友達のために泣く君だから
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ーー黒尾sideーー
●●は知らない。
高校の頃の大会で会ったときよりも前に俺たちが会っていたことを。
俺は小学生のとき、初めて出たバレーの大会でボロクソに負けた。
悔しかったけど、何故か涙は出なかった。
我慢していたからとかではなく、単純に初めての大会だから負けても仕方がないって、どこか思っていたのかもしれない。
全く減っていないドリンク、汗のかいていないユニフォーム。
これらを見ると情けなくなった。
次はもっと勝ち残りたい。
「クロ、帰ろう」
「おう」
そう誓って研磨と体育館を後にした。
しかし、その誓いを嗤うかのように外は雨が降ってた。
最悪かよ。
そんな中、傘も差さずに泣いている私服の女の子と、その女の子を慰めるユニフォームの子がいた。
おそらく私服の女の子が隣にいるユニフォームの子の応援に来ていたのだろう。
「なんで●●ちゃんが泣くのよ」
「だって、だって…………マコちゃ…ん、あんなに練習したのに……っ」
横を通りすぎたときに聞こえてきた会話から察するに、マコと呼ばれた友達が試合で負けたのが悔しくて泣いていたようだ。
俺は自分の出た大会で泣けなかったのに、友達のために泣いていたその女の子の優しい心に惹かれた。
それ以降、女子のバレーと大会場所が重なるたびに彼女を探すようになった。
しかし、会うことなく月日ばかり経つ。
そろそろ彼女の顔も朧になってきた。そもそも成長して変わっているだろうけど。
そんなある日、夜久に彼女ができた。名前はマコ。
「マコも昔はバレーやっていたみたい」
そう夜久から聞かされたとき、俺はハッとした。
あの日、あの女の子の友達と同じ名前。
俺は一か八かで夜久に彼女を試合の応援に誘ってみたら、と提案した。
よければ友達も連れて。
そして連れてきた友達をマコちゃんは●●と呼んでいた。
俺は耳を疑った。
あの子に似ているな、とは思ってはいたが、これで確信が持てた。これは運命。
それから俺は夜久づてに●●の連絡先を手に入れてガンガンにアピールをし、付き合うことになった。
これは必然以外の何物でもないが、鈍い●●は気付いていない。
多分そのこともあってマコちゃんはあの時すれ違った少年が俺だということに薄々勘づいている。
念のために明日の結婚式で口止めでもするか。
そう言うわけで●●が思っている初めてと俺の初めては違う。
照れ臭いから●●に言うつもりはないけど。
●●は知らない。
高校の頃の大会で会ったときよりも前に俺たちが会っていたことを。
俺は小学生のとき、初めて出たバレーの大会でボロクソに負けた。
悔しかったけど、何故か涙は出なかった。
我慢していたからとかではなく、単純に初めての大会だから負けても仕方がないって、どこか思っていたのかもしれない。
全く減っていないドリンク、汗のかいていないユニフォーム。
これらを見ると情けなくなった。
次はもっと勝ち残りたい。
「クロ、帰ろう」
「おう」
そう誓って研磨と体育館を後にした。
しかし、その誓いを嗤うかのように外は雨が降ってた。
最悪かよ。
そんな中、傘も差さずに泣いている私服の女の子と、その女の子を慰めるユニフォームの子がいた。
おそらく私服の女の子が隣にいるユニフォームの子の応援に来ていたのだろう。
「なんで●●ちゃんが泣くのよ」
「だって、だって…………マコちゃ…ん、あんなに練習したのに……っ」
横を通りすぎたときに聞こえてきた会話から察するに、マコと呼ばれた友達が試合で負けたのが悔しくて泣いていたようだ。
俺は自分の出た大会で泣けなかったのに、友達のために泣いていたその女の子の優しい心に惹かれた。
それ以降、女子のバレーと大会場所が重なるたびに彼女を探すようになった。
しかし、会うことなく月日ばかり経つ。
そろそろ彼女の顔も朧になってきた。そもそも成長して変わっているだろうけど。
そんなある日、夜久に彼女ができた。名前はマコ。
「マコも昔はバレーやっていたみたい」
そう夜久から聞かされたとき、俺はハッとした。
あの日、あの女の子の友達と同じ名前。
俺は一か八かで夜久に彼女を試合の応援に誘ってみたら、と提案した。
よければ友達も連れて。
そして連れてきた友達をマコちゃんは●●と呼んでいた。
俺は耳を疑った。
あの子に似ているな、とは思ってはいたが、これで確信が持てた。これは運命。
それから俺は夜久づてに●●の連絡先を手に入れてガンガンにアピールをし、付き合うことになった。
これは必然以外の何物でもないが、鈍い●●は気付いていない。
多分そのこともあってマコちゃんはあの時すれ違った少年が俺だということに薄々勘づいている。
念のために明日の結婚式で口止めでもするか。
そう言うわけで●●が思っている初めてと俺の初めては違う。
照れ臭いから●●に言うつもりはないけど。