振り回すのはどっち
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜振り回すのはどっち〜
仕事終わりに職場の同期であるマユリと居酒屋で飲むことになった。
聞いてほしい話があるんだとか。
「それでねー!」
「うんうん」
マユリの恋愛の愚痴を延々と聞かされ、私は疲れるくらい首を縦に振り続けた。
彼氏のあそこが嫌いだ、だとか、ここが許せないだとか。
だけど最終的にそれでも好きだ、と。
本当に恋愛って大変だと思う。
「そろそろお酒控えた方がいいんじゃない?水頼む?」
いくら明日が休みとは言え、明らかに飲み過ぎだ。
「ほら、タクシー呼んだから」
「まだ飲み足りないのに……」
ちぇっといじけるマユリの腕を引き会計を済ませ、外でタクシーが来るのを待った。
待っているとき、同じくタクシー乗り場で待っている一人の男性が、やたらこちらを見ている気がしてならない。
学校のジャージを着ている男性。
学生の知り合いなんて知らないぞ。
私は極力男性を意識しないようにした。
やがて、到着したタクシーにベロベロに酔っ払ったマユリを押し込み、運転手さんに住所を伝えた後に扉を閉めた。
走り出したタクシーを見送り、私のミッションは遂行された。
それにしても、マユリの話を聞くので一生懸命になって、あまりご飯を食べられなかった。
今からでも一人でどこかお店に入ろうかな。
そう思っていると、
「……◯◯●●さん?」
「はい?」
先程のタクシー乗り場でこちらを見ていた男性が話しかけてきた。
どうして私の名前……?
「ずっと会いたかった!」
「んん゛?!」
知らない男性にぎゅっと抱きつかれて戸惑いが隠せない。
それにしても良い匂い…………じゃなくて、
「人違いでは?!」
私は慌てて抱きついてきた男性をベリっと剥がした。
「覚えていないの?俺だよ、徹」
「と、おる……?」
「ほら、●●ちゃんの家の近所に住んでいた、及川徹」
言われてみれば面影がある………かも?!
「本当に徹なの?!」
「思い出してくれた?」
積もる話もあるだろうし、私は徹と近くの飲食店で話すことにした。
1/10ページ