男だとか女だとか
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
男性なのに雪女。
そんな富士さんのことが気になって仕方がなかった。
それはまるで、女なのに狼男の私と似ていたから。
でも、詳しいことは分からない。
こうなるなら、もっと真面目に妖怪学の授業を聞いていれば良かった。
だから、休み時間に図書室に行くことにした。
……。
…………。
図書室の扉を開けると、紙の独特な匂いが鼻をかすめた。
嗅覚が鋭い私だけれど、この匂いはどこか落ち着く。
他の余計な匂いも消してくれるから。
軽く深呼吸をしてからお目当ての本を探し始めた。
歴史と書かれた本棚の前に立ち、雪女について書かれていそうな本を見繕う。
妖怪の全て……妖怪の起源……妖怪伝承……。
後は妖怪民俗学……。
だけど、最後に選んだ本は棚の一番上に合って、背伸びをしても届かなかった。
「あと少しなのに……!」
諦めて台座を取りに行こうとしたら、背後からすっと誰かの手が伸びて、目当ての本を難なく取る。
「この本?」
低いけれども、どこか澄んだ声。
「あ、はい!」
反射的に答えてから振り返ると、本を差し出してきたのは、富士さんだった。
「……!」
驚きのあまりお礼を言えずにいると、富士さんの方から話を振ってくれた。
「あれ、キミ……この間、廊下でぶつかりそうになったよね?」
覚えてくれていたらしい。
その事実が嬉しかった。
「うん、その節はごめんなさい」
思わず小さな声で答えると、富士さんは優しく微笑んだ。
「気にしてないよ。ところで、その本全部読むの?」
「うん、ちょっと調べたいことがあって」
「へぇー勉強熱心なんだね」
「あはは……」
勉強熱心なんかじゃなくて、アナタに熱心なんです。
なんて、口が裂けても言えない。
そう思っていたのに、
「なんか嬉しそうだね」
唐突、富士さんがぽつりと指摘してきた。
「え……?」
意味が分からなかった。
口どころか顔にも感情を出していないはずなのに。
だけど、腰のあたりで、自分の尻尾が無意識にブンブンと大きく揺れていることに気付いて、顔が一瞬で熱くなった。
「……尻尾、すごい動いてるから」
「わぁっ……あぁ!」
慌てて尻尾を押さえ込むけれど、時すでに遅し。
富士さんはそんな様子を面白そうに見てくすっと笑った。
「図星なんだ」
「ぅぅ……実は富士さんに会えたのが嬉しくて」
その言葉を聞いた瞬間、彼の目元が僅かに和らぐ。
「あー……、そう言えば言ってたっけ。俺のことが綺麗で見惚れたって」
からかうような、でもどこか優しい口調。
いざ面と向かって言われると、あのとき大胆なことを言っていたことに気付かされる。
「キミも化粧をしたら変わるよ」
「……変わらないよ。だって私、狼男だから……。化粧とか似合わないの」
少し拗ねたように答えると、富士さんの瞳が真っすぐ自分を捉えた。
「男だとか女だとか関係無いよ。肝心なのは綺麗になりたいかどうか」
その言葉にハッとさせられた。
「……なりたい。私だって富士さんみたいに綺麗になりたい!」
富士さんは嬉しそうに微笑む。
「そうこなくっちゃ」
太陽みたいな笑顔に、私の尻尾はまたもや無意識に揺れ始めてしまうのだった。
ーーFinーー
そんな富士さんのことが気になって仕方がなかった。
それはまるで、女なのに狼男の私と似ていたから。
でも、詳しいことは分からない。
こうなるなら、もっと真面目に妖怪学の授業を聞いていれば良かった。
だから、休み時間に図書室に行くことにした。
……。
…………。
図書室の扉を開けると、紙の独特な匂いが鼻をかすめた。
嗅覚が鋭い私だけれど、この匂いはどこか落ち着く。
他の余計な匂いも消してくれるから。
軽く深呼吸をしてからお目当ての本を探し始めた。
歴史と書かれた本棚の前に立ち、雪女について書かれていそうな本を見繕う。
妖怪の全て……妖怪の起源……妖怪伝承……。
後は妖怪民俗学……。
だけど、最後に選んだ本は棚の一番上に合って、背伸びをしても届かなかった。
「あと少しなのに……!」
諦めて台座を取りに行こうとしたら、背後からすっと誰かの手が伸びて、目当ての本を難なく取る。
「この本?」
低いけれども、どこか澄んだ声。
「あ、はい!」
反射的に答えてから振り返ると、本を差し出してきたのは、富士さんだった。
「……!」
驚きのあまりお礼を言えずにいると、富士さんの方から話を振ってくれた。
「あれ、キミ……この間、廊下でぶつかりそうになったよね?」
覚えてくれていたらしい。
その事実が嬉しかった。
「うん、その節はごめんなさい」
思わず小さな声で答えると、富士さんは優しく微笑んだ。
「気にしてないよ。ところで、その本全部読むの?」
「うん、ちょっと調べたいことがあって」
「へぇー勉強熱心なんだね」
「あはは……」
勉強熱心なんかじゃなくて、アナタに熱心なんです。
なんて、口が裂けても言えない。
そう思っていたのに、
「なんか嬉しそうだね」
唐突、富士さんがぽつりと指摘してきた。
「え……?」
意味が分からなかった。
口どころか顔にも感情を出していないはずなのに。
だけど、腰のあたりで、自分の尻尾が無意識にブンブンと大きく揺れていることに気付いて、顔が一瞬で熱くなった。
「……尻尾、すごい動いてるから」
「わぁっ……あぁ!」
慌てて尻尾を押さえ込むけれど、時すでに遅し。
富士さんはそんな様子を面白そうに見てくすっと笑った。
「図星なんだ」
「ぅぅ……実は富士さんに会えたのが嬉しくて」
その言葉を聞いた瞬間、彼の目元が僅かに和らぐ。
「あー……、そう言えば言ってたっけ。俺のことが綺麗で見惚れたって」
からかうような、でもどこか優しい口調。
いざ面と向かって言われると、あのとき大胆なことを言っていたことに気付かされる。
「キミも化粧をしたら変わるよ」
「……変わらないよ。だって私、狼男だから……。化粧とか似合わないの」
少し拗ねたように答えると、富士さんの瞳が真っすぐ自分を捉えた。
「男だとか女だとか関係無いよ。肝心なのは綺麗になりたいかどうか」
その言葉にハッとさせられた。
「……なりたい。私だって富士さんみたいに綺麗になりたい!」
富士さんは嬉しそうに微笑む。
「そうこなくっちゃ」
太陽みたいな笑顔に、私の尻尾はまたもや無意識に揺れ始めてしまうのだった。
ーーFinーー
4/4ページ
