嫉妬してほしかっただけなのに
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〜嫉妬してほしかっただけなのに〜
金曜日の夜。
塾が終わり、帰り支度をしているときのこと。
「◯◯さん!」
「?」
振り向くと竹内君がいた。
「あの、僕……◯◯さんのことが好きです」
「!?」
生まれて初めて告白をされた。
教室にはチラホラとまだ生徒が残っているのに、周りの目などはばからず。
真面目で大人しそうな人だったから、大胆な行動に驚きが隠せない。
勇気を出してくれたのは嬉しい。
「でも私……」
「彼氏がいるのは知っている。だから返事はいらない……ただ、僕の気持ちを知ってほしくて」
「そっか、分かった」
私はホッと胸を撫で下ろした。
そう、私には付き合って1年になる彼氏の及川徹がいる。
高校1年生で同じクラスになり一目惚れ。
それから猛アタックをして、私から告白をして付き合うことになった。
だから、告白されても彼の気持ちには応えることができなかったから、正直助かった。
「だけど、連絡だけは今まで通りしてもいい?ほら、業務連絡とか授業で聞きたいことがあるかもしれないし」
告白してきた人と連絡を取り続けていいものなのか。
でも……。
「うん、連絡くらいなら大丈夫」
「本当に?!ありがとう」
断ろうと思えばできた。
でも、それをしなかったのは期待しちゃったから。
徹が嫉妬してくれるかもしれないって。
ーーーー
徹は私が一目惚れするだけあって、容姿が本当にいい。
もちろん、最初は見た目から入ったけれど、中身を知っていく内にもっと惹かれた。
気さくで、優しくて、部活も一生懸命。
だから、そんな彼には男女関係なく友達が多くて、いつも誰かに囲まれている中心的人物。
そのため、学校で見かける度に異性との距離が近くてモヤモヤしてしまうし、遊びに行く約束をしようものなら嫉妬が抑えられない。
その事を伝えても、
「だーかーらー、中学の同級生だって。●●ちゃん以外女の子として見ていないから」
「そう言う問題じゃなくて」
部活だけのメンバーで遊びたい気持ちも、中学の同級生だけで集まりたい気持ちも分かる。
だけど、その中に私は含まれない。
だからこそ不安に思うわけで。
相手はどう思っているか分からないじゃんって話なのに。
「なんだ、嫉妬か~?可愛いやつめ!」
なんて、いつも頭をうりうりされてはぐらかされる。
束縛はしたくないけれど、見過ごすこともできずに喧嘩になることも多々。
だから、こんなことを言ってもなんとも思わないかもしれないけれど、ちょっとくらい意地悪してもいいよね。
私は徹とのトークアプリを開いて、メッセージを送った。
“今日、告白されたんだ”
んー、これだけだと言葉足らずかも。
“彼氏持ちなのは知っていたから、気持ちだけ伝えたかったみたい”
うん、これでよし。
塾から帰宅した後、スマホを確認すると返事が返ってきていた。
“そうなんだ”
の一言。
たったこれだけ?
この程度じゃ嫉妬してくれないの?
少しショックを受けていると、追加でメッセージが送られてきた。
“日曜日のデート、土曜日に変更しない?”
部活の時間でも変わったのかな?
私の方は予定もないし、二つ返事をした。
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