好きな人の好きなものでも嫌いなら嫌い
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ーーおまけーー
あの騒動から、数日後の放課後。
私たちは、いつもの帰り道にある小さな公園のベンチに、並んで座っていた。
鉄朗の膝の上には、スクールバッグと、小さなコンビニの袋。
先ほど寄り道した際に、彼が嬉しそうに買い込んでいたものだ。
「ねえ、何買ったの?」
覗き込むように顔を近付けると、鉄朗はフフンッと得意げに鼻を鳴らした。
「これ、食ったことある?」
袋から取り出されたのは、湯気で少し湿気ったホットスナックの紙パック。
蓋が開けられた瞬間、揚げたての香ばしい油の匂いと、ほんのり香る磯の香りがふわりと鼻腔をくすぐった。
中には、きつね色に揚がった一口サイズの丸い球体がいくつか転がっている。
「……揚げボール?」
「そう、中身はしらすとチーズ。数年ぶりの復刻商品でさ、当時めっちゃハマって食ったんだよね。だから、復刻してマジで嬉しいわ」
「へぇ、初めて知った」
物珍しそうにパックを見つめる私を見て、鉄朗は備え付けられていた爪楊枝を取り出すと、丸い塊へ突き刺した。
そして、私の目の前までそっと差し出してくる。
「ほら、これさ……」
いつもの意地悪そうな表情ではなく、優しい瞳が私を真っ直ぐに見つめていた。
「しらすなら骨もねぇし。丸いけど、バレーボールと違って柔らかいだろ?……これなら、●●も食えると思ってさ」
「……っ!」
ドクンと胸が大きく跳ねる。
ただ自分の好物だから買ったのだとばかり思っていた。
それなのに、鉄朗は私のトラウマを忘れることなく、歩み寄るために用意してくれていた。
その事実が、たまらなく嬉しい。
「ふふ、過保護すぎ。でも、ありがとう。……いただきます」
少し照れくささを隠すように小さく笑って、鉄朗から爪楊枝を受け取る。
それをひょいっと口に運んだ。
サクッとした衣の中から、しらすの優しい塩気と、とろけるチーズがジュワッと口に広がった。
「……ん!美味しい!」
目を輝かせる私を見て、鉄朗は待ってましたとばかりにニカッと顔を綻ばせる。
「だろ?これで同じ好きな物が増えたな」
嬉しそうにそう言うと、鉄朗も隣で豪快に指で摘んで口に放り込んだ。
「ん、やっぱりうめぇ」
「ふふふ、ちょっと鉄朗、口元に衣がついてるよ」
「え、マジ?どこ?」
慌てて口元を動かし、衣をペロリと舌で舐め取った鉄朗。
だけど、そのせいで彼の唇は油でツヤツヤと光った。
その少し抜けている姿に、思わず笑みが溢れてしまう。
「何笑ってんだよ!もしかして、まだ取れてねぇ?」
「んー、どうだろ。内緒」
「うわー、酷いな。教えてくれたっていいだろ」
鉄朗はわざとらしく眉をひそめ、唇を尖らせてみせる。
だけど、その瞳は優しく細められたままだ。
夕日に染まる静かな公園の中で、私たちはどちらからともなく、顔を見合わせて笑った。
これからも、新しい2人だけの好きを増やしていけばいい。
そんな温かい未来が、私たちを待っている。
あの騒動から、数日後の放課後。
私たちは、いつもの帰り道にある小さな公園のベンチに、並んで座っていた。
鉄朗の膝の上には、スクールバッグと、小さなコンビニの袋。
先ほど寄り道した際に、彼が嬉しそうに買い込んでいたものだ。
「ねえ、何買ったの?」
覗き込むように顔を近付けると、鉄朗はフフンッと得意げに鼻を鳴らした。
「これ、食ったことある?」
袋から取り出されたのは、湯気で少し湿気ったホットスナックの紙パック。
蓋が開けられた瞬間、揚げたての香ばしい油の匂いと、ほんのり香る磯の香りがふわりと鼻腔をくすぐった。
中には、きつね色に揚がった一口サイズの丸い球体がいくつか転がっている。
「……揚げボール?」
「そう、中身はしらすとチーズ。数年ぶりの復刻商品でさ、当時めっちゃハマって食ったんだよね。だから、復刻してマジで嬉しいわ」
「へぇ、初めて知った」
物珍しそうにパックを見つめる私を見て、鉄朗は備え付けられていた爪楊枝を取り出すと、丸い塊へ突き刺した。
そして、私の目の前までそっと差し出してくる。
「ほら、これさ……」
いつもの意地悪そうな表情ではなく、優しい瞳が私を真っ直ぐに見つめていた。
「しらすなら骨もねぇし。丸いけど、バレーボールと違って柔らかいだろ?……これなら、●●も食えると思ってさ」
「……っ!」
ドクンと胸が大きく跳ねる。
ただ自分の好物だから買ったのだとばかり思っていた。
それなのに、鉄朗は私のトラウマを忘れることなく、歩み寄るために用意してくれていた。
その事実が、たまらなく嬉しい。
「ふふ、過保護すぎ。でも、ありがとう。……いただきます」
少し照れくささを隠すように小さく笑って、鉄朗から爪楊枝を受け取る。
それをひょいっと口に運んだ。
サクッとした衣の中から、しらすの優しい塩気と、とろけるチーズがジュワッと口に広がった。
「……ん!美味しい!」
目を輝かせる私を見て、鉄朗は待ってましたとばかりにニカッと顔を綻ばせる。
「だろ?これで同じ好きな物が増えたな」
嬉しそうにそう言うと、鉄朗も隣で豪快に指で摘んで口に放り込んだ。
「ん、やっぱりうめぇ」
「ふふふ、ちょっと鉄朗、口元に衣がついてるよ」
「え、マジ?どこ?」
慌てて口元を動かし、衣をペロリと舌で舐め取った鉄朗。
だけど、そのせいで彼の唇は油でツヤツヤと光った。
その少し抜けている姿に、思わず笑みが溢れてしまう。
「何笑ってんだよ!もしかして、まだ取れてねぇ?」
「んー、どうだろ。内緒」
「うわー、酷いな。教えてくれたっていいだろ」
鉄朗はわざとらしく眉をひそめ、唇を尖らせてみせる。
だけど、その瞳は優しく細められたままだ。
夕日に染まる静かな公園の中で、私たちはどちらからともなく、顔を見合わせて笑った。
これからも、新しい2人だけの好きを増やしていけばいい。
そんな温かい未来が、私たちを待っている。
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