嘘つキ
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潜入して数日、分かったことがある。
それは、ここ百鬼学園が異世界にあるワケではないこと。
どうやらあのお面の男、学園長の妖力によって本州と学園がある百鬼学園島が廃墟の扉を通して繋がっているらしい。
まさか同じ世界にこんな場所があるとは。
異世界に繋がっている、と言われた方がまだ信じられたかもしれない。
なんて疑っているくせに、今では毎日その扉を利用して家まで帰っている。
最近では図々しくも家の前に繋げてくれないかな、と思うほどに。
ちなみに、大学は単位が足りていたし、講義もそんなに取っていなかったので、もしあったとしても友達に代返をお願いしておいたから、多少サボっても問題ない……はず。
ーーーー
昼下がりの職員室。
私は机の上に散らかったプリントを片付けながら、次の授業の準備をしていた。
「次、◯◯さんの数学の授業やね」
不意に背後からかけられた声に振り向くと、神酒先生が穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
「あ、はい!」
私は反射的に返事をした。
教員免許もなければ教育学部でもない私は、もちろん人に教えることはできない。
だけど、数学なら公式に当てはめれば解けるから大丈夫だろう、と言う安直な考えで選んだ。
実際、人間の高校と違って妖怪学校の数学はレベルが低く助かっている。
「理系なら僕やなくて秦中先生のクラスの教育実習に付けばいいものを」
と最初は文句を言っていた神酒先生も、今では自然に受け入れてくれる。
その自然な振る舞いが、いつしか心地よく感じられるようになった。
そして、日々一緒に過ごしているうちに、私は学園だけでなく、神酒先生自身についても少しずつ知ることになった。
一見すると爽やかで誰からも好かれそうな容姿なのに、どうやら彼は一度も女性と付き合ったことがないらしい。
女姉妹に囲まれて育った結果、ちょっとしたトラウマを背負っている。
そんな話を、秦中先生がこっそり教えてくれたことがある。
その話を聞いてから、私はついつい神酒先生の振る舞いに目がいくようになってしまった。
例えば、女子生徒に話しかけられると、少しぎこちない笑みを浮かべるところ。
廊下ですれ違う女子グループに、さりげなく視線を足元に落としてしまうところ。
その一つ一つが今は妙に目についてしまい、観察ばかりしている自分に、ふと苦笑いを漏らすこともある。
ちなみに、私はと言えば仮面姿。
だからか、神酒先生が私にだけは何も動じず、フラットに接してくれる。
それが、少し嬉しくて、けれど同時に異性として見られてい小さな寂しさを感じる。
本心を仮面で隠したまま、複雑な気持ちを抱えて、今日も私は生徒たちに勉強を教える。
それは、ここ百鬼学園が異世界にあるワケではないこと。
どうやらあのお面の男、学園長の妖力によって本州と学園がある百鬼学園島が廃墟の扉を通して繋がっているらしい。
まさか同じ世界にこんな場所があるとは。
異世界に繋がっている、と言われた方がまだ信じられたかもしれない。
なんて疑っているくせに、今では毎日その扉を利用して家まで帰っている。
最近では図々しくも家の前に繋げてくれないかな、と思うほどに。
ちなみに、大学は単位が足りていたし、講義もそんなに取っていなかったので、もしあったとしても友達に代返をお願いしておいたから、多少サボっても問題ない……はず。
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昼下がりの職員室。
私は机の上に散らかったプリントを片付けながら、次の授業の準備をしていた。
「次、◯◯さんの数学の授業やね」
不意に背後からかけられた声に振り向くと、神酒先生が穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
「あ、はい!」
私は反射的に返事をした。
教員免許もなければ教育学部でもない私は、もちろん人に教えることはできない。
だけど、数学なら公式に当てはめれば解けるから大丈夫だろう、と言う安直な考えで選んだ。
実際、人間の高校と違って妖怪学校の数学はレベルが低く助かっている。
「理系なら僕やなくて秦中先生のクラスの教育実習に付けばいいものを」
と最初は文句を言っていた神酒先生も、今では自然に受け入れてくれる。
その自然な振る舞いが、いつしか心地よく感じられるようになった。
そして、日々一緒に過ごしているうちに、私は学園だけでなく、神酒先生自身についても少しずつ知ることになった。
一見すると爽やかで誰からも好かれそうな容姿なのに、どうやら彼は一度も女性と付き合ったことがないらしい。
女姉妹に囲まれて育った結果、ちょっとしたトラウマを背負っている。
そんな話を、秦中先生がこっそり教えてくれたことがある。
その話を聞いてから、私はついつい神酒先生の振る舞いに目がいくようになってしまった。
例えば、女子生徒に話しかけられると、少しぎこちない笑みを浮かべるところ。
廊下ですれ違う女子グループに、さりげなく視線を足元に落としてしまうところ。
その一つ一つが今は妙に目についてしまい、観察ばかりしている自分に、ふと苦笑いを漏らすこともある。
ちなみに、私はと言えば仮面姿。
だからか、神酒先生が私にだけは何も動じず、フラットに接してくれる。
それが、少し嬉しくて、けれど同時に異性として見られてい小さな寂しさを感じる。
本心を仮面で隠したまま、複雑な気持ちを抱えて、今日も私は生徒たちに勉強を教える。
