好きな人ほどいじめたい
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個性を使おうか悩んでいると、
「彼女を離してください。彼女は…………僕の好きな人なんです」
「えっ…─」
突然の出久君の告白に目を丸くする私。
「自分も個性がないのに、個性が現れるのが遅かった僕をずっと励ましてくれて、実の親にもヒーローを諦めろと言われた僕をずっと応援してくれた、大切な人なんです!」
「はっ、お熱い話なこった。だがな、世の中個性が全て。個性のない嬢ちゃんはゴミ同然!」
鼻で嘲笑う強盗犯に段々と腹が立ってきた。
さっきから人のことを個性がないだの、ゴミだの好き勝手言ってくれて。
先ほどまで躊躇していたのが嘘のように、私は個性を発動させた。
ネガティブになれ……。
「…………いや、ゴミは俺の方か。強盗なんてしてごめんなさい。人より優れた個性を持ったと自慢してくれた親に会わせる顔がない……」
出久君は急に膝を崩した強盗に戸惑いながらも、怯んだ隙を見逃さず、素早く強盗を取り押さえた。
そうこうしている内にプロヒーローが続々と集まり、他の強盗もあっという間に拘束され、事件は収束した。
私たちは事情聴取があるから、としばらくは帰れなさそう。
順番が来るのを待っていると出久君が話しかけてきた。
「●●ちゃん、犯人の様子が急におかしくなったのって」
やっぱりバレちゃうよね。
「うん、私の個性」
「そうなんだ!●●ちゃんにも個性が現れたんだ!よかった!」
「もう現れてから10年は経つよ」
「えっ……」
もう言ってしまおうかな。
このおめでたい頭の彼に、私がしてきたことを。
「私の個性、触れている相手をネガティブにするの。昔、手を握って出久君を励ましてたことあったよね?元はと言えば私が出久君をネガティブにしていたの」
「●●ちゃん…」
「それなのに、励ましてくれてありがとうって感謝してきて。可笑しかった」
「本心じゃなかったの?」
「本心だったよ。落ち込む姿も見たかったし、心も折りたかった。私の言葉に一喜一憂している出久君を見たかった」
出久君はじっと私の話を聞いている。
「だけど、他の女の子のことで落ち込んでいる出久は見てて面白くなかった」
「それってつまり……好きな子をいじめたくなるってこと?」
言葉にされて初めて気付いた。私は出久君のことが好きなの?
「違う!嫌い!大嫌い!」
だとしたら、とんだ歪んだ愛情表現。認めたくない。一層嫌われた方が楽なのかもしれない。
「それでも僕は●●ちゃんが好き!」
こんな私をまだ好き……?
真実を知って悲しみも、怒りも、泣きもしない。
好きだと言うのか。
「バカじゃないの…」
「●●ちゃんに好かれるならバカだって思われてもいい」
「……っ…………ぅっ…」
出久君はそっと私を抱きしめてくれた。
こんな私を受け入れてくれて“ありがとう”出久君。
ーーFinーー
「彼女を離してください。彼女は…………僕の好きな人なんです」
「えっ…─」
突然の出久君の告白に目を丸くする私。
「自分も個性がないのに、個性が現れるのが遅かった僕をずっと励ましてくれて、実の親にもヒーローを諦めろと言われた僕をずっと応援してくれた、大切な人なんです!」
「はっ、お熱い話なこった。だがな、世の中個性が全て。個性のない嬢ちゃんはゴミ同然!」
鼻で嘲笑う強盗犯に段々と腹が立ってきた。
さっきから人のことを個性がないだの、ゴミだの好き勝手言ってくれて。
先ほどまで躊躇していたのが嘘のように、私は個性を発動させた。
ネガティブになれ……。
「…………いや、ゴミは俺の方か。強盗なんてしてごめんなさい。人より優れた個性を持ったと自慢してくれた親に会わせる顔がない……」
出久君は急に膝を崩した強盗に戸惑いながらも、怯んだ隙を見逃さず、素早く強盗を取り押さえた。
そうこうしている内にプロヒーローが続々と集まり、他の強盗もあっという間に拘束され、事件は収束した。
私たちは事情聴取があるから、としばらくは帰れなさそう。
順番が来るのを待っていると出久君が話しかけてきた。
「●●ちゃん、犯人の様子が急におかしくなったのって」
やっぱりバレちゃうよね。
「うん、私の個性」
「そうなんだ!●●ちゃんにも個性が現れたんだ!よかった!」
「もう現れてから10年は経つよ」
「えっ……」
もう言ってしまおうかな。
このおめでたい頭の彼に、私がしてきたことを。
「私の個性、触れている相手をネガティブにするの。昔、手を握って出久君を励ましてたことあったよね?元はと言えば私が出久君をネガティブにしていたの」
「●●ちゃん…」
「それなのに、励ましてくれてありがとうって感謝してきて。可笑しかった」
「本心じゃなかったの?」
「本心だったよ。落ち込む姿も見たかったし、心も折りたかった。私の言葉に一喜一憂している出久君を見たかった」
出久君はじっと私の話を聞いている。
「だけど、他の女の子のことで落ち込んでいる出久は見てて面白くなかった」
「それってつまり……好きな子をいじめたくなるってこと?」
言葉にされて初めて気付いた。私は出久君のことが好きなの?
「違う!嫌い!大嫌い!」
だとしたら、とんだ歪んだ愛情表現。認めたくない。一層嫌われた方が楽なのかもしれない。
「それでも僕は●●ちゃんが好き!」
こんな私をまだ好き……?
真実を知って悲しみも、怒りも、泣きもしない。
好きだと言うのか。
「バカじゃないの…」
「●●ちゃんに好かれるならバカだって思われてもいい」
「……っ…………ぅっ…」
出久君はそっと私を抱きしめてくれた。
こんな私を受け入れてくれて“ありがとう”出久君。
ーーFinーー