キミを見つける桜
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全てのテストを返却された翌日、とうとう学校を休んでしまった。
これ以上休むと単位が足りなくて留年するって言われているのに。
通常の補習に加えて、実力テストの赤点補習も控えているのに。
昨日のことが頭にこびりついて離れない。
赤点の答案用紙。
それに加え、文化祭に参加できない疎外感。
もう、なにもかも嫌だ……。
朝になっても体が重くて、布団から抜け出せなかった。
お母さんは私が起きてこないことに気が付いて、何度か部屋をそっと覗いてきた。
だけど、不登校になったとき同様、何も言わず心配そうな顔をしているだけ。
友達からの連絡もない。
私のスマホはベッド脇で静かに黙ったまま。
「……もう少しだけ寝よう」
嫌なことを振り払うように、枕に顔を埋めた。
そして、そのまま深い眠りに着く。
……。
…………。
次に目が覚めると、日差しは部屋のカーテン越しに淡く伸びていた。
ふと、スマホが光っていることに気が付いた。
だけど、どうせ、広告か何かだろう。
重い頭で何気なくホーム画面を開いたそのとき、送信者の名前に目がとまった。
「及川君……?!」
慌ててメッセージを開く。
“大丈夫?休んだ分の授業ノートなら、俺が代わりにとっておくから、ゆっくり治してね”
私はズル休みなのに……。
体調が悪いわけでもないのに……。
どうして、そんなに優しいのよ。
だけど、今はその優しさが私を苦しめる。
私は静かにスマホの電源を切った。
ーーーー
翌朝、いつもの癖で早起きをした。
ぼんやりとした頭のまま制服に着替える。
リビングへ降りると、お母さんが心配そうに見ていた。
それでも、私を責めたり問いただしたりせず、いつもと変わらない朝食を用意してくれて、穏やかな声で送り出してくれる。
「いってらっしゃい」
「うん……いってきます」
家を出て、学校へと続く道を歩く。
ランドセルやカバンを背負った子供たちとちらほらすれ違う。
だけど、学校が近付くほど、心臓はどんどん重くなり、ついには正門のすぐ手前まで来たところで、私の足はぴたりと止まった。
やっぱり、行けない……。
何もしていないのに息が苦しくて、怖くて、どうしてもこの先へ進めなかった。
不登校になったときと同じ感覚。
気が付いたときには、来た道を戻っていた。
だけど、このまま家に帰るワケにもいかない。
せめて時間を潰そうと、近くの公園まで足を運ぶ。
この時間の公園には誰もいない。
ベンチに座って、じっと雲が流れていくのを眺めた。
公園を囲うように植わっている木々は、そよ風に揺られ、小鳥のさえずりや、遠くから聞こえる車の音が、妙に鮮やかに耳に残る。
こんなことをしていて、いったい私は何をしているんだろう……。
罪悪感と焦りが膨らんでいくけど、それでも学校には戻れなかった。
……。
…………。
夕方になり、空がオレンジ色に染まる頃、ようやく家へ帰る。
玄関の扉を開けると、お母さんが出迎えてれた。
もしかしたら、学校を休んだ連絡が来たのかもしれない。
それなのにお母さんは、ただ、
「おかえり」
と優しい声を掛けてくれる。
それに心を痛め、私は素っ気なく返事をし、自分の部屋にこもった。
こんな日を、何日も、何日も繰り返した。
朝、学校へ行くフリをして公園で過ごす。
もう後戻りできない。
留年確定。
退学も視野に入れる。
お母さん、ごめんなさい。
先生、ごめんなさい。
そして、及川君……ごめんなさい。
これ以上休むと単位が足りなくて留年するって言われているのに。
通常の補習に加えて、実力テストの赤点補習も控えているのに。
昨日のことが頭にこびりついて離れない。
赤点の答案用紙。
それに加え、文化祭に参加できない疎外感。
もう、なにもかも嫌だ……。
朝になっても体が重くて、布団から抜け出せなかった。
お母さんは私が起きてこないことに気が付いて、何度か部屋をそっと覗いてきた。
だけど、不登校になったとき同様、何も言わず心配そうな顔をしているだけ。
友達からの連絡もない。
私のスマホはベッド脇で静かに黙ったまま。
「……もう少しだけ寝よう」
嫌なことを振り払うように、枕に顔を埋めた。
そして、そのまま深い眠りに着く。
……。
…………。
次に目が覚めると、日差しは部屋のカーテン越しに淡く伸びていた。
ふと、スマホが光っていることに気が付いた。
だけど、どうせ、広告か何かだろう。
重い頭で何気なくホーム画面を開いたそのとき、送信者の名前に目がとまった。
「及川君……?!」
慌ててメッセージを開く。
“大丈夫?休んだ分の授業ノートなら、俺が代わりにとっておくから、ゆっくり治してね”
私はズル休みなのに……。
体調が悪いわけでもないのに……。
どうして、そんなに優しいのよ。
だけど、今はその優しさが私を苦しめる。
私は静かにスマホの電源を切った。
ーーーー
翌朝、いつもの癖で早起きをした。
ぼんやりとした頭のまま制服に着替える。
リビングへ降りると、お母さんが心配そうに見ていた。
それでも、私を責めたり問いただしたりせず、いつもと変わらない朝食を用意してくれて、穏やかな声で送り出してくれる。
「いってらっしゃい」
「うん……いってきます」
家を出て、学校へと続く道を歩く。
ランドセルやカバンを背負った子供たちとちらほらすれ違う。
だけど、学校が近付くほど、心臓はどんどん重くなり、ついには正門のすぐ手前まで来たところで、私の足はぴたりと止まった。
やっぱり、行けない……。
何もしていないのに息が苦しくて、怖くて、どうしてもこの先へ進めなかった。
不登校になったときと同じ感覚。
気が付いたときには、来た道を戻っていた。
だけど、このまま家に帰るワケにもいかない。
せめて時間を潰そうと、近くの公園まで足を運ぶ。
この時間の公園には誰もいない。
ベンチに座って、じっと雲が流れていくのを眺めた。
公園を囲うように植わっている木々は、そよ風に揺られ、小鳥のさえずりや、遠くから聞こえる車の音が、妙に鮮やかに耳に残る。
こんなことをしていて、いったい私は何をしているんだろう……。
罪悪感と焦りが膨らんでいくけど、それでも学校には戻れなかった。
……。
…………。
夕方になり、空がオレンジ色に染まる頃、ようやく家へ帰る。
玄関の扉を開けると、お母さんが出迎えてれた。
もしかしたら、学校を休んだ連絡が来たのかもしれない。
それなのにお母さんは、ただ、
「おかえり」
と優しい声を掛けてくれる。
それに心を痛め、私は素っ気なく返事をし、自分の部屋にこもった。
こんな日を、何日も、何日も繰り返した。
朝、学校へ行くフリをして公園で過ごす。
もう後戻りできない。
留年確定。
退学も視野に入れる。
お母さん、ごめんなさい。
先生、ごめんなさい。
そして、及川君……ごめんなさい。
