付き合う理由は可哀想だから
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ショウを避けて数日が経った。
会わないだけで、こうも私の生活に彩りがなくなるとは、思いもしなかった。
それをいち早く察知したのは、やはりこの男、黒尾鉄朗。
登校するや否や、私を待ち構えていたように話しかけてきた。
「最近、愚痴聞かないけど、彼氏とは会ってないのか?」
鉄朗の真っ直ぐで鋭い視線が私を捉える。
それは、ここ数日、私が逃げていた問題を的確に突く質問だった。
「うん……」
短い言葉に、寂しさも、不安も、もどかしさも、全部込めて返事をする。
本当は、ショウに会いたい。
風邪はとうに完治しているはずなのに、彼からの連絡は、相変わらずたわいもない事務的なやり取りばかり。
向こうからの“会いたい”なんて言葉は、どこを探しても見つからない。
もちろん私からも言い出せなくて、モヤモヤした感情が黒い塊になって、胸に重くのしかかる。
そう思っていると、
「それなら、俺とデートしませんか?」
不意に差し出された、予期せぬ誘い。
驚きで、息が止まる。
「え!?」
まさか、鉄朗がそんなことを口にするなんて。
でも、その言葉は私の心に、さらに別の感情を呼び起こす。
罪悪感だ。
「デートはちょっと……」
もし鉄朗と2人で出かけたら、それは浮気になってしまう。
そう思うと、どんなに心が浮き立っても、彼の誘いには乗れなかった。
それを察したのか、鉄朗は少しだけ悩んだ素振りを見せてから、口を開いた。
「言い方変えるわ。スポーツショップに行きたいから、少しだけ付き合って」
彼の言葉に、心の奥で、小さな安堵が広がる。
ただの買い物に付き合うだけなら、彼氏に悪いなんて思う必要はない。
「それなら……でも、部活は?」
「あるけど、外練の日だから早く終わる」
「分かった、図書室で待ってる」
そう言うと、鉄朗は嬉しそうに笑った。
ただのお買い物なのに、変なの。
ーーーー
授業が終わり、私は図書室へ向かった。
ぼーっとしているのも時間が勿体なくて、私は今日出された課題に取り組むことにした。
室内にはペンの走る音と、ペラペラと紙を捲る音が静かに響く。
……。
…………。
どのくらい経っただろうか。
課題が終わり、時計を見ると、部活が終わる時間になっていた。
それなのに鉄朗が来ることもなければ、連絡もない。
「おかしいな……」
早く終わると言ってたのに、あまりにも遅すぎる。
もしかしたら、何かあったのかもしれない。
外練と言うことは、ロードワーク中に事故に遭ったとか?
それとも、誘拐?
物騒な想像が、次々と頭を過る。
不安に駆られて、鉄朗とのトーク画面を開く。
何かメッセージを送ろうかと、指が震える。
その時だった。
「おーい、図書室閉めるからそろそろ帰りなさい」
先生に注意され、渋々勉強用具を片付けて帰り支度をした。
……渋々?
自分でも自覚していなかったけれど、私は、鉄朗との買い物を、心待ちにしていたみたいだ。
だけど、図書室を追い出されてしまっては、もう待てない。
部室を少しだけ覗いて、電気が点いていなければ、おとなしく帰ろう。
そう心に決めて、私は図書室を出た。
重い扉を開けると、がらんとした廊下に、夕日の光が細く伸びていた。
その静けさを打ち破るように、遠くから足音が響いてくる。
まさか……。
その足音の主は、私の予想通り、鉄朗だった。
「●●!わりぃ!」
ゼェゼェと肩で息をしている。
額に汗が光り、制服のシャツが汗で張り付いている。
事故や怪我とかじゃなくてよかった。
「遅くまでお疲れ様。勉強、捗ったから大丈夫だよ」
そう答える私の声は、少しだけ弾んでいた。
でも、もうスポーツショップへ行くには遅すぎる。
せっかく合流できたけど、今日は解散かな。
そう思っていると、息が整った鉄朗は、ニヤリと笑って言った。
「送ってくから、寄り道して帰ろうぜ」
疲れているはずなのに、その目はキラキラと輝いている。
私の家と鉄朗の家は、全くの反対方向なのに、大丈夫なのだろうか。
「疲れてないの?」
「へーき、へーき。それに、言っただろ?彼氏より幸せにする自信あるって」
「……ばっかじゃないの」
そう言いつつも、私の口角は無意識に上がっていた。
本当に幸せにしてくれそうで嫌になる。
会わないだけで、こうも私の生活に彩りがなくなるとは、思いもしなかった。
それをいち早く察知したのは、やはりこの男、黒尾鉄朗。
登校するや否や、私を待ち構えていたように話しかけてきた。
「最近、愚痴聞かないけど、彼氏とは会ってないのか?」
鉄朗の真っ直ぐで鋭い視線が私を捉える。
それは、ここ数日、私が逃げていた問題を的確に突く質問だった。
「うん……」
短い言葉に、寂しさも、不安も、もどかしさも、全部込めて返事をする。
本当は、ショウに会いたい。
風邪はとうに完治しているはずなのに、彼からの連絡は、相変わらずたわいもない事務的なやり取りばかり。
向こうからの“会いたい”なんて言葉は、どこを探しても見つからない。
もちろん私からも言い出せなくて、モヤモヤした感情が黒い塊になって、胸に重くのしかかる。
そう思っていると、
「それなら、俺とデートしませんか?」
不意に差し出された、予期せぬ誘い。
驚きで、息が止まる。
「え!?」
まさか、鉄朗がそんなことを口にするなんて。
でも、その言葉は私の心に、さらに別の感情を呼び起こす。
罪悪感だ。
「デートはちょっと……」
もし鉄朗と2人で出かけたら、それは浮気になってしまう。
そう思うと、どんなに心が浮き立っても、彼の誘いには乗れなかった。
それを察したのか、鉄朗は少しだけ悩んだ素振りを見せてから、口を開いた。
「言い方変えるわ。スポーツショップに行きたいから、少しだけ付き合って」
彼の言葉に、心の奥で、小さな安堵が広がる。
ただの買い物に付き合うだけなら、彼氏に悪いなんて思う必要はない。
「それなら……でも、部活は?」
「あるけど、外練の日だから早く終わる」
「分かった、図書室で待ってる」
そう言うと、鉄朗は嬉しそうに笑った。
ただのお買い物なのに、変なの。
ーーーー
授業が終わり、私は図書室へ向かった。
ぼーっとしているのも時間が勿体なくて、私は今日出された課題に取り組むことにした。
室内にはペンの走る音と、ペラペラと紙を捲る音が静かに響く。
……。
…………。
どのくらい経っただろうか。
課題が終わり、時計を見ると、部活が終わる時間になっていた。
それなのに鉄朗が来ることもなければ、連絡もない。
「おかしいな……」
早く終わると言ってたのに、あまりにも遅すぎる。
もしかしたら、何かあったのかもしれない。
外練と言うことは、ロードワーク中に事故に遭ったとか?
それとも、誘拐?
物騒な想像が、次々と頭を過る。
不安に駆られて、鉄朗とのトーク画面を開く。
何かメッセージを送ろうかと、指が震える。
その時だった。
「おーい、図書室閉めるからそろそろ帰りなさい」
先生に注意され、渋々勉強用具を片付けて帰り支度をした。
……渋々?
自分でも自覚していなかったけれど、私は、鉄朗との買い物を、心待ちにしていたみたいだ。
だけど、図書室を追い出されてしまっては、もう待てない。
部室を少しだけ覗いて、電気が点いていなければ、おとなしく帰ろう。
そう心に決めて、私は図書室を出た。
重い扉を開けると、がらんとした廊下に、夕日の光が細く伸びていた。
その静けさを打ち破るように、遠くから足音が響いてくる。
まさか……。
その足音の主は、私の予想通り、鉄朗だった。
「●●!わりぃ!」
ゼェゼェと肩で息をしている。
額に汗が光り、制服のシャツが汗で張り付いている。
事故や怪我とかじゃなくてよかった。
「遅くまでお疲れ様。勉強、捗ったから大丈夫だよ」
そう答える私の声は、少しだけ弾んでいた。
でも、もうスポーツショップへ行くには遅すぎる。
せっかく合流できたけど、今日は解散かな。
そう思っていると、息が整った鉄朗は、ニヤリと笑って言った。
「送ってくから、寄り道して帰ろうぜ」
疲れているはずなのに、その目はキラキラと輝いている。
私の家と鉄朗の家は、全くの反対方向なのに、大丈夫なのだろうか。
「疲れてないの?」
「へーき、へーき。それに、言っただろ?彼氏より幸せにする自信あるって」
「……ばっかじゃないの」
そう言いつつも、私の口角は無意識に上がっていた。
本当に幸せにしてくれそうで嫌になる。
