか?」
「はい……お願いします」
なんだか、勢いで買ってしまった。
お店を出てからショーウィンドウに映った自分の姿をもう1度確認すると、意外と悪くない気がしてきた。
そう思っていたら、向かいから長谷君が数人の男友達を連れてこちらに歩いてきた。
胸がドキリと跳ねる。
まさか、こんな場所で会うなんて。
心の準備もないまま、私は立ち尽くしてしまう。
「●●ちゃんじゃん!奇遇だね、こんなところで会うなんて」
長谷君はいつものように爽やかに声をかけてくれる。
だけど、その後ろにいる友達たちが私をじろじろ見ているのが分かって、体が強ばる。
「うん、ちょっとお買い物に……」
声が小さく、いつもより頼りなく聞こえる。
視線を合わせるのも怖くて、俯きがちに答える。
けれど、長谷君は私の頭の先から爪先まで、じろりと値踏みするように見下ろした。
その冷たい目に、心臓がギュッと締めつけられる。
「ごめん、明日のデート、やっぱりなしにしてもらえないかな?用事ができちゃって」
突き放すような無機質な声。
一瞬、何を言っているのか理解できなかった。
引き止める間もなく、
「じゃ、そういうことだから」
そう言って、私のことなんて最初からいなかったかのように、長谷君は友達と肩を並べて、嘲るような小さな笑い声を漏らしながら歩き去っていった。
熱いものがぐっとこみ上げてくる。
頭がくらくらして、視界がぐにゃりと歪む。
頬に涙が零れそうなのを、なんとかこらえようと顔を伏せる。
私の服……やっぱりダメだったんだ。
長谷君は、私みたいなダサい子と一緒に歩くのが嫌だったんだ。
恥ずかしくて、悔しくて、消えてしまいたい気持ちでいっぱいになる。
「もう、最悪……」
ぽつりと漏れたその言葉は、街の賑やかな音にかき消された。
まだ1ヶ所しかお店を見ていなかったのに。
そもそもデートも断られた今、服を買う理由もなくなった。
泣き出しそうな顔を必死で隠しながら、私は人の流れを避けるようにして帰路についた。
