芽引き目吹かれ
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次の日から、たかはし先生は毎日のように病室を訪ねて来てくれた。
それは検査や問診のためでなく、ときには雑談をするだけの日も。
その雑談も自分の興味のある話だけを一方的に語るもの。
難しい内容で、半分も理解できないけれど、生き生きとしながら話す先生が無邪気で楽しそうで……見ていて、私まで心が躍った。
そして、それは今日も変わらない。
「やあ、◯◯さん」
病室に入ってきたたかはし先生がベッドの横に置いてある備え付けの椅子に座る。
ここに座ると言うことは、今日も長話をするつもりだ。
「調子はどう?」
「相変わらず全身痒いし、種はボロボロ落ちるし、最悪です」
私はゴミ箱に視線を移した。
中には今朝採れた種が入っている。
「それなら……」
すると、たかはし先生は私の腕に触れたかと思えば、
「痒いの痒いの飛んでいけー!」
何かを掴むフリをして、それを空に投げた。
普通は“痛いの痛いの飛んでいけ”では?
そう思いつつも先生のお茶目さに和まされる。
「全然効果ありませんよ?」
「あれれー、おかしいな」
先生はぽりぽりと頭を搔きながら、首を傾げる。
「ところで、その種って植えたら何が育つんだろうね?」
何が育つ……か。
考えたこともなかった。
「やってみます?」
もちろん冗談だ。
見た目が種なだけで、本当に種なわけではない。
他の医師も浮腫が硬くなったようなもの、と言っていたし。
それなのに、
「いいね!植物園でも経営しようか!従業員1号は◯◯さんね」
なんて、本気か分からないテンションで受け止めてくれる。
「ふふふ、なにそれ。まあ、でも……今は無職だし、雇われてあげてもいいですよ」
たかはし先生が赴任してから、少しだけ笑えるようになった。
先生が来てくれるときが唯一の楽しみ。
このまま、この関係が続けばいいのに。
だって、もし退院したとしても、元の生活に戻れる自信がなかったから。
滞納している家賃、高額の医療費、お金はいくらあっても足りないのに仕事はクビ。
果たしてこんな私が再就職できるのか。
頼れる家族だっていない。
そしてなにより、たかはし先生に会えなくなるのが寂しい。
それは検査や問診のためでなく、ときには雑談をするだけの日も。
その雑談も自分の興味のある話だけを一方的に語るもの。
難しい内容で、半分も理解できないけれど、生き生きとしながら話す先生が無邪気で楽しそうで……見ていて、私まで心が躍った。
そして、それは今日も変わらない。
「やあ、◯◯さん」
病室に入ってきたたかはし先生がベッドの横に置いてある備え付けの椅子に座る。
ここに座ると言うことは、今日も長話をするつもりだ。
「調子はどう?」
「相変わらず全身痒いし、種はボロボロ落ちるし、最悪です」
私はゴミ箱に視線を移した。
中には今朝採れた種が入っている。
「それなら……」
すると、たかはし先生は私の腕に触れたかと思えば、
「痒いの痒いの飛んでいけー!」
何かを掴むフリをして、それを空に投げた。
普通は“痛いの痛いの飛んでいけ”では?
そう思いつつも先生のお茶目さに和まされる。
「全然効果ありませんよ?」
「あれれー、おかしいな」
先生はぽりぽりと頭を搔きながら、首を傾げる。
「ところで、その種って植えたら何が育つんだろうね?」
何が育つ……か。
考えたこともなかった。
「やってみます?」
もちろん冗談だ。
見た目が種なだけで、本当に種なわけではない。
他の医師も浮腫が硬くなったようなもの、と言っていたし。
それなのに、
「いいね!植物園でも経営しようか!従業員1号は◯◯さんね」
なんて、本気か分からないテンションで受け止めてくれる。
「ふふふ、なにそれ。まあ、でも……今は無職だし、雇われてあげてもいいですよ」
たかはし先生が赴任してから、少しだけ笑えるようになった。
先生が来てくれるときが唯一の楽しみ。
このまま、この関係が続けばいいのに。
だって、もし退院したとしても、元の生活に戻れる自信がなかったから。
滞納している家賃、高額の医療費、お金はいくらあっても足りないのに仕事はクビ。
果たしてこんな私が再就職できるのか。
頼れる家族だっていない。
そしてなにより、たかはし先生に会えなくなるのが寂しい。
