頑張り屋な手
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仕事が終わり、私は意気揚々と近くの雑貨屋へと向かった。
店内を飾る可愛らしい雑貨たちに、日中の疲れが癒されていくようだ。
お目当ての物を探し、ボディケアコーナーへ足を運ぶ。
そこに並んだハンドクリームのテスターを1つずつ試していった。
爽やかな柑橘系、ほのかに甘いフローラル、優しい石鹸の香り……。
あれこれと匂いを嗅いでいると、不意に、聞き覚えのある声がすぐ側から聞こえてきた。
「あ、食堂のお姉さん!」
「?」
驚いて顔を上げると、そこにいたのは、昼間に目が合ったばかりの爽やかな男子生徒だった。
「き、キミは……」
制服姿のまま。
おそらく学校帰りの寄り道だろう。
そんな彼が私の手元に目をやった。
試したばかりのハンドクリームがまだ手についている。
それを見るや否や、彼の表情がぱっと明るくなった。
「ひょっとして、手紙読んでくれた?」
その言葉が出てくるってことは、あの手紙はやっぱりキミが書いてくれたんだね。
遠目から見たときも思ったけれど、改めて近くで見ると、その端正な顔立ちが際立って見えた。
思わず見入ってしまう。
「手紙、ありがとう。凄く嬉し……」
お礼を言おうと口を開きかけた、その時だった。
少し離れたところにいた同じ制服の女子生徒が、彼の方に駆け寄ってきた。
明るい髪色がふんわりと揺れ、彼の隣に自然に並ぶ姿がお似合いだった。
「徹ー!こんなところにいた……。って誰この人、知り合い?」
「ああ、お姉さんはね──」
彼は私の紹介をしようとしたけれど、それを阻止するように、私は言葉を遮った。
「私、もう行くから!」
楽しそうに話している2人の中に自分がいることが場違いに感じて、いたたまれなくなったから。
そうだよね、こんな格好良い彼なら、彼女の1人や2人いるに決まってる。
そもそも、手紙だって私だけじゃなく、他の調理員への感謝も書いてあったじゃないか。
勝手に勘違いする前でよかった。
慌てるように店を飛び出したせいで、結局ハンドクリームは買えなかった。
学校を出たときは軽く弾んでいた心が、今は鉛でも付けているかのように重い。
私の手には、甘い香りだけが虚しく残っていた。
店内を飾る可愛らしい雑貨たちに、日中の疲れが癒されていくようだ。
お目当ての物を探し、ボディケアコーナーへ足を運ぶ。
そこに並んだハンドクリームのテスターを1つずつ試していった。
爽やかな柑橘系、ほのかに甘いフローラル、優しい石鹸の香り……。
あれこれと匂いを嗅いでいると、不意に、聞き覚えのある声がすぐ側から聞こえてきた。
「あ、食堂のお姉さん!」
「?」
驚いて顔を上げると、そこにいたのは、昼間に目が合ったばかりの爽やかな男子生徒だった。
「き、キミは……」
制服姿のまま。
おそらく学校帰りの寄り道だろう。
そんな彼が私の手元に目をやった。
試したばかりのハンドクリームがまだ手についている。
それを見るや否や、彼の表情がぱっと明るくなった。
「ひょっとして、手紙読んでくれた?」
その言葉が出てくるってことは、あの手紙はやっぱりキミが書いてくれたんだね。
遠目から見たときも思ったけれど、改めて近くで見ると、その端正な顔立ちが際立って見えた。
思わず見入ってしまう。
「手紙、ありがとう。凄く嬉し……」
お礼を言おうと口を開きかけた、その時だった。
少し離れたところにいた同じ制服の女子生徒が、彼の方に駆け寄ってきた。
明るい髪色がふんわりと揺れ、彼の隣に自然に並ぶ姿がお似合いだった。
「徹ー!こんなところにいた……。って誰この人、知り合い?」
「ああ、お姉さんはね──」
彼は私の紹介をしようとしたけれど、それを阻止するように、私は言葉を遮った。
「私、もう行くから!」
楽しそうに話している2人の中に自分がいることが場違いに感じて、いたたまれなくなったから。
そうだよね、こんな格好良い彼なら、彼女の1人や2人いるに決まってる。
そもそも、手紙だって私だけじゃなく、他の調理員への感謝も書いてあったじゃないか。
勝手に勘違いする前でよかった。
慌てるように店を飛び出したせいで、結局ハンドクリームは買えなかった。
学校を出たときは軽く弾んでいた心が、今は鉛でも付けているかのように重い。
私の手には、甘い香りだけが虚しく残っていた。
