失恋同盟
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〜失恋同盟〜
私には実のお兄ちゃんのように慕っていた幼馴染がいた。
いや、お兄ちゃんだなんて言い訳で、本当はずっと彼のことが好きだった。
就職をきっかけに県外に行ってしまったお兄ちゃん。
後1年で高校を卒業する私は、ようやく彼の住む県の大学へ行けると思っていた。
また、側にいられると思っていた。
そんな矢先、彼から結婚の報告をされた。
相手は私じゃない。
私の頭は真っ白になった。
「結婚……?お兄ちゃんが?」
久しぶりに家に来たと思えば、お兄ちゃんは唐突に話を切り出してきた。
「おう、●●には直接伝えようと思ってな」
「そ、そうなんだ……。おめでとう」
そう言うのが精一杯だった。
正直、彼女がいることすら知らなかった。
ずっと隣にいるのは私だけだったはずなのに。
お兄ちゃんは今、私の目の前にいる。
こんなにも近くにいるのに、どうして心は遠くにあるの?
「ありがとうな!」
お兄ちゃんはキラキラと笑った。
その嬉しそうな顔を見るだけで、胸の奥がギュッと痛くなる。
どうしても、心から祝福なんてできない。
「その……彼女さんの写真とかあるの?」
「おう、見るか?美人さんだぜ」
そう言って彼が見せてくれたスマホの画面には、右目に眼帯をつけた美人なお姉さんと、今まで見たこともない、とびきり幸せそうな笑顔のお兄ちゃんが並んで写っていた。
結婚式の前撮りの写真だろうか。
まるで1枚の絵画のようだ。
私とはまるで釣り合わない、彼女さん。
お兄ちゃんは、私みたいなちんちくりんじゃなくて、きっとこういう綺麗な人がタイプなんだ。
道理で、私なんかじゃ振り向いてくれないワケだ。
「はははっ……」
思わず、乾いた笑いが漏れた。
そんなことも気付かずに、お兄ちゃんは嬉しそうに、
「なっ!美人だろ!」
と満面の笑みを浮かべている。
その笑顔が、私の心をさらに抉る。
「あ、そうそう。今日は報告だけじゃなくて……ほら、これ」
そう言って、お兄ちゃんは鞄から白い封筒を取り出して差し出した。
結婚式の招待状。
それには、控えめなエンボス加工されたレース模様が美しい、思わず指でなぞってしまうようなデザインが施されていた。
真ん中には筆で丁寧に◯◯●●様と書かれている。
これはお兄ちゃんの字じゃない。
きっと彼女さんが書いたのだろう。
字まで綺麗だなんて、本当に隙がない。
「来てくれるよな?」
長年の想いに終止符を打たなければならない。
「……うん」
私は俯きがちに、それだけを答えた。
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