最低最善の恋人
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レポートを一緒に済ませて以来、私たちはキャンパス内で自然と顔を合わせる時間が増えた。
それでも、周りから見た私は、いつも一緒にいる女友達の1人なのかもしれない。
ただ、復讐のためには、その枠を壊さなければいけない。
私は意を決し、彼をキャンパスの外へと誘うことにした。
「ねえ、黒尾君。たまには気分を変えて、外でランチしない?」
手始めに、一番無難な提案をした。
「いいな!じゃあ、駅前のカフェに集合で!」
鉄朗はあっさりと同意した。
しかし当日、教授の熱弁が予想外に長く、講義が終わったのは待ち合わせ時間を過ぎてからだった。
焦りながらスマホを見ると、彼からのメッセージが届いていた。
“先に店の中入ってるけど、慌てなくていいからな”
こちらの状況を察して、気遣う内容。
普通なら安堵する場面だろう。
だけど、私は鉄朗を落とすためにランチに誘った。
それなのに、逆に気を遣われては意味がない。
私は駆け足で目的地へ向かった。
約束のカフェの扉を開けると、店内に充満するコーヒーの匂いが鼻をくすぐった。
私は視線を巡らせ、すぐに彼を見つけた。
窓際のカウンター席に1人ポツリと座っている鉄朗。
その姿を見つけた瞬間、私は安堵した。
だけど、鉄朗のすぐ横まで近寄っても、彼はスマホに夢中で私の存在には全く気付かない。
どうやらイヤホンを着けているようだ。
画面に映っているのは、バレーボールの試合の動画だった。
「お待たせ」
私は少しだけ声を張って言った。
その声で、鉄朗はようやく私の方を見た。
彼はイヤホンを片耳だけ外し、少し申し訳なさそうな顔でこちらに向き直る。
「おお、来てたのか。悪い、気付かなくて」
「ううん、私も遅れてごめんね」
私はすぐに隣の席に腰を下ろし、彼のスマホを覗き込んだ。
「何見てたの?バレー?」
「ああ。後輩が出てる試合の中継。あいつら、俺たちが卒業してもしっかりやれてるみたいで安心した」
鉄朗はそう言って、嬉しそうに目を細めた。
「ふ〜ん……」
鉄朗がバレー部だったなんて知らなかった。
それもそのはず、小学校の途中で引っ越してから、高校までの7年間、彼のことを全く知らないのだから。
「私、バレーって詳しくないけど、格好良いね。黒尾君がバレーしてるところも、見てみたかったかも」
バレーボールへの関心はゼロに等しかったけれど、共感を示せば、彼は喜ぶはずだ。
私の思惑通り、鉄朗は嬉々としてバレーボール愛について語り始めた。
トスやブロック、戦術の話。
その表情は生き生きとしていて、彼の熱量が伝わってくる。
「……でさ、あの選手のスパイクが速いのなんのって!」
予想以上の食いつきに、私は少し引いてしまった。
正直ついていけない。
だけど、ここで話を遮るのは、彼の気分を害してしまう。
私はもっともらしい逃げる方法を考えた。
「えっと……まだ黒尾君の話を聞いていたいけど、私まだ注文を済ませてないから、ちょっと待ってて」
私はそう言って、彼の熱弁から逃げるように注文カウンターへと向かった。
それでも、周りから見た私は、いつも一緒にいる女友達の1人なのかもしれない。
ただ、復讐のためには、その枠を壊さなければいけない。
私は意を決し、彼をキャンパスの外へと誘うことにした。
「ねえ、黒尾君。たまには気分を変えて、外でランチしない?」
手始めに、一番無難な提案をした。
「いいな!じゃあ、駅前のカフェに集合で!」
鉄朗はあっさりと同意した。
しかし当日、教授の熱弁が予想外に長く、講義が終わったのは待ち合わせ時間を過ぎてからだった。
焦りながらスマホを見ると、彼からのメッセージが届いていた。
“先に店の中入ってるけど、慌てなくていいからな”
こちらの状況を察して、気遣う内容。
普通なら安堵する場面だろう。
だけど、私は鉄朗を落とすためにランチに誘った。
それなのに、逆に気を遣われては意味がない。
私は駆け足で目的地へ向かった。
約束のカフェの扉を開けると、店内に充満するコーヒーの匂いが鼻をくすぐった。
私は視線を巡らせ、すぐに彼を見つけた。
窓際のカウンター席に1人ポツリと座っている鉄朗。
その姿を見つけた瞬間、私は安堵した。
だけど、鉄朗のすぐ横まで近寄っても、彼はスマホに夢中で私の存在には全く気付かない。
どうやらイヤホンを着けているようだ。
画面に映っているのは、バレーボールの試合の動画だった。
「お待たせ」
私は少しだけ声を張って言った。
その声で、鉄朗はようやく私の方を見た。
彼はイヤホンを片耳だけ外し、少し申し訳なさそうな顔でこちらに向き直る。
「おお、来てたのか。悪い、気付かなくて」
「ううん、私も遅れてごめんね」
私はすぐに隣の席に腰を下ろし、彼のスマホを覗き込んだ。
「何見てたの?バレー?」
「ああ。後輩が出てる試合の中継。あいつら、俺たちが卒業してもしっかりやれてるみたいで安心した」
鉄朗はそう言って、嬉しそうに目を細めた。
「ふ〜ん……」
鉄朗がバレー部だったなんて知らなかった。
それもそのはず、小学校の途中で引っ越してから、高校までの7年間、彼のことを全く知らないのだから。
「私、バレーって詳しくないけど、格好良いね。黒尾君がバレーしてるところも、見てみたかったかも」
バレーボールへの関心はゼロに等しかったけれど、共感を示せば、彼は喜ぶはずだ。
私の思惑通り、鉄朗は嬉々としてバレーボール愛について語り始めた。
トスやブロック、戦術の話。
その表情は生き生きとしていて、彼の熱量が伝わってくる。
「……でさ、あの選手のスパイクが速いのなんのって!」
予想以上の食いつきに、私は少し引いてしまった。
正直ついていけない。
だけど、ここで話を遮るのは、彼の気分を害してしまう。
私はもっともらしい逃げる方法を考えた。
「えっと……まだ黒尾君の話を聞いていたいけど、私まだ注文を済ませてないから、ちょっと待ってて」
私はそう言って、彼の熱弁から逃げるように注文カウンターへと向かった。
