嘘つキ
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大学の講義が終わると、私は例の商店街へと向かった。
小学生の頃は遠い場所だと思っていたけれど、行ってみると意外と近い。
あの頃から10年以上は経っているため、記憶の中の商店街より廃れているけれど、雰囲気は変わっていなかった。
「確かこっちだった気が……」
当てにならない記憶を頼りに商店街を突き進む。
「あ……」
確かこの辺りで雨が降ってきて……。
雨宿りが出来そうな建物を探したんだっけ。
それで目についたのが……。
視線を向けると、そこには10年前と変わらぬ佇まいの廃墟。
「ここだ……」
それにしても、無知だったとは言え当時の私はよくこの建物に入ろうと思ったな。
お化けが出てきそうな風貌だ。
相変わらず電気の通っていない建物の中を入っていく。
さすがにどのドアだったかまでは覚えていないため、しらみ潰しに開けた。
「ここでもない……」
1階の部屋は全て空っぽ。
次に2階へと足を踏み入れた。
1階のとき同様、順番に部屋の扉を開けていく。
そしてついに、
「…………っ!」
まるで10年前の記憶が蘇るようだった。
赤を基調とした6階建ての大型建造物。
中庭からは大きな木が吹き抜けに伸びている。
時間的に昔よりも成長はしているだろうけれど、私も大きくなったからか、記憶よりは小さく感じた。
やっぱり神隠しなんかじゃなかった。
にわかに信じがたいけれど、この扉は別の空間に繋がっている。
「あ、そうだ……」
鞄の中には、たまたまヨウコから貰った角の生えた仮面がある。
顔バレ防止を兼ねて被ることにした。
それを着けながら、長く伸びた廊下を歩く。
当時は物珍しくて来た道を覚えるなんて考えが及ばなかったけれど、今の私は違う。
しっかりと入ってきた扉、通った道を覚えながら進む。
それなのに、
「うわっ!」
「おやおや」
昔と同じように誰かとぶつかってしまった。
仮面のせいで視界が狭く、人がいたことに気が付かなかったからだ。
ぶつかった相手とは、例の角の人……?
そう思いながらズレた仮面を直し、相手の顔を拝む。
だけどその相手も、
「お面……?」
能面の翁のお面を着けていた。
顔は分からないけれど、角のような物は生えていない。
普通の人間?
戸惑っていると、彼が覗き込むように尋ねてきた。
「アナタは誰ですか?」
「わ、私は……」
言葉を濁らせていると、追加の質問が飛んできた。
「何年生?制服はどうしました?」
制服があるってことは中学生か高校生と言うことになる。
顔が見えないにしろ、今の私は中学生に見えないはず。
つまりここはどこかの高校の校舎。
「はい……えっと……私、実は今日から教育実習でお世話になる◯◯●●です」
高校の校舎まで推測できたのに、何故か咄嗟にすぐバレそうな嘘を吐いてしまった。
「そんな話聞いてないけどな〜」
それはそうよ。
今考えたことなんだもの。
お面の彼は顎に手を添えて首を傾げた。
「校長先生の伝達ミスですかね?あはは……」
これでなんとかごまかせればいいけど、物事はそう都合よく行かない。
「私、ここの学園長ですけど」
「あっ……」
終わった。
すぐにバレるとは思っていたけれど、こんな形でバレるとは。
焦りと緊張で額から汗が滲み出る。
「ま、面白そうなのでいいでしょう」
「え、いいんですか?!」
「はい。だってアナタ、教育実習生なんでしょ?」
これは潜入出来たと言うことだろうか。
当初の目的は神隠しの真偽を調べるためだったのに。
ひとまず嘘を貫くことにした。
それに、角の彼に会えていないことが心残りだったから。
小学生の頃は遠い場所だと思っていたけれど、行ってみると意外と近い。
あの頃から10年以上は経っているため、記憶の中の商店街より廃れているけれど、雰囲気は変わっていなかった。
「確かこっちだった気が……」
当てにならない記憶を頼りに商店街を突き進む。
「あ……」
確かこの辺りで雨が降ってきて……。
雨宿りが出来そうな建物を探したんだっけ。
それで目についたのが……。
視線を向けると、そこには10年前と変わらぬ佇まいの廃墟。
「ここだ……」
それにしても、無知だったとは言え当時の私はよくこの建物に入ろうと思ったな。
お化けが出てきそうな風貌だ。
相変わらず電気の通っていない建物の中を入っていく。
さすがにどのドアだったかまでは覚えていないため、しらみ潰しに開けた。
「ここでもない……」
1階の部屋は全て空っぽ。
次に2階へと足を踏み入れた。
1階のとき同様、順番に部屋の扉を開けていく。
そしてついに、
「…………っ!」
まるで10年前の記憶が蘇るようだった。
赤を基調とした6階建ての大型建造物。
中庭からは大きな木が吹き抜けに伸びている。
時間的に昔よりも成長はしているだろうけれど、私も大きくなったからか、記憶よりは小さく感じた。
やっぱり神隠しなんかじゃなかった。
にわかに信じがたいけれど、この扉は別の空間に繋がっている。
「あ、そうだ……」
鞄の中には、たまたまヨウコから貰った角の生えた仮面がある。
顔バレ防止を兼ねて被ることにした。
それを着けながら、長く伸びた廊下を歩く。
当時は物珍しくて来た道を覚えるなんて考えが及ばなかったけれど、今の私は違う。
しっかりと入ってきた扉、通った道を覚えながら進む。
それなのに、
「うわっ!」
「おやおや」
昔と同じように誰かとぶつかってしまった。
仮面のせいで視界が狭く、人がいたことに気が付かなかったからだ。
ぶつかった相手とは、例の角の人……?
そう思いながらズレた仮面を直し、相手の顔を拝む。
だけどその相手も、
「お面……?」
能面の翁のお面を着けていた。
顔は分からないけれど、角のような物は生えていない。
普通の人間?
戸惑っていると、彼が覗き込むように尋ねてきた。
「アナタは誰ですか?」
「わ、私は……」
言葉を濁らせていると、追加の質問が飛んできた。
「何年生?制服はどうしました?」
制服があるってことは中学生か高校生と言うことになる。
顔が見えないにしろ、今の私は中学生に見えないはず。
つまりここはどこかの高校の校舎。
「はい……えっと……私、実は今日から教育実習でお世話になる◯◯●●です」
高校の校舎まで推測できたのに、何故か咄嗟にすぐバレそうな嘘を吐いてしまった。
「そんな話聞いてないけどな〜」
それはそうよ。
今考えたことなんだもの。
お面の彼は顎に手を添えて首を傾げた。
「校長先生の伝達ミスですかね?あはは……」
これでなんとかごまかせればいいけど、物事はそう都合よく行かない。
「私、ここの学園長ですけど」
「あっ……」
終わった。
すぐにバレるとは思っていたけれど、こんな形でバレるとは。
焦りと緊張で額から汗が滲み出る。
「ま、面白そうなのでいいでしょう」
「え、いいんですか?!」
「はい。だってアナタ、教育実習生なんでしょ?」
これは潜入出来たと言うことだろうか。
当初の目的は神隠しの真偽を調べるためだったのに。
ひとまず嘘を貫くことにした。
それに、角の彼に会えていないことが心残りだったから。
