深夜の来訪者
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〜深夜の来訪者〜
今夜も、仕事帰りは終電ギリギリだった。
受け持っている仕事が多くて手が回らないと言うのに、それを聞いてくれない上司は次々に仕事を振ってくる。
その挙げ句、同僚も仕事を押し付けてくる。
自分の仕事は自分でやって、と言っても聞き入れてくれない。
話が通じないのだ。
この鬱憤を誰かに話したい。
誰でも良い、ちゃんと会話できるならゾンビでも宇宙人でも。
それくらい私のメンタルは限界に近付いていた。
重い足取りでアパートの扉を開け、私はため息一つ吐く。
「はぁ……今日は一人晩酌でもするか……」
明日は仕事が休み。
それだけが唯一の楽しみだった。
玄関でパンプスを脱ぎかけた、その時。
カタンッ
普段は絶対に鳴らない、リビングの方から物音。
一人暮らしだから、もちろん誰もいるはずがない。
泥棒?空き巣?
意を決してリビングの扉を開けると、そこには、和服姿の青年が、窓辺で月明かりに照らされて佇んでいた。
「あの、……どちら様?」
彼は私に気付き、ふわっと微笑む。
不思議と恐怖はなかった。
「僕は妖怪。酒呑童子」
「妖怪……?」
確かに見た目は人間に見えるけれど、人間にしてはあり得ないほどの美貌と、頭に生えている角が、信憑性を高める。
多分、普通の人間だったら、ここで叫んでいただろう。
だけど私は疲れていて、誰かと話したい気分だった。
「……なんだ、ただの妖怪さんか。びっくりした~。生きてる人間だったら通報しないといけなかったけど、そうじゃないなら大丈夫だよね。ねぇ、せっかくだから一杯どう?」
自分でも驚いた。
思考回路がどこかズレてる。
妖怪さんも、きょとんと目を丸くしていた。
「え?お、お酒……?」
「そう。私、一人で飲むより、たまには誰かと乾杯したかったの」
ばたばたと台所から日本酒を出して、私は妖怪さんの前にお猪口を置く。
「どうぞ」
だけど、彼は一向に手を付けない。
「もしかして、未成年?」
「いや、飲めるけど……。僕、一応仕事中でさ……」
「仕事?何の?」
妖怪にも仕事があるのだろうか。
ひょっとして、私を驚かせる仕事、とか?
それだったら、見当違いの反応をしてしまって申し訳ない。
「うーん……僕、妖怪学校の教師でな」
「妖怪学校の教師……」
お化けには学校も試験もない、なんて歌があった気がするけど、やっぱりあれは嘘だったのか。
「で、その教師とやらがなんでうちに?」
「深夜の化かし授業の下見をしとったんやけど、逆にこっちが驚かされたわ」
「えへへ」
「褒めてへん」
彼の少し呆れたような声に、私はなぜか嬉しくなった。
ああ、この人と、ちゃんとした会話ができている。
それがただただ嬉しかった。
「まあ、なんでもいいけど、その妖怪学校とやらの話を聞かせてよ。それをつまみにお酒飲むからさ」
「
彼はそう言いながらも、私の向かいに腰を下ろした。
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