河童だって人魚の隣を歩きたい
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1週間後に控えた約束の海。
ショッピングモールの水着売り場は、様々なデザインと小物アイテムで彩られていた。
「これ!絶対これがいいって!」
サチコが自信満々に掲げたのは、深緑色の水着だった。
布面積が驚くほど少なく、エナメルのような光沢がある。
「なんか、キュウリみたい……。それに、ちょっと大胆過ぎるっていうか……」
私はその大胆なデザインに、思わず後退りした。
「河童って言ったらキュウリでしょ!これなら●●に似合うと思う!」
「もうちょっと、こう……落ち着いたのがいいかなって……」
「もう、ワガママなんだから」
サチコは唇を尖らせて笑う。
「私のことより、サチコは自分のを選びなよ」
「私はもう、決めたもんね!」
「え、早っ!」
「じゃじゃーん!」
サチコが見せてきたのは、目に眩しいほどの鮮やかなイエローの水着だった。
フリルがふんだんにあしらわれ、まるで完熟したバナナのように瑞々しい。
「サチコらしいね」
「だって、バナナ好きなんだもん」
そう言って、サチコは鏡に向かって水着を体に当てた。
ふと、鏡の側に掛かっている水着が目に入った。
それは、落ち着いたミントグリーンのセパレートの水着。
露出は控えめだけれど、どこか目を引くデザインだ。
「これ、可愛いかも……」
「いいじゃん!河童っぽくて」
「……もう、サチコったら」
私は苦笑いしながら、その緑色の布地に指を這わせた。
鏡に合わせると、確かにしっくりくる。
でも、心の中では別の不安が浮かんだ。
「……ねえ、サチコ。前田君は……やっぱりマーメイドみたいな水着が好みかな?」
店内の棚には、パールをあしらったシェルビキニや、人魚の鱗のようにきらめくオーロラ加工のフリルデザインの物も並んでいる。
私の呟きに、サチコはハンガーをガシャリと戻すと、両手を腰に当てて呆れ顔を作った。
「アンタねぇ、相手は海パンすら履かない人魚の前田よ?そんな細かい色なんて見てないわよ。それより、自分に似合うかどうか!ほら、試着室入った入った!」
強引に背中を押され、私は緑色の水着を抱えたまま、カーテンの向こう側へと押し込まれた。
狭い試着室。
正面の鏡に映る自分を見つめながら、私は1週間後の光景を思い描いた。
海が様になっている人魚の前田君と、河童の私……。
周りは不釣り合いだと思うかもしれない。
それでも、この水着を着て、少しでも可愛く見られたいと願ってしまう。
それが恋なんだ。
緑色の水着は、まるで私を応援しているかのように、しっくりときた。
「うん、……いいかも」
小さく独り言をこぼすと、カーテン越しにサチコの声が飛んできた。
「どう?見せて!カーテン開けるよ!」
「ちょっ、勝手に開けないでよ!」
慌ててカーテンを内側から押さえる。
恥ずかしさと、ほんの少しの期待を胸に、私たちはレジへと向かった。
ショッピングモールの水着売り場は、様々なデザインと小物アイテムで彩られていた。
「これ!絶対これがいいって!」
サチコが自信満々に掲げたのは、深緑色の水着だった。
布面積が驚くほど少なく、エナメルのような光沢がある。
「なんか、キュウリみたい……。それに、ちょっと大胆過ぎるっていうか……」
私はその大胆なデザインに、思わず後退りした。
「河童って言ったらキュウリでしょ!これなら●●に似合うと思う!」
「もうちょっと、こう……落ち着いたのがいいかなって……」
「もう、ワガママなんだから」
サチコは唇を尖らせて笑う。
「私のことより、サチコは自分のを選びなよ」
「私はもう、決めたもんね!」
「え、早っ!」
「じゃじゃーん!」
サチコが見せてきたのは、目に眩しいほどの鮮やかなイエローの水着だった。
フリルがふんだんにあしらわれ、まるで完熟したバナナのように瑞々しい。
「サチコらしいね」
「だって、バナナ好きなんだもん」
そう言って、サチコは鏡に向かって水着を体に当てた。
ふと、鏡の側に掛かっている水着が目に入った。
それは、落ち着いたミントグリーンのセパレートの水着。
露出は控えめだけれど、どこか目を引くデザインだ。
「これ、可愛いかも……」
「いいじゃん!河童っぽくて」
「……もう、サチコったら」
私は苦笑いしながら、その緑色の布地に指を這わせた。
鏡に合わせると、確かにしっくりくる。
でも、心の中では別の不安が浮かんだ。
「……ねえ、サチコ。前田君は……やっぱりマーメイドみたいな水着が好みかな?」
店内の棚には、パールをあしらったシェルビキニや、人魚の鱗のようにきらめくオーロラ加工のフリルデザインの物も並んでいる。
私の呟きに、サチコはハンガーをガシャリと戻すと、両手を腰に当てて呆れ顔を作った。
「アンタねぇ、相手は海パンすら履かない人魚の前田よ?そんな細かい色なんて見てないわよ。それより、自分に似合うかどうか!ほら、試着室入った入った!」
強引に背中を押され、私は緑色の水着を抱えたまま、カーテンの向こう側へと押し込まれた。
狭い試着室。
正面の鏡に映る自分を見つめながら、私は1週間後の光景を思い描いた。
海が様になっている人魚の前田君と、河童の私……。
周りは不釣り合いだと思うかもしれない。
それでも、この水着を着て、少しでも可愛く見られたいと願ってしまう。
それが恋なんだ。
緑色の水着は、まるで私を応援しているかのように、しっくりときた。
「うん、……いいかも」
小さく独り言をこぼすと、カーテン越しにサチコの声が飛んできた。
「どう?見せて!カーテン開けるよ!」
「ちょっ、勝手に開けないでよ!」
慌ててカーテンを内側から押さえる。
恥ずかしさと、ほんの少しの期待を胸に、私たちはレジへと向かった。
