河童だって人魚の隣を歩きたい
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結局、みさきさんの正体を知ることも、前田君の隣を歩くことも、どちらも叶わなかった。
そんなことを考えながら、私は浮き輪の真ん中の空洞に、お尻を沈めてプカプカと海に浮かんでいた。
両手両足はだらしなく外側へ投げ出され、静かに目を閉じる。
波の音と、遠くで楽しそうに笑う声だけが聞こえて来て、別世界に来たような感覚になる。
ふと、その笑い声が遠くなった気がして、薄く目を開けた。
視界に入ったのは遠く離れた波打ち際と、豆粒のように小さくなったパラソルの群れだった。
「……あ、嘘っ!流されてる……!」
慌てて戻ろうとするけれど、手足に力が入らない。
どうやら、直射日光に当たりすぎたようだ。
頭頂部が、焼けるように熱い。
髪の下に蓄えた大切な水が、じりじりと蒸発していくのが分かる。
思考が止まり、指先から感覚が抜けていく。
早く、真水のある場所へ。
あるいは、せめてあの岩陰へ。
朦朧とした意識で、手の水掻きで必死になりふり構わず海面を叩く。
だけど、潮の流れのせいか、非情にも私の体は、沖から離れていく。
その時だった。
グイッ
「え……っ!?」
冷たく、異様に力強い何かが、私の手首を掴んだ。
悲鳴を上げる暇もなかった。
凄まじい力で、しがみついていた浮き輪から引き離される。
視界が上下反転し、そのまま一気に海底へと引き倒された。
「ぐっ……ぁがっ……!」
鼻に海水が入り、ツンとした痛みが走る。
バシャバシャと、無様に水面を叩くけれど、掴んできたソレは情け容赦なく、私を深い闇へと引きずり込んでいった。
口から空気が漏れ、泡の混じる視界の先に、私を底へと引きずり込もうとするソレと目が合う。
それは、ぼんやりとした人型をしていた。
だけど、頭部から広がる髪のようなものは、逃さないと言わんばかりに、私の腕に絡みついてくる。
どう見ても、人間のなせる所業ではない。
そう直感した瞬間、さらに強い力で身体が深海へと傾いた。
苦しい……っ、離してっ!助けて……前田君……!
薄れゆく意識の中で、私が最初に縋った相手は、やはり彼だった。
この広い海で、自由自在に泳ぐことのできる、美しい人魚の彼。
そんなことを考えながら、私は浮き輪の真ん中の空洞に、お尻を沈めてプカプカと海に浮かんでいた。
両手両足はだらしなく外側へ投げ出され、静かに目を閉じる。
波の音と、遠くで楽しそうに笑う声だけが聞こえて来て、別世界に来たような感覚になる。
ふと、その笑い声が遠くなった気がして、薄く目を開けた。
視界に入ったのは遠く離れた波打ち際と、豆粒のように小さくなったパラソルの群れだった。
「……あ、嘘っ!流されてる……!」
慌てて戻ろうとするけれど、手足に力が入らない。
どうやら、直射日光に当たりすぎたようだ。
頭頂部が、焼けるように熱い。
髪の下に蓄えた大切な水が、じりじりと蒸発していくのが分かる。
思考が止まり、指先から感覚が抜けていく。
早く、真水のある場所へ。
あるいは、せめてあの岩陰へ。
朦朧とした意識で、手の水掻きで必死になりふり構わず海面を叩く。
だけど、潮の流れのせいか、非情にも私の体は、沖から離れていく。
その時だった。
グイッ
「え……っ!?」
冷たく、異様に力強い何かが、私の手首を掴んだ。
悲鳴を上げる暇もなかった。
凄まじい力で、しがみついていた浮き輪から引き離される。
視界が上下反転し、そのまま一気に海底へと引き倒された。
「ぐっ……ぁがっ……!」
鼻に海水が入り、ツンとした痛みが走る。
バシャバシャと、無様に水面を叩くけれど、掴んできたソレは情け容赦なく、私を深い闇へと引きずり込んでいった。
口から空気が漏れ、泡の混じる視界の先に、私を底へと引きずり込もうとするソレと目が合う。
それは、ぼんやりとした人型をしていた。
だけど、頭部から広がる髪のようなものは、逃さないと言わんばかりに、私の腕に絡みついてくる。
どう見ても、人間のなせる所業ではない。
そう直感した瞬間、さらに強い力で身体が深海へと傾いた。
苦しい……っ、離してっ!助けて……前田君……!
薄れゆく意識の中で、私が最初に縋った相手は、やはり彼だった。
この広い海で、自由自在に泳ぐことのできる、美しい人魚の彼。
