嘘つキ
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ーーおまけ(神酒side)ーー
早めに授業を切り上げて、職員室に戻ったら、中から人の気配がした。
そのまま入ればええのに、どういうワケか扉についてる窓を覗いてみた。
すると、中ではあの実習生の◯◯さんが、デスクに向かって黙々と仕事をしとった。
仮面のせいで視界が悪うなってんのか、少しだけ猫背気味になって、机に顔を近付けている。
その姿がなんやおかしくて、僕は気付かんうちに口元が緩んでしもうた。
そして、あーっと、彼女は突然、ヤケになったみたいに叫んだと思たら、ゆっくり仮面を外した。
その素顔は、どう見ても人間やった。
角も生えてへんし、目も2つ。
元々妖力からして人間やとは思っとったけど、こんなに大胆に素顔を晒すと言うことは、やっぱり晴明先生の知り合いか、それとも血筋の人なんやろか。
せやったらコソコソ隠さへんでもええのに。
それにしても、彼女の顔がどこか懐かしい感じがした。
人間の知り合いなんておらへんのに。
強いて言うなら、10年前の……。
いや、まさかな。
あの小さい子がこんなとこにおるはずがない。
こんなとこで立ち尽くしてるのも気が引けて、そろそろ職員室に入ろうとした、その瞬間、ガサガサと彼女の後ろから物音がした。
彼女はハッとした表情で、慌てて仮面を着け直した。
どうやら、部屋の隅におったねずみ先生に気付かへんかったらしい。
あの先生は体が小さいから、時々見失うことがある。
それは仕方ない。
ただ、それはそうとして、さっきの彼女の反応からして、素顔を見られたくないように感じた。
何か理由があるんやろか……。
やけど、それを聞く勇気は今の僕にはなかった。
ーーーー
いつものように授業を終えて、職員室に戻ると、実習生が1人、プリントの整理をしとった。
「明日の準備?」
そう声をかけると、彼女は嬉しそうに返事をする。
その顔には、いつもの仮面。
女性が苦手な僕にとって、この仮面があるうちは、不思議と普通に話せる。
そんなことを考えとったら、彼女が突然、僕に尋ねてきた。
「あの、神酒先生……。生徒から聞いたんですけど、先生も鬼なのに力が弱いらしいですね。なんでですか?」
それは、僕が一番触れてほしくないトラウマやった。
安易に土足で踏み込まれたみたいに腹が立って、僕は挑発的に質問を質問で返した。
「逆に◯◯さんはなんでなん?」
答えられるはずがない。
だって、キミは人間なんやから。
すると、彼女はあっさりと、そして軽率な理由を口にした。
「えっと……神酒先生と同じ理由ですよ」
「へぇ、僕と同じ……ねぇ」
まさか、キミも母親から妖力を取り続けられて、力が弱なった、とでも言うつもりか。
ふざけるのにも程がある。
胸の奥で煮えくり返るような不快感が込み上げてきた。
そんな感情が伝わってしもうたんか、彼女の手から持ってたファイルが落ちた。
「あらあら、ドジやなぁ」
彼女より先にしゃがみ込んで、落ちたプリントを拾っていると、プリントに紛れた1枚の写真が、目に飛び込んできた。
そこには小さな人間の女の子が写ってた。
その顔は……。
間違いなく、10年前にここに迷い込んできた、あの幼い少女やった。
「何やこれ」
思わず声が漏れた。
彼女は血の気が引いたような顔で、慌てて僕の指からその写真を奪い取る。
「な、何でもないです!」
ひどく上ずった声。
まるで、僕に写真の少女が自分やとバレるのを怖がってるようやった。
バレたら僕ら妖怪に今度こそ食べられるとでも思っとるんか。
僕は、昔も今も、彼女を食べようとなんて思ってへんのに。
やけど、そっちがその気やったら、僕は何も触れへん。
「……気ぃ付けや」
それ以上何も言わんと、拾い集めたプリントを彼女に渡すと、僕は静かに職員室から出た。
早めに授業を切り上げて、職員室に戻ったら、中から人の気配がした。
そのまま入ればええのに、どういうワケか扉についてる窓を覗いてみた。
すると、中ではあの実習生の◯◯さんが、デスクに向かって黙々と仕事をしとった。
仮面のせいで視界が悪うなってんのか、少しだけ猫背気味になって、机に顔を近付けている。
その姿がなんやおかしくて、僕は気付かんうちに口元が緩んでしもうた。
そして、あーっと、彼女は突然、ヤケになったみたいに叫んだと思たら、ゆっくり仮面を外した。
その素顔は、どう見ても人間やった。
角も生えてへんし、目も2つ。
元々妖力からして人間やとは思っとったけど、こんなに大胆に素顔を晒すと言うことは、やっぱり晴明先生の知り合いか、それとも血筋の人なんやろか。
せやったらコソコソ隠さへんでもええのに。
それにしても、彼女の顔がどこか懐かしい感じがした。
人間の知り合いなんておらへんのに。
強いて言うなら、10年前の……。
いや、まさかな。
あの小さい子がこんなとこにおるはずがない。
こんなとこで立ち尽くしてるのも気が引けて、そろそろ職員室に入ろうとした、その瞬間、ガサガサと彼女の後ろから物音がした。
彼女はハッとした表情で、慌てて仮面を着け直した。
どうやら、部屋の隅におったねずみ先生に気付かへんかったらしい。
あの先生は体が小さいから、時々見失うことがある。
それは仕方ない。
ただ、それはそうとして、さっきの彼女の反応からして、素顔を見られたくないように感じた。
何か理由があるんやろか……。
やけど、それを聞く勇気は今の僕にはなかった。
ーーーー
いつものように授業を終えて、職員室に戻ると、実習生が1人、プリントの整理をしとった。
「明日の準備?」
そう声をかけると、彼女は嬉しそうに返事をする。
その顔には、いつもの仮面。
女性が苦手な僕にとって、この仮面があるうちは、不思議と普通に話せる。
そんなことを考えとったら、彼女が突然、僕に尋ねてきた。
「あの、神酒先生……。生徒から聞いたんですけど、先生も鬼なのに力が弱いらしいですね。なんでですか?」
それは、僕が一番触れてほしくないトラウマやった。
安易に土足で踏み込まれたみたいに腹が立って、僕は挑発的に質問を質問で返した。
「逆に◯◯さんはなんでなん?」
答えられるはずがない。
だって、キミは人間なんやから。
すると、彼女はあっさりと、そして軽率な理由を口にした。
「えっと……神酒先生と同じ理由ですよ」
「へぇ、僕と同じ……ねぇ」
まさか、キミも母親から妖力を取り続けられて、力が弱なった、とでも言うつもりか。
ふざけるのにも程がある。
胸の奥で煮えくり返るような不快感が込み上げてきた。
そんな感情が伝わってしもうたんか、彼女の手から持ってたファイルが落ちた。
「あらあら、ドジやなぁ」
彼女より先にしゃがみ込んで、落ちたプリントを拾っていると、プリントに紛れた1枚の写真が、目に飛び込んできた。
そこには小さな人間の女の子が写ってた。
その顔は……。
間違いなく、10年前にここに迷い込んできた、あの幼い少女やった。
「何やこれ」
思わず声が漏れた。
彼女は血の気が引いたような顔で、慌てて僕の指からその写真を奪い取る。
「な、何でもないです!」
ひどく上ずった声。
まるで、僕に写真の少女が自分やとバレるのを怖がってるようやった。
バレたら僕ら妖怪に今度こそ食べられるとでも思っとるんか。
僕は、昔も今も、彼女を食べようとなんて思ってへんのに。
やけど、そっちがその気やったら、僕は何も触れへん。
「……気ぃ付けや」
それ以上何も言わんと、拾い集めたプリントを彼女に渡すと、僕は静かに職員室から出た。
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