次にマッチングアプリを起動させたとき、既に瀬見さんは退会していた。

瀬見さんとしかやり取りをしていなかったが、なんとなくアプリをアンインストールしなかった。


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あれから今まで通り瀬見さんとはやり取りをしているが、

平日は仕事、終わった後はバンド練習。土日は路上ライブやライブ会場を借りて演奏をしているらしく、2回目に会うことはなかった。

そんな休日のお昼、一人でショッピングに出掛けた。

この服、瀬見さんに似合いそう。
自分の服を見ていたはずなのに、いつの間にか瀬見さんに似合いそうな服を選んでいた。

いやいや、付き合っているわけでもないし、本人も服を選んでほしいなんて一言も言っていないのに、私は何をしているんだ。

そんなことを考えていると、向のカフェから瀬見さんらしき人が出てきた。
綺麗な女性を隣に連れて。

休日はバンドで忙しいって言っていたのに。
でも、忙しくたってお茶する時間はあるよね。

それに付き合っているわけじゃないってさっきも言ったじゃん。

気になってショッピングに集中できず、結局何も買わずに帰宅した。


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消さずに残してあったマッチングアプリを久しぶりに起動させた。

相変わらず変な人からの友達申請が来ていた。
その人たちはひとまずスルーして、男性リストを眺めた。

そんな中、目に止まった″みーんみん″さん。

みーんみん…ミンミンゼミ…瀬見さん？！
みーんみんさんのプロフィールを覗いた。

同じ県、歳も同じ20代、背は高い方。音楽が好き。

写真もなければ、瀬見さんが登録していたときのプロフィールとも違うが、共通点が多い。

もしかして別の名前で登録し直した？

ああ、こう言うことがあるからマッチングアプリって疑心暗鬼になる。
瀬見さんが退会したときに私も消せば良かったのに。