結局どんなキミも好き
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〜結局どんなキミも好き〜
高校1年生の春、私は恋をした。
一目惚れだった。
「音駒中出身の黒尾鉄朗です。よろしく」
隣の席の黒尾君。
座っているときから背の高い人だとは思っていたけれど、自己紹介のために立ち上がった彼を、首が疲れるくらい見上げた。
それからと言うもの、私は黒尾君と仲良くなりたい一心で話しかけた。
異性に積極的に話しかけるのは苦手だけれど、恋のためならなんてことない。
すると、意外にも黒尾君はフレンドリーに接してくれて、増々好きになった。
普段はお調子者なのに、ときたま胡散臭い笑みを浮かべる。
だけどそれがミステリアスで良い。
ーーーー
入学して程なくして、入部届の紙が配られた。
「今日中に書いて提出すること。じゃあホームルーム終わり」
先生はそれだけ言うとさっさと教室から出ていった。
私は早速黒尾君に聞いた。
好きな人のことなら何でも知りたい。
「黒尾君は何部に入るの?背が高いからやっぱりバスケとかバレー?」
自己紹介のときに中学のときの部活や、これから入る予定の部活を言う人がいたけれど、確か黒尾君は言っていなかったはず。
「昔からバレーをやってるから、高校でもバレー部に入るつもり。●●ちゃんは?」
「まだ決めてないの。黒尾君がバレー部ならマネージャーやろうかなー」
嘘。
一目惚れをするまでは中学のときと同じ運動部に入ろうと思っていた。
動きやすいように髪をバッサリと切ってショートにするくらいには、体を動かすのは好きだったし。
だけど、黒尾君と同じ部活になれるのならマネージャーだって悪くない。
そんな安易な気持ちで言うと、
「本当にやりたいなら入ればいいと思うよ。だけどそうじゃないなら、本気でやりたい人の迷惑になるかもしれないから、止めた方がいい」
意外な言葉が返ってきた。
「あ、うん。そうだよね」
お調子者の黒尾君のことだからてっきり歓迎してくれると思ったのに。
自惚れていた自分が恥ずかしい。
結局私は男子バレー部のマネージャーではなく、中学のときと同じ運動部に入った。
これでよかったんだ。
何も同じ部活に入ることが仲良くなるのに必ずしも必要ではない。
このときはそう思っていた。
あの会話を聞くまでは。
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