付き合う理由は可哀想だから
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~付き合う理由は可哀想だから~
学校に着いて早々、お目当ての人物を探す。
ツンツンとした寝癖に、片目が隠れた髪型の彼。
「鉄朗聞いてよ~!」
「またかよ」
同じクラスの黒尾鉄朗。
彼には付き合っている彼氏の愚痴をよく聞いて貰っている。
「今度はなんだ」
「風邪のせいで弱気になっちゃったみたいで、別れようって言われた!ありえないよ」
「ハハハ、この間は原付の試験落ちたからーだっけ?」
「そうそう、直ぐ別れようって言うんだもん」
私の彼氏はネガティブ過ぎて、些細なことがあると直ぐに別れようと言ってくる。
「本当に別れればいいのに。そんなやつと付き合ってて疲れない?」
「疲れるけど、放っておけないのよね。私が付いてあげないとって」
そう、私が付いてあげないと。
「もういっそうのこと俺と付き合えば?」
愚痴を話す度にそう言ってくれる鉄朗。
だけど、冗談だって分かっている。
「部活忙しくて構ってくれないじゃん」
「クラスが同じ俺の方が一緒にいる時間は長いぞ?」
確かにそう。
他校の彼氏よりかは一緒にいる。
そうなんだけど……。
「鉄朗って俺と付き合った方がいいって言うけど、別に私のこと好きじゃないでしょ」
「まー、正直に言うとそうかな。なんか●●を見ていると可哀想に思えて」
「なにそれ……」
可哀想だから付き合うって……。
そう思われるくらいなら誰とも付き合わない方がマシだ。
「好きって感情はなくても●●の彼氏より幸せにする自信はあるぜ?」
本当になにそれ。
好きだから幸せにしたいんじゃないの?
鉄朗のはただの詐欺師。
「………」
愚痴を聞いてもらっている身のため鉄朗に対しては文句が言えず言葉に詰まっていると、ガラガラと音を立てて教室の扉が開いた。
「席に着けー!」
タイミング良く先生が入ってきた。
「席、戻るね」
鉄朗にそう言うと、少しだけモヤモヤした気持ちで席に着いた。
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