神様のお家
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翌日、私は決意を固めて、百葉箱に向かった。
今日で、ここに来るのは最後にしよう。
そう決めた。
いつものように、誰にも見られないことを確認して、白い箱の前に立つ。
私は深く息を吸い込み、そっと両手を合わせ、目を閉じる。
「神様……。私、今日で来るの最後にしようと思うの」
瞼の裏に鮮やかに蘇るのは、ここへ通った日々のこと。
雨の日や風邪で学校を休んだ日以外は、毎日欠かさずここに通っていた。
嬉しかったこと、悲しかったこと、悔しかったこと。
秘密の恋の相談も、全てここに報告した。
たとえこの箱が神様のお家じゃないとしても、私にとっては特別な拠り所だった。
それが、明日からしなくて良いのかと思うと、急に胸が締め付けられるような、虚無感がやってきた。
「うっ……」
込み上げてくる感情を抑えきれず、私は喉の奥で小さな嗚咽を漏らした。
涙が瞼の裏で熱くなり、今にも溢れ出しそうになる。
そのとき、涼しげな少年のような声が、頭上から降ってきた。
「もう、来ないのか?」
またタロウ君たちが、からかいに来たのかと思った。
だけど、声がする方向が明らかにおかしかった。
百葉箱の、真上のあたりから聞こえてくる。
私は恐る恐る目を開き、その白い箱を見上げた。
すると、そこには、金髪の少年がいた。
瞳は空のような鮮やかな青色。
彼は百葉箱の屋根を跨ぐように腰掛け、こちらを見つめている。
「え、アナタ……誰?」
私の声は、ひどく掠れていた。
少年は足をぶらぶらさせながら得意気に答えた。
「誰って、神様だよ」
「神様……?」
私は呆然と彼を見上げた。
どっからどう見ても、完璧な人間にしか見えない。
だけど、もし、目の前のこの金髪の少年が本当に神様だとしたら、この百葉箱の上に、急に現れたというこの状況も、なんだか納得がいく気がした。
「本物……?」
「おう。だから、これからも頑張って拝みに来いよ。そうだな……たまには、お供えなんかも期待してる。豆とか」
そう言って、神様は口元にイタズラっぽい笑みを浮かべた。
自らお供えを要求する神様がいるのか。
しかも、品物の指定までするなんて。
だけど、4年間通い続けた習慣をなくさなくていいことに安堵した。
「分かった!明日も明後日も、卒業するまで通うね!」
私が深々と頭を下げたその瞬間、神様はクスッと笑い、風と共にパッと姿を消した。
彼のいた場所には、ただの白い百葉箱が、静かに佇んでいるだけだった。
ーーFinーー
今日で、ここに来るのは最後にしよう。
そう決めた。
いつものように、誰にも見られないことを確認して、白い箱の前に立つ。
私は深く息を吸い込み、そっと両手を合わせ、目を閉じる。
「神様……。私、今日で来るの最後にしようと思うの」
瞼の裏に鮮やかに蘇るのは、ここへ通った日々のこと。
雨の日や風邪で学校を休んだ日以外は、毎日欠かさずここに通っていた。
嬉しかったこと、悲しかったこと、悔しかったこと。
秘密の恋の相談も、全てここに報告した。
たとえこの箱が神様のお家じゃないとしても、私にとっては特別な拠り所だった。
それが、明日からしなくて良いのかと思うと、急に胸が締め付けられるような、虚無感がやってきた。
「うっ……」
込み上げてくる感情を抑えきれず、私は喉の奥で小さな嗚咽を漏らした。
涙が瞼の裏で熱くなり、今にも溢れ出しそうになる。
そのとき、涼しげな少年のような声が、頭上から降ってきた。
「もう、来ないのか?」
またタロウ君たちが、からかいに来たのかと思った。
だけど、声がする方向が明らかにおかしかった。
百葉箱の、真上のあたりから聞こえてくる。
私は恐る恐る目を開き、その白い箱を見上げた。
すると、そこには、金髪の少年がいた。
瞳は空のような鮮やかな青色。
彼は百葉箱の屋根を跨ぐように腰掛け、こちらを見つめている。
「え、アナタ……誰?」
私の声は、ひどく掠れていた。
少年は足をぶらぶらさせながら得意気に答えた。
「誰って、神様だよ」
「神様……?」
私は呆然と彼を見上げた。
どっからどう見ても、完璧な人間にしか見えない。
だけど、もし、目の前のこの金髪の少年が本当に神様だとしたら、この百葉箱の上に、急に現れたというこの状況も、なんだか納得がいく気がした。
「本物……?」
「おう。だから、これからも頑張って拝みに来いよ。そうだな……たまには、お供えなんかも期待してる。豆とか」
そう言って、神様は口元にイタズラっぽい笑みを浮かべた。
自らお供えを要求する神様がいるのか。
しかも、品物の指定までするなんて。
だけど、4年間通い続けた習慣をなくさなくていいことに安堵した。
「分かった!明日も明後日も、卒業するまで通うね!」
私が深々と頭を下げたその瞬間、神様はクスッと笑い、風と共にパッと姿を消した。
彼のいた場所には、ただの白い百葉箱が、静かに佇んでいるだけだった。
ーーFinーー
