透明なアナタだから
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それからと言うもの、私の日常は一変した。
会社へ行く道を、わざわざ少し遠回りするようにした。
目的は1つ、あの交番の前を通るためだ。
そして、私の期待を裏切らず、山崎さんはいつも通り、交番の前に立っていた。
「やあ、◯◯さん。今日も良い天気ですね」
彼はいつも通り、穏やかに話しかけてくれる。
「本当ですね、暑いくらいです」
私たちは、当たり障りのない天気の話から、他愛のない言葉を一言二言交わす。
この数分間が、私の1日の始まりで、1番の楽しみになっていた。
「熱中症には気を付けてくださいね」
山崎さんのその言葉を聞いたとき、私はふと閃いた。
他愛のない会話のついでに、私は彼を試すような、少し意地悪なことを言ってみた。
「山崎さん、今の言葉をもう1度、ゆっくり言ってください!」
彼は不思議そうに首を傾げながらも、私の願いを無下にせず、素直に応じてくれた。
「え?よく分からないけど……ねえ ちゅう しよう には きをつけて くださいね」
意味は分からずとも、私の言う通りに実行してくれた山崎さん。
私は思わず、満面の笑顔で元気よく返事をした。
「はい、気を付けます!」
「熱中症」をゆっくり言うと、「ねえ、チューしよう」に聞こえる。
意図的にキスを催促させるセリフを彼に言わせてこっそりと楽しむ。
また別の日には、
「もう、山崎さん!また勝手に私に変身して!」
私が交番を通る時間を狙って、彼は私の姿に変身して待っていたりもする。
「はははっ」
私が少し怒ったフリをすると、彼は慌てて元の包帯の姿に戻り、楽しそうに笑う。
そんな正義感に溢れていながら、時折見せるお茶目な一面。
いつの間にか、私はそんな山崎さんのことが、どうしようもなく好きになっていた。
だけど、この気持ちは、私の中で留めるつもりだった。
だって、私を助けてくれたのは、彼の仕事だから。
話しかけてくれるのも、私が頻繁に交番の前を通るから。
きっとそうでもしなければ、山崎さんは私に興味も持たないだろう。
私は、ただ彼が守るべき市民の1人。
それ以上でも以下でもない。
だから、この気持ちは、押し殺してしまおう。
そう決意し、毎日を過ごしてきた。
山崎さんと過ごす短い時間は、私にとって楽しくて仕方がないと同時に、決して伝えられない想いを抱える苦しい時間でもあった。
そんな、切なくも平穏な日々を過ごしてしばらく経った頃、事件は突如として訪れた。
会社へ行く道を、わざわざ少し遠回りするようにした。
目的は1つ、あの交番の前を通るためだ。
そして、私の期待を裏切らず、山崎さんはいつも通り、交番の前に立っていた。
「やあ、◯◯さん。今日も良い天気ですね」
彼はいつも通り、穏やかに話しかけてくれる。
「本当ですね、暑いくらいです」
私たちは、当たり障りのない天気の話から、他愛のない言葉を一言二言交わす。
この数分間が、私の1日の始まりで、1番の楽しみになっていた。
「熱中症には気を付けてくださいね」
山崎さんのその言葉を聞いたとき、私はふと閃いた。
他愛のない会話のついでに、私は彼を試すような、少し意地悪なことを言ってみた。
「山崎さん、今の言葉をもう1度、ゆっくり言ってください!」
彼は不思議そうに首を傾げながらも、私の願いを無下にせず、素直に応じてくれた。
「え?よく分からないけど……ねえ ちゅう しよう には きをつけて くださいね」
意味は分からずとも、私の言う通りに実行してくれた山崎さん。
私は思わず、満面の笑顔で元気よく返事をした。
「はい、気を付けます!」
「熱中症」をゆっくり言うと、「ねえ、チューしよう」に聞こえる。
意図的にキスを催促させるセリフを彼に言わせてこっそりと楽しむ。
また別の日には、
「もう、山崎さん!また勝手に私に変身して!」
私が交番を通る時間を狙って、彼は私の姿に変身して待っていたりもする。
「はははっ」
私が少し怒ったフリをすると、彼は慌てて元の包帯の姿に戻り、楽しそうに笑う。
そんな正義感に溢れていながら、時折見せるお茶目な一面。
いつの間にか、私はそんな山崎さんのことが、どうしようもなく好きになっていた。
だけど、この気持ちは、私の中で留めるつもりだった。
だって、私を助けてくれたのは、彼の仕事だから。
話しかけてくれるのも、私が頻繁に交番の前を通るから。
きっとそうでもしなければ、山崎さんは私に興味も持たないだろう。
私は、ただ彼が守るべき市民の1人。
それ以上でも以下でもない。
だから、この気持ちは、押し殺してしまおう。
そう決意し、毎日を過ごしてきた。
山崎さんと過ごす短い時間は、私にとって楽しくて仕方がないと同時に、決して伝えられない想いを抱える苦しい時間でもあった。
そんな、切なくも平穏な日々を過ごしてしばらく経った頃、事件は突如として訪れた。
