偽物の偽物は本物
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水族館を出たことろで別れの言葉を交わす。
「今日は楽しかった!」
「こちらこそ。あ、そうだ」
私はケイコに小声で耳打ちをした。
「今度はダブルデートじゃなくて、最初から2人でデートしなよ?」
今日1日一緒にデートをして、と言っても途中で単独行動したけれど、2人なら大丈夫な気がした。
「でも……」
「返事は?」
「頑張る……」
ケイコは不安そうな顔をしながら、胸の前で小さくファイティングポーズを取った。
勇気付けることができて満足していると、ケイコも感謝を伝えようと、私たちを案じてくれた。
「●●も彼氏さんと仲良くね」
「あ、うん」
それなのに、私は歯切れの悪い返事しかできなかった。
しょせん私と鉄朗は今日だけの恋人。
2人と別れたら、私たちはただの幼馴染に戻る。
「それじゃあ、また大学でね!」
「またね」
そうとも知らず、別れの挨拶を済ませると2人は駐車場の方面へと歩いていった。
しばらく2人が歩いていく方を見つめていると、鉄朗がそっと話しかけてきた。
「俺らも帰るか」
「……うん」
鉄朗は私の足並みに揃えて歩いてくれる。
そう言えば、水族館のときも基本的に歩幅を合わせてくれたり、目線も合わせてくれたっけ。
意識しなければ気付けなかったこと。
「今日は付き合ってくれてありがとうね。最初はどうなることかと思ったけど、ちゃんと付き合っているように見えたみたいだし、偽物彼氏作戦成功ってことで」
何度もフォローしてくれたおかげで、約束は果たされたのだ。
やり遂げた満足感と、終わってしまう寂しさを抱いだきながら駅へ向かっていると、急に鉄朗が足を止めた。
「鉄朗?」
「……」
呼びかけても鉄朗は俯いて黙 り。
「鉄朗……」
再度呼びかけると、鉄朗は顔を上げた。
「偽物彼氏作戦……か。俺は本気で付き合っているつもりだった」
「えっ……?」
「●●は俺とのデート楽しくなかったか?」
「そんな……」
楽しかったに決まっている。
なんならドキドキだってしたし。
「もし、今回で少しでも俺のことが好きになってくれたら……」
“付き合って欲しい”
そう言ってくれるのかと思い、心構えをした。
それなのに、
「お試しで良いから付き合わない?……なーんてな」
ヘラヘラと笑う鉄朗。
その口ぶりに腹が立った。
お試し?
冗談じゃない。
「嫌よ」
私は間髪入れずに話を続けた。
「お試しなんて嫌!鉄朗の本心を教えて!」
鉄朗はヘラヘラした顔から真剣な眼差しに変わった。
「偽物でも、ただの幼馴染でもなく、正真正銘の●●の彼氏になりたい。●●、好きだ」
心臓の高鳴りを感じる。
やっと聞けた。
やっと鉄朗の本心が。
幼馴染として過ごしてきた日々が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
そして、私もこの気持ちが、ずっと隠してきた恋心だと確信した。
「私も……私も鉄朗のことが好き!」
私たち、長く一緒にいたのに、遠回りしちゃったね。
ーーFinーー
「今日は楽しかった!」
「こちらこそ。あ、そうだ」
私はケイコに小声で耳打ちをした。
「今度はダブルデートじゃなくて、最初から2人でデートしなよ?」
今日1日一緒にデートをして、と言っても途中で単独行動したけれど、2人なら大丈夫な気がした。
「でも……」
「返事は?」
「頑張る……」
ケイコは不安そうな顔をしながら、胸の前で小さくファイティングポーズを取った。
勇気付けることができて満足していると、ケイコも感謝を伝えようと、私たちを案じてくれた。
「●●も彼氏さんと仲良くね」
「あ、うん」
それなのに、私は歯切れの悪い返事しかできなかった。
しょせん私と鉄朗は今日だけの恋人。
2人と別れたら、私たちはただの幼馴染に戻る。
「それじゃあ、また大学でね!」
「またね」
そうとも知らず、別れの挨拶を済ませると2人は駐車場の方面へと歩いていった。
しばらく2人が歩いていく方を見つめていると、鉄朗がそっと話しかけてきた。
「俺らも帰るか」
「……うん」
鉄朗は私の足並みに揃えて歩いてくれる。
そう言えば、水族館のときも基本的に歩幅を合わせてくれたり、目線も合わせてくれたっけ。
意識しなければ気付けなかったこと。
「今日は付き合ってくれてありがとうね。最初はどうなることかと思ったけど、ちゃんと付き合っているように見えたみたいだし、偽物彼氏作戦成功ってことで」
何度もフォローしてくれたおかげで、約束は果たされたのだ。
やり遂げた満足感と、終わってしまう寂しさを抱いだきながら駅へ向かっていると、急に鉄朗が足を止めた。
「鉄朗?」
「……」
呼びかけても鉄朗は俯いて
「鉄朗……」
再度呼びかけると、鉄朗は顔を上げた。
「偽物彼氏作戦……か。俺は本気で付き合っているつもりだった」
「えっ……?」
「●●は俺とのデート楽しくなかったか?」
「そんな……」
楽しかったに決まっている。
なんならドキドキだってしたし。
「もし、今回で少しでも俺のことが好きになってくれたら……」
“付き合って欲しい”
そう言ってくれるのかと思い、心構えをした。
それなのに、
「お試しで良いから付き合わない?……なーんてな」
ヘラヘラと笑う鉄朗。
その口ぶりに腹が立った。
お試し?
冗談じゃない。
「嫌よ」
私は間髪入れずに話を続けた。
「お試しなんて嫌!鉄朗の本心を教えて!」
鉄朗はヘラヘラした顔から真剣な眼差しに変わった。
「偽物でも、ただの幼馴染でもなく、正真正銘の●●の彼氏になりたい。●●、好きだ」
心臓の高鳴りを感じる。
やっと聞けた。
やっと鉄朗の本心が。
幼馴染として過ごしてきた日々が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
そして、私もこの気持ちが、ずっと隠してきた恋心だと確信した。
「私も……私も鉄朗のことが好き!」
私たち、長く一緒にいたのに、遠回りしちゃったね。
ーーFinーー
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