付き合う理由は可哀想だから
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「何飲む?」
「ココア」
帰り道にあった自販機でジュースを奢ってくれた鉄朗。
「ほら」
「ありがとう」
それを飲みながらダラダラと歩く。
日が沈むのが早くなっていると言うのもあるけど、今まで遅い時間にここを通ったことがないから、いつもと違う道を歩いているみたい。
だから気付かなかった。
「この道、街灯が灯ると綺麗なんだね。知らなかった」
「冬になるとイルミネーションも凄いぞ」
「彼女と行ったの?」
「残念、部活のやつらと帰り道に通ったんですー」
「ちょっと意外」
鉄朗のことだから彼女は切らさず常にいるイメージだったから。
「今年は俺と見に行くか?」
「行くなら彼氏とだし」
「俺と行くって言ってるようなもんじゃん」
「冗談やめてよ」
その自信はどこから来てるのやら。
鉄朗は本気なんだけどな、と笑いながら言った。
だからその笑いが冗談っぽいのよ。
「少し遠回りしないか」
鉄朗の提案で河川敷に沿って歩くことになった。
川の音を聞くとなんだか心が穏やかになる。
だけど、しばらく歩いているとブルッと身震いがした。
「なんだ寒いのか?」
「ちょっとね」
「今なら黒尾さんの右手、空いてるよ」
ポケットに入れていた右手を出してヒラヒラと振る。
「生憎彼氏以外の人と繋ぐための手はないんでね」
「友達とは繋ぐだろ」
「確かに?」
「それなら、お手をどうぞ」
なんだかうまい具合に誘導された気分。
遠慮がちに鉄朗の手を取った。
「違う」
「ちょっ…!」
握手の様に繋いだ手は指一本一本絡ませるように繋ぎ直された。
友達とはこんな繋ぎ方しないし。
だけど鉄朗の手は温かかった。
繋いだところ以外は相変わらず寒かったけど、心はなんだか温かくなった気がした。
ただ下らない話をしながら帰っただけなのに、この幸福感。
鉄朗の言った通りになってしまった。
結局家に着くまで手を離してくれなかった。
「ココア」
帰り道にあった自販機でジュースを奢ってくれた鉄朗。
「ほら」
「ありがとう」
それを飲みながらダラダラと歩く。
日が沈むのが早くなっていると言うのもあるけど、今まで遅い時間にここを通ったことがないから、いつもと違う道を歩いているみたい。
だから気付かなかった。
「この道、街灯が灯ると綺麗なんだね。知らなかった」
「冬になるとイルミネーションも凄いぞ」
「彼女と行ったの?」
「残念、部活のやつらと帰り道に通ったんですー」
「ちょっと意外」
鉄朗のことだから彼女は切らさず常にいるイメージだったから。
「今年は俺と見に行くか?」
「行くなら彼氏とだし」
「俺と行くって言ってるようなもんじゃん」
「冗談やめてよ」
その自信はどこから来てるのやら。
鉄朗は本気なんだけどな、と笑いながら言った。
だからその笑いが冗談っぽいのよ。
「少し遠回りしないか」
鉄朗の提案で河川敷に沿って歩くことになった。
川の音を聞くとなんだか心が穏やかになる。
だけど、しばらく歩いているとブルッと身震いがした。
「なんだ寒いのか?」
「ちょっとね」
「今なら黒尾さんの右手、空いてるよ」
ポケットに入れていた右手を出してヒラヒラと振る。
「生憎彼氏以外の人と繋ぐための手はないんでね」
「友達とは繋ぐだろ」
「確かに?」
「それなら、お手をどうぞ」
なんだかうまい具合に誘導された気分。
遠慮がちに鉄朗の手を取った。
「違う」
「ちょっ…!」
握手の様に繋いだ手は指一本一本絡ませるように繋ぎ直された。
友達とはこんな繋ぎ方しないし。
だけど鉄朗の手は温かかった。
繋いだところ以外は相変わらず寒かったけど、心はなんだか温かくなった気がした。
ただ下らない話をしながら帰っただけなのに、この幸福感。
鉄朗の言った通りになってしまった。
結局家に着くまで手を離してくれなかった。