マグロの呪い
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~マグロの呪い~
「お前、本当にマグロだな。抱いていてつまんねぇんだよ」
そんな理由で恋人に振られ、女としての立場をめちゃくちゃに傷つけられた夜くらい、誰かにすがったっていいじゃない。
そして、その相手は、いつも一番の理解者である彼だった。
「聞いてよ鉄朗~!」
居酒屋で5杯目のビールを煽り、グラスを乱暴に置く。
幼馴染みの鉄朗に、私は完全に面倒くさい絡みをしていた。
「荒れてんなー、●●」
鉄朗は落ち着いた声で、お酒の入ったグラスを揺らしながら言う。
その表情が、泥酔寸前の私とは対照的だった。
「好きだったから酷いこと言われても我慢したのに~!」
涙が滲む。
愛されたい一心で、自分の機嫌よりも相手の機嫌を優先した。
自分を犠牲にしてまでして、彼のワガママを全て受け入れた。
だけど、その結果が彼をモラハラにしてしまった。
……いや、元カレか。
私の激情的な愚痴を、鉄朗は黙って聞いている。
「男で作った傷は男で癒すのがいいと思うけどな」
「振られるの怖いから、もう誰とも付き合いたくない」
「それなら、俺とセフレになる?」
鉄朗の声は、騒がしい店内に不思議と響いた。
「セフ……レ?」
頭の中でその言葉が反芻される。
行為をするだけの友達。
今の、幼馴染の関係ではダメなのか。
だけど、お酒が入ると、人は正常な判断ができなくなる。
この際、悲しみを紛らわせるならセフレでもなんでもいい。
そんな半ば自暴自棄になりながら、鉄朗の案を飲んだ。
「いいよ、なる。鉄朗のセフレに」
「そうこなくっちゃ」
鉄朗は妖艶な笑みを浮かべた。
ーーーー
頭が割れるように痛む。
体を包むシーツの肌触りが、いつもと違う。
気付いたら、私は鉄朗と生まれた時のままの姿で、同じベッドに寝ていた。
私の部屋でも鉄朗の部屋でもない。
いわゆる、そういう行為をするためのホテル。
え、これってもしかして……そう言うこと?
寝起きの頭をフル回転させ、昨夜の記憶の断片を繋ぎ合わせる。
確か、鉄朗とそういう関係になる約束を……。
「ん…………っ、……あ、起きた?」
隣から聞こえた声に、心臓が跳ね上がった。
鉄朗は上半身を起こし、のんきに大きな欠伸をした。
「ねえ、鉄朗。私たちって……その……シたの?」
尋ねる声が、震えているのが自分でも分かる。
「覚えてないの?あんなに求め合ったのに。悲しいな~」
彼は真面目な話をしている私をよそに、ケラケラと笑いながら言う。
「冗談はいいから、結局のところはどっちなの?」
「じゃあ、再現する?」
ジリジリと鉄朗の顔が近付いてきた。
寝起きなのに整った顔をしている。
「ちょっ……鉄朗……っ!」
迫りくる鉄朗を抑え込んでいると、ふと、サイドテーブルに置かれている時計に目がいった。
「あっ!今何時?」
時計の針は、いつも家を出る時刻を指していた。
危うく流されるところだった。
「仕事!!着替えて出るよ!」
私は鉄朗を押し退け、散らばった衣類をかき集めて、急いで着替えてホテルを出た。
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