結局どんなキミも好き
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ーーおまけ(黒尾side)ーー
高校1年生の春、俺は一目惚れをした。
「音駒中出身の黒尾鉄朗です。よろしく」
自己紹介をしているときに、俺を見上げる上目遣いの●●ちゃんに。
そんな彼女が俺が入る予定の男バレのマネージャーをやろうかと言ってきた。
だけど、好きな子に見られながらだなんて練習に集中できる気がしなくて、
「本当にやりたいなら入ればいいと思うよ。だけどそうじゃないなら、本気でやりたい人の迷惑になるかもしれないから、止めた方がいい」
ついキツイことを言ってしまった。
迷惑なんて思ってもいないくせに。
俺の勝手な考えのせいなのに。
「あ、うん。そうだよね」
そう言って気まずそうにする●●ちゃんの顔が頭から離れない。
ーーーー
休み時間に夜久のクラスの前で海と3人で雑談をしていた。
「夜久はショートカットが好きなのか?」
「好き!!」
「黒尾は?」
この頃の俺は何かと夜久に対抗したくて、真逆の答えを言っていた。
それは今回も例外ではない。
実際にロングヘアは好きだ。
だけど、今回ばかりはショートヘアの●●ちゃんの顔を浮かべながら、
「ロング」
なんて高圧的に夜久を見下ろしながら言ってやった。
するとタイミングが悪いことに、●●ちゃんが俺たちの側を横切った。
今の会話、まさか聞いていないよな。
特に気にも止めていなさそうに通り過ぎたけど……。
不安を覚えながらも、様子を伺いつつ授業後のホームルームで行われた体育祭の二人三脚に●●ちゃんを誘ってみた。
「なあ、●●ちゃん!俺と二人三脚出ない?」
二人三脚に誘ったのは密着できるからではなく、男女混合の種目がこれくらいしかなかったから。
決して……決して密着したかったからではない!
「えっ……?!私と黒尾君だと身長差ありすぎでしょ」
戸惑ってはいるけれど嫌なわけではなさそう。
これはもう一押ししたらいけるな。
「大丈夫、大丈夫!ほら●●ちゃんって運動神経良いでしょ?だから、上手くいくと思うんだよね。俺の勘がそう言っている」
「そこまで言うなら……やってみようかな」
「そうこなくちゃ!」
これで●●ちゃんとの接点が増えた。
このチャンスを逃さないように仲を深めたい。
ーーーー
俺の予想通り自主練習、予行練習共に●●ちゃんとの息はぴったりだった。
この調子なら本番も余裕のはず。
そう思っていたのに、いざ競技が始まると●●ちゃんのタイミングがいつもと違った。
「いっちに、いっちに!」
掛け声もどんどん速くなっていく。
落ち着かせないと。
そう思うより先にバランスが崩れた。
「……あっ………!」
自分の身なんてどうでもいい。
俺は受け身を取らず、咄嗟に●●ちゃんを庇うように抱きしめて肘から倒れ込んだ。
「痛っ……」
俺の腕の中で慌てふためく●●ちゃん。
抱きしめられていることにも気が付いていないのか。
ひとまず当初の予定通り彼女を落ち着かせないと。
「●●、落ち着け!大丈夫だから!」
「黒尾君……」
どさくさに紛れて呼び捨てで呼んだけれど、ようやく●●ちゃんと目が合った。
その目には揺らぎが感じられない。
俺が惚れた彼女の瞳。
もう大丈夫そうだ。
「せーので起き上がるぞ」
「う、うん」
「……せーのっ」
呼び掛けに合わせて立ち上がる。
「諦めるにはまだ早い。さあ、挽回の時間だ」
その後、俺たちは脅威の追い上げを見せ、3位に滑り込むことが出来た。
悔しくないと言ったら嘘になる。
1位を獲った夜久はヘラヘラとペアの子と笑っていて腹が立つし。
だけど、そんなことよりも●●ちゃんのフォローが先だ。
彼女に話し掛けようとしたら、逆に話し掛けられた。
「あ、あの……黒尾君……その……えっと……」
●●ちゃんは今にも泣きそうな顔をしていた。
ああ、これはマズイやつだ。
相当気にしている。
ここで彼女に謝罪をさせたら男が廃る。
「悪い!俺がタイミングずらした!」
●●ちゃんの言葉も待たずに大きく頭を下げた。
「あ、頭を上げてよ」
「あのとき●●ちゃんには落ち着けとか言っておいて、俺の方が夜久たちに追い越されると思って焦った」
正確には落ち着かせないといけないと分かっていながらもフォローできなかった。
フォローできないならできないなりに●●ちゃんのペースに合わせればいいだけなのに、それすらできなかった俺の責任でもある。
●●ちゃんの反応を待つと、
「黒尾君……ありがとう」
そこにはあの時と同じ揺るぎない瞳の彼女が。
「責められる理由はあれどまさかお礼を言われるとは……。間違っていない?」
「ううん。間違っていないよ。私、黒尾君とペアになれて良かった!本当にありがとう!」
なんて、とびっきりの笑顔で言うもんだから、
「はああぁぁ〜〜」
大きくため息を吐きながらしゃがみ込んだ。
その顔は反則。
「黒尾君?」
俺の名前を呼びながら視線を合わせる彼女に、つい本音が溢れた。
「俺、やっぱり●●ちゃんのこと好きだわ」
確実に告白は今じゃない。
だけど言いたくなったんだから仕方がない。
「……ええ!?なんで?今?」
案の定驚く●●ちゃん。
それどころかおかしなことを言い始めた。
「でも、だって……!黒尾君は髪の長い子が好きなんじゃないの?!」
髪の長い子……?
ああ、あの時の夜久と海のやり取り、やっぱり聞こえていたのか。
「は?なにそれ。確かにロングヘアは好きだけど、俺が好きになったのはショートヘアの●●ちゃんなんだけど」
「そんなこと言われても……」
結局ロングだとかショートだとか関係なく、どんなキミも好きなんだよ、俺は。
そんな俺の好みなど知らず、もじもじとする●●ちゃん。
誤解は解けたはずだし、この反応は絶対に彼女も俺のことが好きなはず。
「で、返事は?」
だから早く答え合わせがしたくて、柄にもなく返事を急かした。
「私も黒尾君のことが好き……です」
「ん、よく言えました」
大満足だ。
唯一不服なことと言えば、
「見せびらかしながら控え席に戻ろうぜ!」
「それはちょっと……」
「なんでだよ!」
繋ごうとした手を拒んだこと。
さっきまであんなに二人三脚で密着していたのに。
女心ってのは難しい。
高校1年生の春、俺は一目惚れをした。
「音駒中出身の黒尾鉄朗です。よろしく」
自己紹介をしているときに、俺を見上げる上目遣いの●●ちゃんに。
そんな彼女が俺が入る予定の男バレのマネージャーをやろうかと言ってきた。
だけど、好きな子に見られながらだなんて練習に集中できる気がしなくて、
「本当にやりたいなら入ればいいと思うよ。だけどそうじゃないなら、本気でやりたい人の迷惑になるかもしれないから、止めた方がいい」
ついキツイことを言ってしまった。
迷惑なんて思ってもいないくせに。
俺の勝手な考えのせいなのに。
「あ、うん。そうだよね」
そう言って気まずそうにする●●ちゃんの顔が頭から離れない。
ーーーー
休み時間に夜久のクラスの前で海と3人で雑談をしていた。
「夜久はショートカットが好きなのか?」
「好き!!」
「黒尾は?」
この頃の俺は何かと夜久に対抗したくて、真逆の答えを言っていた。
それは今回も例外ではない。
実際にロングヘアは好きだ。
だけど、今回ばかりはショートヘアの●●ちゃんの顔を浮かべながら、
「ロング」
なんて高圧的に夜久を見下ろしながら言ってやった。
するとタイミングが悪いことに、●●ちゃんが俺たちの側を横切った。
今の会話、まさか聞いていないよな。
特に気にも止めていなさそうに通り過ぎたけど……。
不安を覚えながらも、様子を伺いつつ授業後のホームルームで行われた体育祭の二人三脚に●●ちゃんを誘ってみた。
「なあ、●●ちゃん!俺と二人三脚出ない?」
二人三脚に誘ったのは密着できるからではなく、男女混合の種目がこれくらいしかなかったから。
決して……決して密着したかったからではない!
「えっ……?!私と黒尾君だと身長差ありすぎでしょ」
戸惑ってはいるけれど嫌なわけではなさそう。
これはもう一押ししたらいけるな。
「大丈夫、大丈夫!ほら●●ちゃんって運動神経良いでしょ?だから、上手くいくと思うんだよね。俺の勘がそう言っている」
「そこまで言うなら……やってみようかな」
「そうこなくちゃ!」
これで●●ちゃんとの接点が増えた。
このチャンスを逃さないように仲を深めたい。
ーーーー
俺の予想通り自主練習、予行練習共に●●ちゃんとの息はぴったりだった。
この調子なら本番も余裕のはず。
そう思っていたのに、いざ競技が始まると●●ちゃんのタイミングがいつもと違った。
「いっちに、いっちに!」
掛け声もどんどん速くなっていく。
落ち着かせないと。
そう思うより先にバランスが崩れた。
「……あっ………!」
自分の身なんてどうでもいい。
俺は受け身を取らず、咄嗟に●●ちゃんを庇うように抱きしめて肘から倒れ込んだ。
「痛っ……」
俺の腕の中で慌てふためく●●ちゃん。
抱きしめられていることにも気が付いていないのか。
ひとまず当初の予定通り彼女を落ち着かせないと。
「●●、落ち着け!大丈夫だから!」
「黒尾君……」
どさくさに紛れて呼び捨てで呼んだけれど、ようやく●●ちゃんと目が合った。
その目には揺らぎが感じられない。
俺が惚れた彼女の瞳。
もう大丈夫そうだ。
「せーので起き上がるぞ」
「う、うん」
「……せーのっ」
呼び掛けに合わせて立ち上がる。
「諦めるにはまだ早い。さあ、挽回の時間だ」
その後、俺たちは脅威の追い上げを見せ、3位に滑り込むことが出来た。
悔しくないと言ったら嘘になる。
1位を獲った夜久はヘラヘラとペアの子と笑っていて腹が立つし。
だけど、そんなことよりも●●ちゃんのフォローが先だ。
彼女に話し掛けようとしたら、逆に話し掛けられた。
「あ、あの……黒尾君……その……えっと……」
●●ちゃんは今にも泣きそうな顔をしていた。
ああ、これはマズイやつだ。
相当気にしている。
ここで彼女に謝罪をさせたら男が廃る。
「悪い!俺がタイミングずらした!」
●●ちゃんの言葉も待たずに大きく頭を下げた。
「あ、頭を上げてよ」
「あのとき●●ちゃんには落ち着けとか言っておいて、俺の方が夜久たちに追い越されると思って焦った」
正確には落ち着かせないといけないと分かっていながらもフォローできなかった。
フォローできないならできないなりに●●ちゃんのペースに合わせればいいだけなのに、それすらできなかった俺の責任でもある。
●●ちゃんの反応を待つと、
「黒尾君……ありがとう」
そこにはあの時と同じ揺るぎない瞳の彼女が。
「責められる理由はあれどまさかお礼を言われるとは……。間違っていない?」
「ううん。間違っていないよ。私、黒尾君とペアになれて良かった!本当にありがとう!」
なんて、とびっきりの笑顔で言うもんだから、
「はああぁぁ〜〜」
大きくため息を吐きながらしゃがみ込んだ。
その顔は反則。
「黒尾君?」
俺の名前を呼びながら視線を合わせる彼女に、つい本音が溢れた。
「俺、やっぱり●●ちゃんのこと好きだわ」
確実に告白は今じゃない。
だけど言いたくなったんだから仕方がない。
「……ええ!?なんで?今?」
案の定驚く●●ちゃん。
それどころかおかしなことを言い始めた。
「でも、だって……!黒尾君は髪の長い子が好きなんじゃないの?!」
髪の長い子……?
ああ、あの時の夜久と海のやり取り、やっぱり聞こえていたのか。
「は?なにそれ。確かにロングヘアは好きだけど、俺が好きになったのはショートヘアの●●ちゃんなんだけど」
「そんなこと言われても……」
結局ロングだとかショートだとか関係なく、どんなキミも好きなんだよ、俺は。
そんな俺の好みなど知らず、もじもじとする●●ちゃん。
誤解は解けたはずだし、この反応は絶対に彼女も俺のことが好きなはず。
「で、返事は?」
だから早く答え合わせがしたくて、柄にもなく返事を急かした。
「私も黒尾君のことが好き……です」
「ん、よく言えました」
大満足だ。
唯一不服なことと言えば、
「見せびらかしながら控え席に戻ろうぜ!」
「それはちょっと……」
「なんでだよ!」
繋ごうとした手を拒んだこと。
さっきまであんなに二人三脚で密着していたのに。
女心ってのは難しい。
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