ーーおまけ(瀬見side)ーー


たまには自分とは縁のない人と話がしてみたい。
そう思いマッチングアプリに登録した。

顔写真を載せなくても20代の公務員、高身長ってだけで友達申請は意外と来るし、こちらからの申請も多く承認してもらえた。

だけど、直ぐに顔写真を要求してきたり、公務員でも薄給だとか分かると急に連絡が途絶える。

ちぃーさんは1週間無視されたあげく友達解除、イチゴさんは話題を広げない受け身タイプ、一問一答。mimiさんは面接を受けてるのかってくらい俺を値踏みしてきた。

俺は純粋に会話を楽しみたいだけなのに。

いっそうのこと年齢も住んでいる県も非公開にするか。

そうしたら、一気に友達申請もなくなったし、送っても拒否されるようになった。

そんな中、唯一友達申請を送ってくれたのがナナさん。

彼女のプロフィールを見ると歳も近そうだし住んでいる県も同じ。話が合いそう。

予想通りナナさんとのやり取りは楽しかった。
俺が非公開にしている情報を無理に聞き出そうとはせず、最近見たテレビ、美味しかった食べ物、ハマっている趣味など純粋に会話を楽しめた。

そんなある日、ナナさんがバレーボールの試合を観に行った話をしてくれた。
きっかけは友達の付き合いだけど、試合は見ごたえがあり楽しかった、と。
特に牛島選手が格好良かったらしい。

それを聞いたとき、俺はナナさんに会ってみたくなった。
だって初めて見るバレーの試合で、俺のチームメイトだった若利を褒めていたから。

気付いたら“会ってみませんか”と送っていた。