頑張り屋な手
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徹君からハンドクリームを貰って以降、彼はやたら絡んでくるようになった。
今日も食堂の配膳スペースで、料理の乗ったトレーを挟んで雑談が続く。
「プレゼントしたハンドクリーム使ってる?」
「仕事中は取れちゃうから、今は塗ってない」
「え〜残念!てか、お姉さん聞いてよ〜!昨日部活でさぁ〜」
徹君が身を乗り出しながら、子犬のような目で私を見上げる。
「それは大変だったね」
「まだ何も言っていないんだけど?!」
「ごめん、ごめん」
笑い返すと、徹君が思い切り不満そうな顔をする。
そんなやり取りをしていると、
「おいグズ川、遅えぞ!」
徹君のお世話係らしい背の高い男子が腕を組んで立っていた。
その声は鋭く、怒っていることがうかがえる。
「もー、岩ちゃん!俺今忙しいの!見て分かんない?!」
「はぁ?」
「!?」
そのひと言で、その場の空気が凍る。
さっきまでの調子の良さが嘘のように徹君はしゅんとなり、岩ちゃんと呼ばれたお友達に連行された。
その様子を見ながら、私は早く配膳から次の担当に変わらないかな、と思った。
だけど、少しだけ徹君とのやり取りが楽しいと思ったのも事実。
ーーーー
そんな矢先、日替わりメニューのスープを作る担当になった。
野菜をザクザクと切り、それらを次々と大鍋に入れていく。
そして、仕上げに調味料で味付け。
袋からグラムを量って、静かに大鍋へ入れた。
あらかた出来上がったところで、管理栄養士の今井さんが様子を見に来た。
「◯◯さん、どんな感じ?」
「後少し煮込めば完成です」
「そう……」
私は小皿に少しだけスープを取り分け、今井さんに差し出した。
彼女はそれを一口飲む。
すると、瞬く間にその眉間に深いシワが刻まれ、みるみるうちに険しい顔つきに変わった。
「◯◯さん、何入れたの?」
「え、何って……レシピ通りに……」
声が上ずる。
慌てて調味料を見直すと、先ほど入れた塩だと思っていた袋には、砂糖と書かれていた。
「あ……あ……っっ」
血の気の引く感覚。
「す、すみません!」
深々と頭を下げると、頭上から重たいため息が聞こえてきた。
「代わって」
今井さんは私を押しのけ、手際よく味を直し始めた。
自分の失敗の尻拭いをさせている間、私はただ見ていることしかできない。
それがツラくて、惨めで、涙が出そうになる。
高校生と仲良くなって、浮かれている場合じゃなかったんだ。
今はただ、自分を責めるばかり。
今日も食堂の配膳スペースで、料理の乗ったトレーを挟んで雑談が続く。
「プレゼントしたハンドクリーム使ってる?」
「仕事中は取れちゃうから、今は塗ってない」
「え〜残念!てか、お姉さん聞いてよ〜!昨日部活でさぁ〜」
徹君が身を乗り出しながら、子犬のような目で私を見上げる。
「それは大変だったね」
「まだ何も言っていないんだけど?!」
「ごめん、ごめん」
笑い返すと、徹君が思い切り不満そうな顔をする。
そんなやり取りをしていると、
「おいグズ川、遅えぞ!」
徹君のお世話係らしい背の高い男子が腕を組んで立っていた。
その声は鋭く、怒っていることがうかがえる。
「もー、岩ちゃん!俺今忙しいの!見て分かんない?!」
「はぁ?」
「!?」
そのひと言で、その場の空気が凍る。
さっきまでの調子の良さが嘘のように徹君はしゅんとなり、岩ちゃんと呼ばれたお友達に連行された。
その様子を見ながら、私は早く配膳から次の担当に変わらないかな、と思った。
だけど、少しだけ徹君とのやり取りが楽しいと思ったのも事実。
ーーーー
そんな矢先、日替わりメニューのスープを作る担当になった。
野菜をザクザクと切り、それらを次々と大鍋に入れていく。
そして、仕上げに調味料で味付け。
袋からグラムを量って、静かに大鍋へ入れた。
あらかた出来上がったところで、管理栄養士の今井さんが様子を見に来た。
「◯◯さん、どんな感じ?」
「後少し煮込めば完成です」
「そう……」
私は小皿に少しだけスープを取り分け、今井さんに差し出した。
彼女はそれを一口飲む。
すると、瞬く間にその眉間に深いシワが刻まれ、みるみるうちに険しい顔つきに変わった。
「◯◯さん、何入れたの?」
「え、何って……レシピ通りに……」
声が上ずる。
慌てて調味料を見直すと、先ほど入れた塩だと思っていた袋には、砂糖と書かれていた。
「あ……あ……っっ」
血の気の引く感覚。
「す、すみません!」
深々と頭を下げると、頭上から重たいため息が聞こえてきた。
「代わって」
今井さんは私を押しのけ、手際よく味を直し始めた。
自分の失敗の尻拭いをさせている間、私はただ見ていることしかできない。
それがツラくて、惨めで、涙が出そうになる。
高校生と仲良くなって、浮かれている場合じゃなかったんだ。
今はただ、自分を責めるばかり。
