振り回すのはどっち
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接戦を制した青葉城西は対戦校と観客に向かってお辞儀をした後に、控え席へと戻ってきた。
ファンの女の子たちがキャーキャーと徹たちを囲う。
「及川さん!お疲れ様でした!格好良かったです」
「殺人サーブがキレキレでしたね!」
「素敵すぎて痺れちゃいました」
徹に近付けない。
声をかけたかったけど、やっぱり止めようかな。
いや、ファンの子たちに圧倒されるな。
徹を信じるって決めたんでしょ。
女の子たちを掻き分けるようにして徹の目の前を陣取った。
「徹!」
何あのおばさん、とヒソヒソ声が聞こえてきても凄むな。
「●●ちゃん…………ちょっと皆ごめんね~」
私の肩を抱いた徹はそのまま回りにいた子たちに謝って、場所を移動した。
「ここならいいかな~」
そう言ってエントランスまで連れてこられた。
バラバラと横を通る人はいても、誰も私たちのことは気にしていないだろう。
「●●ちゃん応援に来てくれてたんだね。ありがとう」
私の方へ向き直して言う徹。
試合直後で疲れているはずなのに、なんでこんなにも爽やかに感じるのだろう。
………じゃなくて、ひとまず労いの言葉を。
「お疲れ様。準決勝進出おめでとう」
「うん」
「それと、私、徹に伝えたいことがあるの」
今、心臓が凄くドキドキしてる。
この正体が何なのか、思いを伝えたら分かるはず。
「あのね、徹。うまく話せないかもしれないんだけど……徹が以前私に言った“気付いたら好きになっていた”って気持ち、今なら分かる気がするの」
「●●ちゃん……」
「だって、ちゃんとした理由を言い表せないけど、私も徹のことが好きになっちゃったから……」
「はぁ〜」
一世一代の告白に大きなため息を吐いてしゃがみ込む徹。
私も合わせてしゃがみ込み、顔を伺う様に名前を呼んだ。
「徹?」
「何で先に言っちゃうかな」
「え?」
「試合で格好良い姿を見せて、惚れさせてから告白しようと思っていたのに」
「ごめん」
「うーん」
拗ねたような声を出す徹。可愛い。
「どうしたら機嫌直る?」
その可愛い表情をもっと近くで見たくて更に顔を近づけると、
チュッ
「えっ……」
今、キスした?
「機嫌直った」
呆気にとられている私を笑うように、徹は立ち上がった。
「さーて、ミーティングサボっちゃったから、そろそろ戻らないと」
「………」
「また後でちゃんとしたのをするから」
そう言って徹はチームメイトの元へと戻って行った。
徹は高校生、徹は高校生。
振り回されてはダメ。
また後があるなら、今度は私が振り回してやろう。
だけど、赤くなった顔が元に戻るまで、しばらく動けないでいた。
ーーFinーー
ファンの女の子たちがキャーキャーと徹たちを囲う。
「及川さん!お疲れ様でした!格好良かったです」
「殺人サーブがキレキレでしたね!」
「素敵すぎて痺れちゃいました」
徹に近付けない。
声をかけたかったけど、やっぱり止めようかな。
いや、ファンの子たちに圧倒されるな。
徹を信じるって決めたんでしょ。
女の子たちを掻き分けるようにして徹の目の前を陣取った。
「徹!」
何あのおばさん、とヒソヒソ声が聞こえてきても凄むな。
「●●ちゃん…………ちょっと皆ごめんね~」
私の肩を抱いた徹はそのまま回りにいた子たちに謝って、場所を移動した。
「ここならいいかな~」
そう言ってエントランスまで連れてこられた。
バラバラと横を通る人はいても、誰も私たちのことは気にしていないだろう。
「●●ちゃん応援に来てくれてたんだね。ありがとう」
私の方へ向き直して言う徹。
試合直後で疲れているはずなのに、なんでこんなにも爽やかに感じるのだろう。
………じゃなくて、ひとまず労いの言葉を。
「お疲れ様。準決勝進出おめでとう」
「うん」
「それと、私、徹に伝えたいことがあるの」
今、心臓が凄くドキドキしてる。
この正体が何なのか、思いを伝えたら分かるはず。
「あのね、徹。うまく話せないかもしれないんだけど……徹が以前私に言った“気付いたら好きになっていた”って気持ち、今なら分かる気がするの」
「●●ちゃん……」
「だって、ちゃんとした理由を言い表せないけど、私も徹のことが好きになっちゃったから……」
「はぁ〜」
一世一代の告白に大きなため息を吐いてしゃがみ込む徹。
私も合わせてしゃがみ込み、顔を伺う様に名前を呼んだ。
「徹?」
「何で先に言っちゃうかな」
「え?」
「試合で格好良い姿を見せて、惚れさせてから告白しようと思っていたのに」
「ごめん」
「うーん」
拗ねたような声を出す徹。可愛い。
「どうしたら機嫌直る?」
その可愛い表情をもっと近くで見たくて更に顔を近づけると、
チュッ
「えっ……」
今、キスした?
「機嫌直った」
呆気にとられている私を笑うように、徹は立ち上がった。
「さーて、ミーティングサボっちゃったから、そろそろ戻らないと」
「………」
「また後でちゃんとしたのをするから」
そう言って徹はチームメイトの元へと戻って行った。
徹は高校生、徹は高校生。
振り回されてはダメ。
また後があるなら、今度は私が振り回してやろう。
だけど、赤くなった顔が元に戻るまで、しばらく動けないでいた。
ーーFinーー