付き合う理由は可哀想だから
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ーー黒尾sideーー
「また死んだような顔をして登校してきた……」
俺と一緒に帰った翌日、久しぶりに笑っていた●●は、再びその光を失っていた。
見慣れた、いや、見慣れたくなんかない、死んだような顔。
どうせまた、あの彼氏のことだろう。
イライラする。
俺はいつものように茶化すことで、この嫌な空気をかき消そうとした。
「顔暗いぞー」
「別れようって言われた」
俺の軽薄な問いかけに、●●は重い言葉を返した。
「あーはいはい、またいつものやつね。今度の理由は何?」
「違う、今度こそ別れるかも」
「は……?」
軽口を叩く準備万端だった俺は、●●の言葉に息を飲んだ。
いつもなら、どうせまたすぐに元に戻る。そう思っていたからだ。
だからこそ、冗談交じりに話を聞いていたのに。
「ここだと話づらいだろう」
そんな俺の気遣いに応えるように、●●は静かに頷いた。
朝のホームルームまでまだ時間がある。
人通りの少ない階段裏へ足を進めた。
ここなら誰にも邪魔されない。
「私のことが本当に好きか分からなくなったから、試しに他の女の子と遊んだんだって」
●●は神妙な面持ちで語り始めた。
彼女の言葉が俺の心に重く響く。
なんだソイツ。
好きか分からなくなったから、他の女の子と遊ぶ?
そんな身勝手な理由が、果たして許されていいものなのか。
いや、許されるはずがない。
●●の優しさに甘え、振り回し、それでも手放さない、最低な男。
……いや、俺も同じか。
●●を振り回しているのは、俺も同じ。
「そうしたら、その子といる方が楽しかったって言われて」
「だから別れようってか?」
「ううん」
俺の問いに、●●は静かに首を横に振る。
「1%でもまだ私のことが好きって気持ちはあるから、その子と付き合うのは保留にしてるけど、これ以上気持ちが上がらなければ別れるって」
勝手にもほどがある。
何様のつもりだ。
お前は●●を、一体なんだと思っているんだ。
「そんなやつ、今すぐ別れろ」
「分かっているんだけどね。だけどね……好きなの」
●●の瞳から、大粒の涙が流れ落ちた。
それを合図のように、次から次へと溢れ出す。
声を殺して泣く姿は、俺の胸を締め付けた。
そんな●●を見ていられない。
いてもたってもいられず、俺は言葉を紡いだ。
「俺と付き合えばいい。俺のことを好きになればいい。そいつよりも幸せにする」
「でも、前言ってたじゃん。私のことが可哀想だって」
「………っ」
●●の言葉に、俺は言葉を詰まらせた。
確かに、最初は恋愛感情なんてなかった。
毎回彼氏に振り回される●●を見て、いっそ俺と付き合えばいいのに、なんて、ただの対抗意識だった。
それが、いつの間にか、なんでアイツには●●が振り向くのに、俺はダメなんだと思うようになって。
そして、いつの間にか俺は、●●のことが……。
「きっかけはそうだった。でも、今は違う」
「違うの?」
「好きだから、●●と付き合いたい」
「でも、私はまだ彼氏のことが好きだから……」
彼女の言葉に、俺は静かに頷いた。
「分かってる。だから●●の中でケジメがついたら、俺のところに来い。早く別れておけば良かったって、そう思わせるくらい、ベッタベタに甘やかしてやる」
俺の言葉に、●●はふっと笑った。
「ふふ、ありがとう」
少しは元気になったようだ。
彼女の笑顔が見れて安心した。
「教室、戻るか」
俺は●●の手を引いた。
この間と違い、彼女はすんなりと俺の手に自身の指を絡めてきた。
ーーFinーー
「また死んだような顔をして登校してきた……」
俺と一緒に帰った翌日、久しぶりに笑っていた●●は、再びその光を失っていた。
見慣れた、いや、見慣れたくなんかない、死んだような顔。
どうせまた、あの彼氏のことだろう。
イライラする。
俺はいつものように茶化すことで、この嫌な空気をかき消そうとした。
「顔暗いぞー」
「別れようって言われた」
俺の軽薄な問いかけに、●●は重い言葉を返した。
「あーはいはい、またいつものやつね。今度の理由は何?」
「違う、今度こそ別れるかも」
「は……?」
軽口を叩く準備万端だった俺は、●●の言葉に息を飲んだ。
いつもなら、どうせまたすぐに元に戻る。そう思っていたからだ。
だからこそ、冗談交じりに話を聞いていたのに。
「ここだと話づらいだろう」
そんな俺の気遣いに応えるように、●●は静かに頷いた。
朝のホームルームまでまだ時間がある。
人通りの少ない階段裏へ足を進めた。
ここなら誰にも邪魔されない。
「私のことが本当に好きか分からなくなったから、試しに他の女の子と遊んだんだって」
●●は神妙な面持ちで語り始めた。
彼女の言葉が俺の心に重く響く。
なんだソイツ。
好きか分からなくなったから、他の女の子と遊ぶ?
そんな身勝手な理由が、果たして許されていいものなのか。
いや、許されるはずがない。
●●の優しさに甘え、振り回し、それでも手放さない、最低な男。
……いや、俺も同じか。
●●を振り回しているのは、俺も同じ。
「そうしたら、その子といる方が楽しかったって言われて」
「だから別れようってか?」
「ううん」
俺の問いに、●●は静かに首を横に振る。
「1%でもまだ私のことが好きって気持ちはあるから、その子と付き合うのは保留にしてるけど、これ以上気持ちが上がらなければ別れるって」
勝手にもほどがある。
何様のつもりだ。
お前は●●を、一体なんだと思っているんだ。
「そんなやつ、今すぐ別れろ」
「分かっているんだけどね。だけどね……好きなの」
●●の瞳から、大粒の涙が流れ落ちた。
それを合図のように、次から次へと溢れ出す。
声を殺して泣く姿は、俺の胸を締め付けた。
そんな●●を見ていられない。
いてもたってもいられず、俺は言葉を紡いだ。
「俺と付き合えばいい。俺のことを好きになればいい。そいつよりも幸せにする」
「でも、前言ってたじゃん。私のことが可哀想だって」
「………っ」
●●の言葉に、俺は言葉を詰まらせた。
確かに、最初は恋愛感情なんてなかった。
毎回彼氏に振り回される●●を見て、いっそ俺と付き合えばいいのに、なんて、ただの対抗意識だった。
それが、いつの間にか、なんでアイツには●●が振り向くのに、俺はダメなんだと思うようになって。
そして、いつの間にか俺は、●●のことが……。
「きっかけはそうだった。でも、今は違う」
「違うの?」
「好きだから、●●と付き合いたい」
「でも、私はまだ彼氏のことが好きだから……」
彼女の言葉に、俺は静かに頷いた。
「分かってる。だから●●の中でケジメがついたら、俺のところに来い。早く別れておけば良かったって、そう思わせるくらい、ベッタベタに甘やかしてやる」
俺の言葉に、●●はふっと笑った。
「ふふ、ありがとう」
少しは元気になったようだ。
彼女の笑顔が見れて安心した。
「教室、戻るか」
俺は●●の手を引いた。
この間と違い、彼女はすんなりと俺の手に自身の指を絡めてきた。
ーーFinーー
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