迷子と探検家
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ーーおまけ(尾形光side)ーー
学校の補習を抜け出して、弟の林と一緒に空の散歩をしていた。
休みの日にまで勉強したくない。
そんな中、山肌にぽっかりと口を開けた洞穴を見つけた。
「……あ、面白そう。なあ、林、あそこ入ってみない?」
「えー……、僕はいいよ。入るなら光1人で行ってよね。汚れるの嫌だし」
「つれないな。じゃあ、ちょっと見てくるわ」
そう言って、僕1人だけその地へ降りた。
洞穴の中は薄暗く、ひんやりとした空気が肌を撫でる。
奥へ行くほど光が届かなくなり、視界は完全な闇に包まれた。
僕は人差し指の先に、小さく青白い光を灯す。
こういう時に雷神の力は便利でいい。
これから本格的な探検が始まる。
そうワクワクした矢先、角を曲がった瞬間に岩壁に突き当たった。
「なんだ、行き止まりか。拍子抜け」
奥まで調べ尽くして入り口へ戻ろうとした時、聞き慣れない音がした。
震えるような、小さな呼吸の音。
ひょいと岩陰から顔を出すと、そこにいたのは運動着姿の人間の女の子だった。
「あれ、人がいる」
声をかけると、彼女は飛び上がるほど驚いて僕を見た。
怯えた瞳、濡れた髪。
どうやら僕が探索中に雨が降ってきたらしい。
話を聞けば、案の定の迷子。
「連絡は取った?」
「……スマホの充電が切れちゃって。ほら」
彼女が差し出したのは、真っ暗なスマホの画面。
スマホが使えない絶望感なら、僕も痛いほどよく分かる。
なんて言ったって、エロ漫画が読めなくなるから。
それはもはや死活問題だ。
「あー、それは困ったね」
僕は笑いながら、自然と手が動いていた。
別に助ける義理なんてない。
だけど、彼女のことが不憫に思えたから。
「僕が、充電してあげようか」
彼女が不思議そうな顔で、その端末を僕の手のひらに乗せる。
指先が少し触れて、彼女がひどく冷え切っているのが分かった。
預かったは良いけれど、あいにく充電器なんて持ってきていない。
けれど、僕には裏技がある。
僕は意識を集中させ、体内の雷を指先に集めた。
パチパチと弾ける電気を、精密機械が壊れない程度の出力に調整して、端子から流し込む。
「はい、できたよ」
一瞬でフル充電になった画面を見て、彼女は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
仕掛けを聞かれたけれど、正直に僕が雷神だと言ったら、今度こそ腰を抜かしてしまうだろう。
「内緒。それより、早く連絡した方がいいんじゃない?」
促すと、彼女は慌てて友達に連絡を取り始めた。
安心したように画面を見つめる彼女の横顔を見て、僕は少しだけ満足した。
やがて雨が上がり、外から騒がしい人間の声が聞こえてくる。
さて、僕もそろそろ林のところに戻るか。
「……ねえ、待って!キミの名前は!?」
立ち去ろうとした僕の背中に、彼女の声が突き刺さる。
「僕は尾形光。今度は迷子にならないようにね」
適当な別れの言葉を告げて、僕は彼女の視界から消えた。
正確には、たまたま真上を飛んでいた林を見つけて、一瞬で跳び上がっただけなんだけど。
「なんか、あった?機嫌良さそうだけど」
僕を拾い上げた林が、怪訝そうな顔で尋ねてくる。
「別に?強いて言うなら、人助け」
「……?」
洞穴に入ったはずの僕から「人助け」と言う言葉が出てきたのが意外だったのか、林の頭にははてなマークが浮かんでいるように見えた。
だけど、それ以上詳しく話すつもりはない。
これは僕と彼女だけの秘密だから。
学校の補習を抜け出して、弟の林と一緒に空の散歩をしていた。
休みの日にまで勉強したくない。
そんな中、山肌にぽっかりと口を開けた洞穴を見つけた。
「……あ、面白そう。なあ、林、あそこ入ってみない?」
「えー……、僕はいいよ。入るなら光1人で行ってよね。汚れるの嫌だし」
「つれないな。じゃあ、ちょっと見てくるわ」
そう言って、僕1人だけその地へ降りた。
洞穴の中は薄暗く、ひんやりとした空気が肌を撫でる。
奥へ行くほど光が届かなくなり、視界は完全な闇に包まれた。
僕は人差し指の先に、小さく青白い光を灯す。
こういう時に雷神の力は便利でいい。
これから本格的な探検が始まる。
そうワクワクした矢先、角を曲がった瞬間に岩壁に突き当たった。
「なんだ、行き止まりか。拍子抜け」
奥まで調べ尽くして入り口へ戻ろうとした時、聞き慣れない音がした。
震えるような、小さな呼吸の音。
ひょいと岩陰から顔を出すと、そこにいたのは運動着姿の人間の女の子だった。
「あれ、人がいる」
声をかけると、彼女は飛び上がるほど驚いて僕を見た。
怯えた瞳、濡れた髪。
どうやら僕が探索中に雨が降ってきたらしい。
話を聞けば、案の定の迷子。
「連絡は取った?」
「……スマホの充電が切れちゃって。ほら」
彼女が差し出したのは、真っ暗なスマホの画面。
スマホが使えない絶望感なら、僕も痛いほどよく分かる。
なんて言ったって、エロ漫画が読めなくなるから。
それはもはや死活問題だ。
「あー、それは困ったね」
僕は笑いながら、自然と手が動いていた。
別に助ける義理なんてない。
だけど、彼女のことが不憫に思えたから。
「僕が、充電してあげようか」
彼女が不思議そうな顔で、その端末を僕の手のひらに乗せる。
指先が少し触れて、彼女がひどく冷え切っているのが分かった。
預かったは良いけれど、あいにく充電器なんて持ってきていない。
けれど、僕には裏技がある。
僕は意識を集中させ、体内の雷を指先に集めた。
パチパチと弾ける電気を、精密機械が壊れない程度の出力に調整して、端子から流し込む。
「はい、できたよ」
一瞬でフル充電になった画面を見て、彼女は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
仕掛けを聞かれたけれど、正直に僕が雷神だと言ったら、今度こそ腰を抜かしてしまうだろう。
「内緒。それより、早く連絡した方がいいんじゃない?」
促すと、彼女は慌てて友達に連絡を取り始めた。
安心したように画面を見つめる彼女の横顔を見て、僕は少しだけ満足した。
やがて雨が上がり、外から騒がしい人間の声が聞こえてくる。
さて、僕もそろそろ林のところに戻るか。
「……ねえ、待って!キミの名前は!?」
立ち去ろうとした僕の背中に、彼女の声が突き刺さる。
「僕は尾形光。今度は迷子にならないようにね」
適当な別れの言葉を告げて、僕は彼女の視界から消えた。
正確には、たまたま真上を飛んでいた林を見つけて、一瞬で跳び上がっただけなんだけど。
「なんか、あった?機嫌良さそうだけど」
僕を拾い上げた林が、怪訝そうな顔で尋ねてくる。
「別に?強いて言うなら、人助け」
「……?」
洞穴に入ったはずの僕から「人助け」と言う言葉が出てきたのが意外だったのか、林の頭にははてなマークが浮かんでいるように見えた。
だけど、それ以上詳しく話すつもりはない。
これは僕と彼女だけの秘密だから。
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