男だとか女だとか
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〜男だとか女だとか〜
百鬼学園の廊下は、相変わらずいろんな妖怪たちで賑わっている。
翼を羽ばたかせたり、尻尾を揺らしたり、はたまた無機物のようだったり。
みんながみんな、思い思いに過ごしている。
こんなにも“普通”から外れた生徒たちばかりのこの学園では、多少変わった容姿の人が歩いていても、特に気にも留めない。
それは私も同じ。
でも、あの日だけは違った。
いつものように教室へ向かって歩いていると、廊下の向こうからふっと、まるで冷気をまとっているような人が現れた。
彼女の存在だけ、周囲から浮き上がって見える。
すれ違いざまに、
「綺麗な人……」
と、無意識に呟いていた。
すると、隣にいた友達のハナコが私の視線の先を追い、クスリと笑う。
「ああ、富士ね。綺麗だよね〜。確か雪女だったかな」
「雪女……」
噂では、雪女はその美しさで男たちをたぶらかすと聞いたことがある。
だからあんなにも透明感があって、どこか近寄りがたい雰囲気を持っているんだ、と妙に納得してしまう。
きっと彼女もそういうタイプなのかもしれない。
それに比べて私は……。
「はぁ……」
廊下の窓ガラスに映る自分の姿を見て、ため息が出る。
女なのに妖怪狼男。
大きな獣耳に剛毛な毛、鋭く伸びた爪。
それから邪魔な尻尾。
オシャレをしたくても、言うことを聞いてくれない髪の毛では、諦めるしかなかった。
爪だって、切ってもすぐに伸びてしまう。
好きな服を着てみても、尻尾のせいで似合っているかどうかも分からない。
だからこそ、こんな私とは正反対の彼女に惹かれてしまったのだと思う。
気が付けば、彼女の姿を見かけるたびに目で追っていた。
グラウンドで体育の授業を受け、暑さで溶けかけている姿も、友達と楽しく戯れている姿も、神酒先生のことをミキティーと呼んで困らせている姿も。
きっと彼女は、そんな私の視線にも想いにも、全く気付いていないのだろう。
それは、進級して2年生になっても変わらなかった。
私は今日も、彼女の後ろ姿をそっと追いかけている。
目が合わないように、でも姿を見失わないように。
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