頑張り屋な手
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ーーおまけ②(及川side)ーー
教室は騒がしかった。
高校3年生に進級してすぐの、恒例行事となっている栄養指導の時間。
生徒たちの関心は低く、誰もが聞く耳を持たず、私語でざわついている。
かく言う俺も、連日のハードな部活で眠くて仕方ない。
大きなあくびを噛み殺し、重い瞼を擦る。
ぼんやりと視線を向けると、必死に生徒へ語りかける調理員の姿が目に入った。
「五大栄養素と言うのは────」
彼女は新米なのだろうか。
生徒たちの態度がエスカレートし、あからさまにざわつき始めても、注意すらできない。
ただひたすら必死に栄養の重要性を訴えかけている。
「だから、みんな、揚げ物が美味しいからって、食べ過ぎはよくありません!私なんか、食べたくても胃もたれして……。じゃなくて、つまり────」
言葉が空回りし、どもってしまう姿が不憫に思えた。
せめて自分だけは話を聞いてあげよう。
俺は彼女に意識を集中させた。
彼女の手は、真っ赤に荒れていた。
日々の調理で負ったであろうその手は、あかぎれだらけで、カサついているようにも見える。
それでも、熱心に生徒たちへ語りかけるその姿からは、料理と向き合う真摯な姿勢が伝わってきた。
頑張って伝えようとする姿、そして荒れた手。
俺の興味は、栄養指導の内容ではなく、その調理員自身へと移っていった。
そういえば、名前、なんて言ってたっけ……。
最初の自己紹介を聞き逃してしまったことを少しだけ後悔した。
でも、彼女は食堂の調理員らしい。
きっと、また会えるだろう。
教室は騒がしかった。
高校3年生に進級してすぐの、恒例行事となっている栄養指導の時間。
生徒たちの関心は低く、誰もが聞く耳を持たず、私語でざわついている。
かく言う俺も、連日のハードな部活で眠くて仕方ない。
大きなあくびを噛み殺し、重い瞼を擦る。
ぼんやりと視線を向けると、必死に生徒へ語りかける調理員の姿が目に入った。
「五大栄養素と言うのは────」
彼女は新米なのだろうか。
生徒たちの態度がエスカレートし、あからさまにざわつき始めても、注意すらできない。
ただひたすら必死に栄養の重要性を訴えかけている。
「だから、みんな、揚げ物が美味しいからって、食べ過ぎはよくありません!私なんか、食べたくても胃もたれして……。じゃなくて、つまり────」
言葉が空回りし、どもってしまう姿が不憫に思えた。
せめて自分だけは話を聞いてあげよう。
俺は彼女に意識を集中させた。
彼女の手は、真っ赤に荒れていた。
日々の調理で負ったであろうその手は、あかぎれだらけで、カサついているようにも見える。
それでも、熱心に生徒たちへ語りかけるその姿からは、料理と向き合う真摯な姿勢が伝わってきた。
頑張って伝えようとする姿、そして荒れた手。
俺の興味は、栄養指導の内容ではなく、その調理員自身へと移っていった。
そういえば、名前、なんて言ってたっけ……。
最初の自己紹介を聞き逃してしまったことを少しだけ後悔した。
でも、彼女は食堂の調理員らしい。
きっと、また会えるだろう。
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