座敷わらしと雷神
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜座敷わらしと雷神〜
高校1年生の春。
新しい環境に胸を高鳴らせていたはずなのに、私は教室の隅に1人孤立していた。
原因は先日行われた自己紹介。
自分の番が回ってきたとき、緊張で視線が迷子になり、行き着いた先が教室の天井。
そんな明後日の方向を見ながら自己紹介をしたものだから、クラスメイトからは、
「天井に何かいるの?」
「もしかして、◯◯さんって幽霊が見えてる?」
「ヤバっ!」
なんて言われてしまった。
クスクスという笑い声。
恥ずかしくて消えてしまいそうになった。
それだけならよかったのに、黒髪ロングヘアという見た目が災いして“座敷わらし”なんて変なあだ名までつけられる始末。
それは、髪を切っても変わることはなかった。
それからというもの、クラスの皆に気味悪がられ、私はいつもひとりぼっち。
ーーーー
教室の居心地が悪くて、お昼休みはいつも屋上にいる。
屋上へ繋がる扉を開けると、まず初めに乱雑に置かれた脚立やパイプ椅子をドアの前にずらした。
私以外は誰も入ってこられないようにするためのバリケード。
ズリズリと音を立てて引き摺った。
「ふーっ……重た……」
面倒だけれど、こうしておけば、屋上を独り占めできる。
一仕事終えた後、空を見上げると、雲ひとつない快晴だった。
「眩しすぎるのよ……」
空に文句を溢したそのとき、
「こんなところで何してるのー?」
不意に背後から声がした。
驚いて振り返ると、見慣れない制服の少年が立っていた。
褐色の肌に目を隠すほどの白髪の前髪。
ドアは開かないはずなのに、どこから入ってきた?
それとも最初からいた?
そもそも、なんで他校の生徒がうちの高校にいるの?
謎だらけなのに、なぜか私の口は勝手に動いていた。
「私が座敷わらしだから」
……冗談のつもりだった。
本当の私はただの人間だし、幽霊だって見えない。
だけど、彼は一瞬も驚くことなく、ニヤっと笑って言った。
「ふーん。じゃあ僕は雷神」
呆気にとられたまま、反射的に聞き返す。
「……雷神?」
彼も私と同じように、何か理由があってそんなあだ名を付けられたのか。
だけど、彼は私みたいにネガティブになることなく、雷神になりきっていた。
「そう、雷神。今日は空が凄く綺麗だったから、ちょっと人間界を見に来た」
さらりと答えるその様子が妙に自然で、一瞬本当の雷神なんじゃないかと思えた。
「変な人ね」
「それはお互い様」
こうして、座敷わらしの私と、自称“雷神”の彼が出会った。
1/5ページ
