好きな人ほどいじめたい
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「おい、ヤバいぞ!警察がもう囲んでやがる!」
外の騒がしさに、強盗たちが動揺し始めた。
パトカーのサイレン、拡声器の声。
そして……。
「スマーッシュ!!」
鼓膜を突き破らんばかりの衝撃音と共に、銀行の壁が土煙を上げて崩れ落ちた。
「なんだ!?」
「ガキが……ガキが突っ込んできやがった!」
土煙の中から現れたのは、緑色のコスチュームを纏い、全身に稲妻のような光を纏わせたヒーローだった。
「……出久、君……」
私の声は店内の騒音に消える。
だけど、彼は一瞬で私を見つけ出した。
「●●ちゃん……!?」
その瞳が大きく見開かれる。
出久君は、迷わず強盗たちへと飛び出した。
以前の彼からは想像もできないほどの超スピード。
敵の攻撃個性を軽々と避け、壁を破壊したのと同じ凄まじい技を叩き込む。
だけど、彼が派手に動き回れば、強盗もエスカレートしていく。
「きゃっ」
私の髪を掴んでいた強盗によって、乱暴に引き寄せられた。
冷たい銃口が、私のこめかみに突きつけられる。
「おいガキ!こっちには人質がいるんだ!大人しくしやがれ!見せしめにコイツから殺ってやろうか!」
「ひっ……!」
出久君の動きがピタリと止まった。
さっきまでの圧倒的な強さが嘘のように、彼の肩が小さく震え始める。
「●●ちゃん……」
「ほぉー、この嬢ちゃん、お前の知り合いか。好都合だ」
強盗が私の耳元で汚い息を吐く。
出久君の顔から、みるみるうちに血の気が引いていくのが分かった。
「彼女だけは……彼女だけは、放してくれ……!」
その悲痛な叫びに、私の心は歪んだ歓喜に震えた。
アナタは、みんなのヒーローになろうとしている。
それなのに、たった1人の幼馴染のために、その正義が揺らいでいる。
その事実が、私の口角をさらに吊り上げさせる。
それを必死に堪えていると、壁の向こうから、彼のクラスメイトらしき生徒たちが雪崩れ込んできた。
「デク!」
「……来ないで!」
出久君が、仲間を制止するように叫ぶ。
その声は、泣き出しそうだったあの頃と、何も変わっていなかった。
「おっと、ソイツの言うとおりにした方がいいぞ。じゃなきゃ、うっかりこの子の顔をぐちゃぐちゃにしちまいそうだ」
強盗の手が、私の顔の形が変わりそうな力で顎を掴む。
痛い。
苦しい。
死ぬかもしれない。
それなのに、目の前で私を失う恐怖に絶望している出久君を見ていると、喜びが隠せない。
もっと、その顔を見たい。
ずっと、その顔を見ていたい。
そのためには、私の顎を掴んでいるコイツが邪魔だ。
個性を使ってみるか……。
私はそっと、自分を掴む強盗の手に、縛られたままの指先を触れさせた。
だけど、この個性を出久君以外に使うのは初めてだ。
何が起こるか分からない。
躊躇していると、出久君が1歩前へ出た。。
「彼女を離してください。彼女は……彼女は僕の好きな人なんです!」
張り詰めた空気の中、突然の告白に、頭が一瞬で白く染まる。
「自分も個性がないのに、個性が現れるのが遅かった僕をずっと励ましてくれて……実の親にさえヒーローを諦めろと言われた僕を、ずっと隣で支えてくれた。……僕にとって、代わりのいない大切な人なんです!」
震えながら叫ぶ真っ直ぐな言葉が、私の醜い心に突き刺さる。
「はっ、お熱い話なこった。だがな、世の中個性が全てだ。個性のねえ嬢ちゃんなんて、ただのゴミ同然なんだよ!」
鼻で嘲笑い、強盗が私の髪をさらに強く引き上げた。
激痛と共に、怒りが込み上がってくる。
私が、ゴミ……?
何も知らないクセに、好き勝手言って……。
さっきまでの躊躇いは、もうない。
私は、自分を拘束する強盗の手首に力を込めた。
堕ちて、堕ちて、どこまでも堕ちればいい……。
「……は……?……いや、待てよ。……ゴミは、俺の方か……?」
突然、強盗の力が抜けた。
私の個性に当てられた男は、膝から崩れ落ち、虚空を見つめて震え出す。
「強盗なんてして……ごめんなさい……。自慢の息子だって言ってくれた親に、俺、なんて顔をすれば……っ」
出久君はその隙を見逃さなかった。
瞬時に距離を詰め、戸惑いながらも鮮やかな手際で犯人を取り押さえる。
やがてプロヒーローたちが雪崩れ込み、事件はあっけなく幕を閉じた。
外の騒がしさに、強盗たちが動揺し始めた。
パトカーのサイレン、拡声器の声。
そして……。
「スマーッシュ!!」
鼓膜を突き破らんばかりの衝撃音と共に、銀行の壁が土煙を上げて崩れ落ちた。
「なんだ!?」
「ガキが……ガキが突っ込んできやがった!」
土煙の中から現れたのは、緑色のコスチュームを纏い、全身に稲妻のような光を纏わせたヒーローだった。
「……出久、君……」
私の声は店内の騒音に消える。
だけど、彼は一瞬で私を見つけ出した。
「●●ちゃん……!?」
その瞳が大きく見開かれる。
出久君は、迷わず強盗たちへと飛び出した。
以前の彼からは想像もできないほどの超スピード。
敵の攻撃個性を軽々と避け、壁を破壊したのと同じ凄まじい技を叩き込む。
だけど、彼が派手に動き回れば、強盗もエスカレートしていく。
「きゃっ」
私の髪を掴んでいた強盗によって、乱暴に引き寄せられた。
冷たい銃口が、私のこめかみに突きつけられる。
「おいガキ!こっちには人質がいるんだ!大人しくしやがれ!見せしめにコイツから殺ってやろうか!」
「ひっ……!」
出久君の動きがピタリと止まった。
さっきまでの圧倒的な強さが嘘のように、彼の肩が小さく震え始める。
「●●ちゃん……」
「ほぉー、この嬢ちゃん、お前の知り合いか。好都合だ」
強盗が私の耳元で汚い息を吐く。
出久君の顔から、みるみるうちに血の気が引いていくのが分かった。
「彼女だけは……彼女だけは、放してくれ……!」
その悲痛な叫びに、私の心は歪んだ歓喜に震えた。
アナタは、みんなのヒーローになろうとしている。
それなのに、たった1人の幼馴染のために、その正義が揺らいでいる。
その事実が、私の口角をさらに吊り上げさせる。
それを必死に堪えていると、壁の向こうから、彼のクラスメイトらしき生徒たちが雪崩れ込んできた。
「デク!」
「……来ないで!」
出久君が、仲間を制止するように叫ぶ。
その声は、泣き出しそうだったあの頃と、何も変わっていなかった。
「おっと、ソイツの言うとおりにした方がいいぞ。じゃなきゃ、うっかりこの子の顔をぐちゃぐちゃにしちまいそうだ」
強盗の手が、私の顔の形が変わりそうな力で顎を掴む。
痛い。
苦しい。
死ぬかもしれない。
それなのに、目の前で私を失う恐怖に絶望している出久君を見ていると、喜びが隠せない。
もっと、その顔を見たい。
ずっと、その顔を見ていたい。
そのためには、私の顎を掴んでいるコイツが邪魔だ。
個性を使ってみるか……。
私はそっと、自分を掴む強盗の手に、縛られたままの指先を触れさせた。
だけど、この個性を出久君以外に使うのは初めてだ。
何が起こるか分からない。
躊躇していると、出久君が1歩前へ出た。。
「彼女を離してください。彼女は……彼女は僕の好きな人なんです!」
張り詰めた空気の中、突然の告白に、頭が一瞬で白く染まる。
「自分も個性がないのに、個性が現れるのが遅かった僕をずっと励ましてくれて……実の親にさえヒーローを諦めろと言われた僕を、ずっと隣で支えてくれた。……僕にとって、代わりのいない大切な人なんです!」
震えながら叫ぶ真っ直ぐな言葉が、私の醜い心に突き刺さる。
「はっ、お熱い話なこった。だがな、世の中個性が全てだ。個性のねえ嬢ちゃんなんて、ただのゴミ同然なんだよ!」
鼻で嘲笑い、強盗が私の髪をさらに強く引き上げた。
激痛と共に、怒りが込み上がってくる。
私が、ゴミ……?
何も知らないクセに、好き勝手言って……。
さっきまでの躊躇いは、もうない。
私は、自分を拘束する強盗の手首に力を込めた。
堕ちて、堕ちて、どこまでも堕ちればいい……。
「……は……?……いや、待てよ。……ゴミは、俺の方か……?」
突然、強盗の力が抜けた。
私の個性に当てられた男は、膝から崩れ落ち、虚空を見つめて震え出す。
「強盗なんてして……ごめんなさい……。自慢の息子だって言ってくれた親に、俺、なんて顔をすれば……っ」
出久君はその隙を見逃さなかった。
瞬時に距離を詰め、戸惑いながらも鮮やかな手際で犯人を取り押さえる。
やがてプロヒーローたちが雪崩れ込み、事件はあっけなく幕を閉じた。
