1/3の本音
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放課後。
はじめ君と一緒に途中まで部室へ向かっていると、遠くの方から騒がしい声が近付いてきた。
「待ってー!俺も一緒に行くー!」
徹が大型犬のように駆け寄ってくる。
隣に目をやると、はじめ君はやれやれと首を振っていた。
いつも通りの光景。
それなのに、私の視線はある一点に釘付けになった。
徹のスポーツバッグ。
そのジッパーの端で、見慣れないバレーボールを模したキーホルダーが輝いている。
あんなの、昨日まではしてなかった……。
きっと、彼女がプレゼントしたのだろう。
「……そのキーホルダー、可愛いね」
気付けば、心にもない言葉が口をついて出ていた。
「え、気付いた!?さすが●●ちゃん!今日、彼女がプレゼントしてくれたんだよねー!」
嬉々として語る徹の言葉が、鋭くナイフの様に胸に突き刺さる。
隣ではじめ君が、私の顔を盗み見るような気配がした。
「おい、及川。部活行くぞ」
はじめ君が、重く低い声で徹の言葉を遮った。
「えー!そんなに慌てなくてもいいじゃん!岩ちゃんはせっかちさんなんだからー!」
「……行くぞ」
再度、はじめ君が徹に睨みをきかせる。
それは、徹の浮かれっぷりを咎めるためか、あるいは私の崩れそうな表情をこれ以上晒させないためか。
「はいはい、分かりましたよー。●●ちゃんも部活頑張ってね!」
拗ねたように唇を尖らせながらも、徹はひらひらと手を振り、はじめ君に背中を押されるようにして走り去っていった。
遠ざかる背中。
軽やかな足取りに合わせて、鞄のキーホルダーがゆらゆらと楽しげに揺れている。
その後ろ姿を見送りながら、私は立ち尽くしたまま、動けなかった。
「……バカみたい」
独り言が、冷たい廊下に消える。
もし、私が彼女だったら。
あのキーホルダーをプレゼントしたのが、私だったら。
そんな妄想をするだけで、苦しくて、情けなくて、泣きたくなる。
いつまでも、幼馴染という安全地帯に引きこもって、傷付くことから逃げている臆病者のクセに……。
この立場を選択したのは自分のクセに……。
明日になれば、また幼馴染としての笑顔を作らなければならない。
徹の恋バナに相槌を打って、幸せを願うフリをして……。
私の本音は、まだしばらく、言えそうになかった。
はじめ君と一緒に途中まで部室へ向かっていると、遠くの方から騒がしい声が近付いてきた。
「待ってー!俺も一緒に行くー!」
徹が大型犬のように駆け寄ってくる。
隣に目をやると、はじめ君はやれやれと首を振っていた。
いつも通りの光景。
それなのに、私の視線はある一点に釘付けになった。
徹のスポーツバッグ。
そのジッパーの端で、見慣れないバレーボールを模したキーホルダーが輝いている。
あんなの、昨日まではしてなかった……。
きっと、彼女がプレゼントしたのだろう。
「……そのキーホルダー、可愛いね」
気付けば、心にもない言葉が口をついて出ていた。
「え、気付いた!?さすが●●ちゃん!今日、彼女がプレゼントしてくれたんだよねー!」
嬉々として語る徹の言葉が、鋭くナイフの様に胸に突き刺さる。
隣ではじめ君が、私の顔を盗み見るような気配がした。
「おい、及川。部活行くぞ」
はじめ君が、重く低い声で徹の言葉を遮った。
「えー!そんなに慌てなくてもいいじゃん!岩ちゃんはせっかちさんなんだからー!」
「……行くぞ」
再度、はじめ君が徹に睨みをきかせる。
それは、徹の浮かれっぷりを咎めるためか、あるいは私の崩れそうな表情をこれ以上晒させないためか。
「はいはい、分かりましたよー。●●ちゃんも部活頑張ってね!」
拗ねたように唇を尖らせながらも、徹はひらひらと手を振り、はじめ君に背中を押されるようにして走り去っていった。
遠ざかる背中。
軽やかな足取りに合わせて、鞄のキーホルダーがゆらゆらと楽しげに揺れている。
その後ろ姿を見送りながら、私は立ち尽くしたまま、動けなかった。
「……バカみたい」
独り言が、冷たい廊下に消える。
もし、私が彼女だったら。
あのキーホルダーをプレゼントしたのが、私だったら。
そんな妄想をするだけで、苦しくて、情けなくて、泣きたくなる。
いつまでも、幼馴染という安全地帯に引きこもって、傷付くことから逃げている臆病者のクセに……。
この立場を選択したのは自分のクセに……。
明日になれば、また幼馴染としての笑顔を作らなければならない。
徹の恋バナに相槌を打って、幸せを願うフリをして……。
私の本音は、まだしばらく、言えそうになかった。
